特許法等の一部を改正する法律をここに公布する。
昭和四十年五月二十四日
内閣総理大臣 佐藤 栄作
法律 第八十一号

特許法等の一部を改正する法律
(特許法の一部改正)
第一条 特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)の一部を次のように改正する。

第三十条第三項中「開設する博覧会」の下に「若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官が指定するもの」を加え、「同盟条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、及び千九百三十四年六月二日にロンドンで改正された工業所有権保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ同盟条約をいう。以下同じ。)を「パリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)に、「同盟条約の」を「パリ条約の」に改める。

第四十三条第一項中「同盟条約」を「パリ条約」に、「第四条丁第一号」を「第四条D(1)」に、「又は」を「若しくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は」に、「同条甲第二号」を「同条A(2)」に改め、同条第三項中「前項」を「第二項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「同盟条約」を「パリ条約」に、「第四条甲第二号」を「第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし若しくは同条A(2)」に改め、同項の次に次の一項を加える。
3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。

第八十三条第一項に次のただし書を加える。
ただし、その特許発明に係る特許出願の日から四年を経過していないときは、この限りでない。

第九十四条第一項中「通常実施権は、」の下に「第八十三条第二項若しくは」を加え、同条中第四項を第五項とし、第三項を第四項とし、同条第二項中「通常実施権者は、」の下に「第八十三条第二項若しくは」を加え、同項の次に次の一項を加える。
3 第八十三条第二項の裁定による通常実施権は、実施の事業とともにする場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。

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(実用新案法の一部改正)
第二条実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。

第二十一条第一項に次のただし書を加える。
ただし、その登録実用新案に係る実用新案登録出願の日から四年を経過していないときは、この限りでない。

第二十四条第一項中「通常実施権は、」の下に「第二十一条第二項若しくは」を加え、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「通常実施権者は、」の下に「第二十一条第二項若しくは」を加え、同項の次に次の一項を加える。
3 第二十一条第二項の裁定による通常実施権は、実施の事業とともにする場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。

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(商標法の一部改正)
第三条商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。

第四条第一項第二号を次のように改める。
二 パリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、及び千九百二十五年十一月六日にヘーグで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約、千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、及び千九百三十四年六月二日にロンドンで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約及び千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下この条において同じ。)の同盟国の国の紋章その他の記章(パリ条約の同盟国の国旗を除く。)であつて、通商産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標

第四条第一項第五号中「同盟条約」を「パリ条約」に改め、同項第九号中「開設する博覧会」の下に「若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官が指定するもの」を加え、同条に次の第一項を加える。
4 第五十三条の二の規定により商標登録を取り消すべき旨の審決が確定した場合において、その審判の請求人が当該審決によつて取り消された商標登録に係る商標又はこれに類似する商標について商標登録出願をするときは、第一項第十三号の規定は、適用しない。第九条第一項中「開設する博覧会」の下に「若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官が指定するもの」を加え、「同盟条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、及び千九百三十四年六月二日にロンドンで改正された工業所有権保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ同盟条約をいう。以下同じ。)」を「パリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)」に、「同盟条約の」を「パリ条約の」に改める。

第十五条に次の一号を加える。
四 その商標登録出願に係る商標がパリ条約の同盟国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。以下同じ。)を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であつて当該権利に係る商品又はこれに類似する商品について使用をするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前一年以内に代理人若しくは代表者であつたものによつてされたものであるとき。ただし、その商標に関する権利を有する者からその商標登録出願が本文の規定に該当することをその理由とする登録異議の申立があつた場合に限る。

第五十三条の次に次の二条を加える。
第五十三条の二 登録商標がパリ条約の同盟国において商標に関する権利を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であつて当該権利に係る商品又はこれに類似する商品を指定商品とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前一年以内に代理人若しくは代表者であつた者によつてされたものであるときは、その商標に関する権利を有する者は、当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

第五十三条の三 前条の審判は、商標権の設定の登録の日から五年を経過した後は、請求することができない。

第五十五条、第五十六条第一項、第六十一条及び第六十三条第二項中「又は第五十三条第一項」を「、第五十三条第一項又は第五十三条の二」に改める。

第六十八条第四項中「第四十六条まで」の下に「、第五十三条の二から第五十四条まで」を加える。

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(不正競争防止法の一部改正)
第四条不正競争防止法(昭和九年法律第十四号)の一部を次のように改正する。

第一条第四号中「国」を「地」に改め、同条第五号中「内容」の下に「、製造方法、用途」を加え、同条に次の一項を加える。
千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約ノ同盟国(以下単ニ同盟国ト称ス)ニ於イテ商標ニ関スル権利(商標権ニ相当スル権利ニ限ル以下同ジ)ヲ有スル者ハ其ノ代理人若ハ代表者又ハ代理人若ハ代表者タリシ者ニシテ正当ノ理由ナキニ拘ラズ当該商標ニ関スル権利ヲ有スル者ノ承諾ナクシテ当該権利ニ係る商標ト同一若ハ類似ノ商標ヲ同一若ハ類似ノ商品ニ使用シ又ハ之ヲ使用シタル同一若ハ類似ノ商品ヲ販売、拡布若ハ輸出スルモノニ対シ其ノ行為ヲ止ムベキコトヲ請求スルコトヲ得但シ代理人又ハ代表者タリシ者ニシテ其ノ行為開始ノ日前一年以内ニ代理人又は代表者ニ非ザリシモノニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ

第一条ノ二第二項中「前条第一号若ハ第二号」を「前条第一項第一号若ハ第二号若ハ同条第二項」に、「同条第六号」を「同条第一項第六号」に改め、同条第一項中「前条各号」を「前条第一項各号」に改め、同項の次に次の一項を加える。
故意又ハ過失ニ因リ前条第二項ノ行為ヲ為シタル代理人若ハ代表者又ハ当該行為開始ノ日前一年以内ニ代理人若ハ代表者タリシ者ハ之ニ因リ営業上ノ利益ヲ害セラレタル同項ノ商標ニ関スル権利ヲ有スル者ニ対シ損害賠償ノ責ニ任ズ

第二条第一項第四号中「第一条第一号」を「第一条第一項第一号」に改める。

第三条中「工業所有権保護同盟条約国」を「同盟国」に改める。

第四条の次に次の一条を加える。
第四条ノ二 同盟国ノ加入スル政府間国際機関ノ紋章、旗章其ノ他ノ徽章、略称又ハ名称ニシテ主務大臣ノ指定スルモノト同一又ハ類似ノモノハ当該国際機関ノ許可ナクシテ当該国際機関ト関係アル旨ノ誤認ヲ生ゼシムル方法ニ依リ之ヲ商標トシテ使用シ又ハ之ヲ商標トシテ使用シタル商品ヲ販売若ハ拡布スルコトヲ得ズ

第五条第一号中「内容」の下に「、製造方法、用途」を加え、同条第二号中「第一条第一号」を「第一条第一項第一号」に改め、同条第三号中「第一条第三号」を「第一条第一項第三号」に改め、同条第四号中「前条」を「前二条」に改める。

第六条中「第一条第一号第二号」を「第一条第一項第一号及第二号並ニ第二項」に、「及第五条第二号」を「、第四条ノ二並ニ第五条第二号」に改める。

附則
この法律は、千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約への加入の効力発生の日から施行する。ただし、第四条中不正競争防止法第一条第四号の改正規定は、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定への加入の効力発生の日から施行する。
通商産業大臣 桜内 義雄
内閣総理大臣 佐藤 栄作