◇不正競争防止法の一部を改正する法律(法律第四六号)(経済産業省)
1 定義の見直し
 (一) 他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用した商品を電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為等が「不正競争」に含まれることを明確にすることとした。(第二条第一項関係)
 (二) この法律にいう「物」には、プログラムが含まれることを明確にすることとした。(第二条第八項関係)
2 不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟における救済措置の整備
 (一) 営業上の利益を侵害した者が譲渡した物の数量に基づき妥当な損害額を算定する方式を定めることとしたこと、及び使用料相当額の損害の賠償額の認定について、事件の事情を考慮できることとした。(第五条第一項関係)
 (二) 被告が侵害の行為に関する物又は方法について否認するときは、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならないこととした。(第五条の二関係)
 (三) 侵害の行為を立証するための書類の提出命令等に関して手続を整備することとした。(第六条関係)
 (四) 当事者は、損害の計算をするための鑑定を行う鑑定人に対して、必要な事項を説明しなければならないこととした。(第六条の二関係)
 (五) 損害額の立証がその立証をするために必要な事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、相当な損害額を認定できることとした。(第六条の三関係)
3 営業秘密の刑事的保護の導入
 (一) 詐欺等行為又は管理侵害行為により取得した営業秘密を、不正の競争の目的で、使用し、又は開示した者は、三年以下の懲役又は三〇〇万円以下の罰金に処することとした。(第一四条第一項第三号関係)
 (二) (一)の使用又は開示の用に供する目的で、詐欺等行為又は管理侵害行為により、記録媒体等を取得し、又は複製を作成して、営業秘密を取得した者は、三年以下の懲役又は三〇〇万円以下の罰金に処することとした。(第一四条第一項第四号関係)
 (三) 営業秘密を保有者から示された者であって、不正の競争の目的で、詐欺等行為若しくは管理侵害行為又は営業秘密の記録媒体等の管理に係る任務に背く行為により、記録媒体等を領得し、又は複製を作成して、その営業秘密を使用し、又は開示した者は、三年以下の懲役又は三〇〇万円以下の罰金に処することとした。(第一四条第一項第五号関係)
 (四) 営業秘密を保有者から示された役員又は従業者であって、不正の競争の目的で、営業秘密の管理に係る任務に背き、その営業秘密を使用し、又は開示した者は、三年以下の懲役又は三〇〇万円以下の罰金に処することとした。(第一四条第一項第六号関係)
 (五) (一)から(四)までの罪は、告訴がなければ公訴を提起することができないこととした。(第一四条第二項関係)