平成24年7月に発効した特許協力条約規則(PCT規則)等の改正の概要


平成24年8月

国際出願課

平成24年(2012年)7月1日に発効したPCT規則及び実施細則の改正についてお知らせします。主な改正内容は、電子図書館からの優先権書類取得の請求期限の緩和、PCT最小限資料への中国特許文献の追加、災害等に起因する期間徒過後の手続に関する救済規定に関するものとなります。

最新PCT規則(WIPOホームページ) <PDF 1.2MB>

平成24年7月発効の改正概要(WIPOホームページ)

1.電子図書館からの優先権書類取得の請求期限の緩和(規則17.1(bの2)の改正)

規則17.1(bの2)では、出願人は受理官庁又は国際事務局に対して電子図書館から優先権書類を取得するよう請求可能である旨定められていました。しかしながら、このような請求を受ける受理官庁が存在しなかったことや、優先権書類を受理官庁から国際事務局へ送付する手続や業務処理が非効率的であるとの観点から、電子図書館からの優先権書類取得の請求先は国際事務局のみとなりました。また、国際事務局はこれらの業務に手数料を求めないため、手数料に関する規定が削除されました。

また、受理官庁から国際事務局への優先権書類の送付が国際公開に間に合うよう、優先権書類取得の請求期限は「優先日から16月以内」と定められていましたが、優先権書類取得の請求先が国際事務局のみとなったことから、請求期限が「国際公開の日より前まで」に緩和されました。

2.引用による補充の手続に関する規定の明確化(規則20.7(b))

規則20.7(b)が適用される場合について、PCT第11条(2)の規定に基づく補充又は同条(1)(iii)(d)若しくは(e)に定める要素を規則20.6(a)の規定に基づき引用により含める確認の書面のいずれも20.7(a)に定める期間内に提出されていない場合であって、受理官庁が規則20.4(i)に基づく国際出願として扱われない旨の通知を出願人へ送付する前にそれらの書類を受理したときには、当該期間内に受理されたものとみなすと、規定が明確化されました。

3.PCT最小限資料への中国文献の追加(規則34.1の改正)

規則34.1の改正により、PCT第15条(4)に規定された国際調査機関の最小限資料として、英語の要約が利用可能な中華人民共和国の特許文献が追加されました。

4.災害等に起因する期間徒過後の手続に関する救済規定(規則82.2、規則82の4)

東日本大震災を受けて、災害等に起因する手続期間徒過を許容するための一般規定が規則82の4として定められました。戦争、革命、市民暴動、同盟罷業、天災等の理由によりPCT規則に定める手続期間を徒過した場合であっても、当該手続期間満了後6月以内に、受理官庁、国際調査機関、国際予備審査機関又は国際事務局へ、当該期間徒過に関する適切な証拠を提出した場合には、手続期限の徒過が許容されることがあります。

ただし、この規則は、パリ条約に定められた優先期間や国内移行期限については適用されません。また、国内移行後における指定官庁に対しては義務化されていません。

規則82の4の新設に伴い、災害等に起因する郵便業務の中断に関して定められていた規則82.2は削除されました。

[更新日 2012.8.27]