◇特許法等の一部を改正する法律(法律第四一号)(通商産業省)
1 出願審査の請求期間の短縮
 出願審査の請求をすることができる期間について、特許出願から七年を三年に短縮することとした。
2 特許出願人の請求による早期出願公開の導入
 特許出願から一年六月を経過する前であっても、特許出願人の請求があったときは出願公開をすることとした。
3 特許権の存続期間の延長登録出願の条件の見直し
 特許権の存続期間の延長登録出願の条件について、安全性の確保等のための法律の規定による処分を受けることが必要であるために実施できなかった期間の条件(二年以上)の撤廃等を行うこととした。
4 判定等の手続の整備
 (一) 特許発明の技術的範囲等に関する判定について、証拠調べ等の手続を整備することとした。
 (二) 特許発明の技術的範囲等についての鑑定の嘱託があった場合には、三人の審判官により行うこととした。
5 特許権等の侵害に係る訴訟における救済措置の整備
 (一) 侵害の行為を立証するための書類の提出命令等に関して手続を整備することとした。
 (二) 当事者は、損害の計算をするための鑑定を行う鑑定人に対して、必要な事項を説明しなければならないこととした。
 (三) 損害額の立証がその立証をするために必要な事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、相当な損害額を認定できることとした。
6 特許料等の引下げ
 (一) 特許料及び審査請求料等のうち一請求項につき加算される額を引き下げることとした。
 (二) 特許料及び審査請求料の納付を猶予し、又は減免する特例措置の対象に資力に乏しい法人を加えることとした。
7 詐欺行為罪及び虚偽表示罪の罰則の見直し
 特許等に係る詐欺の行為及び虚偽表示についての法人の罰金刑の額の上限を一億円等とした。
8 設定登録前の商標に基づく金銭的請求権
 設定登録前の商標について、出願人が警告をしたときは、その商標を使用した者に対し、使用により生じた業務上の損失に相当する額の金銭的請求権を行使することができることとした。
9 標章の国際登録に関するマドリッド協定の議定書の実施
 (一) 我が国の商標登録出願等に基づく国際登録出願に係る手続を整備した。
 (二) 国際登録に基づき我が国における保護を求める商標登録出願に係る手続を整備した。
 (三) 特許庁長官を通じて国際登録出願をする場合等の手数料を定めた。
10 その他の改正
 (一) 特許出願前に外国において公然知られた発明及び電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明についても特許を受けることができないこととした。
 また電気通信回線を通じて発表した発明について出願した場合及び発表した発明と同一でない発明を出願した場合についても例外的に特許を受けることができることとした。
 (二) 特許出願等の分割又は変更をする場合には、もとの出願について新規性の喪失の例外の適用、国内優先権若しくはパリ優先権の主張に伴い提出した書面等を再度提出しなくてもよいこととした。
 (三) 特許異議の申立て等における明細書又は図面の訂正について、訂正後にも独立して特許を受けることができるかどうかを判断することなく認めることとした。
 (四) 口頭審理による審判に関する調書の作成等を審判書記官が行うこととした。
 (五) 裁判所又は特許庁長官は、権利の侵害に関する訴えの提起又は審判の請求の有無を通知するものとした。
 (六) 商標登録出願について出願公開をすることとした。
 (七) 登録料の納付の時にも、商標登録出願の区分の数を減ずる補正をすることができることとした。
 (八) 判定又は判定若しくは異議申立若しくは審判に関する記録並びに国際登録に係る商標原簿の閲覧を電子情報処理組織を使用して行うことができることとした。