◇特許法等の一部を改正する法律(法律第四七号)(経済産業省)
1 特許料の引下げ等
 特許料及び特許出願の手数料を引き下げ、出願審査の請求の手数料を引き上げることとした。
2 特許出願の取下げ等があったときに出願審査の請求の手数料の一部を返還する制度の導入
 拒絶理由の通知等があるまでの間に特許出願が放棄され、又は取下げられたときは、請求により出願審査の請求の手数料の一部を返還する制度を導入することとした。
3 特許料等の減免措置の見直し
 (一) 特許権又は特許を受ける権利等が特許法又は他の法令による特許料及び出願審査の請求の手数料等の軽減若しくは免除を受ける者を含む者の共有に係る場合であって持分の定めがあるときは、これらの者が自己の権利について納付すべき料金については、それぞれの減免後の金額にその持分の割合を乗じて得た額を合算して得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければいけないこととした。
 (二) 試験研究に関する業務を行う独立行政法人及び公設試験研究機関の納付すべき特許料及び出願審査の請求の手数料について、軽減若しくは免除、又は猶予することができることとした。
4 特許異議の申立ての廃止及び特許無効審判を請求することができる者の範囲の拡大
 (一) 特許異議の申立てを廃止することとした。
 (二) 特許無効審判は、何人も請求することができることとした。
5 訂正審判を請求することができる期間の制限等
 訂正審判は、特許無効審判が特許庁に係属した時からその審決が確定するまでの間は、特許無効審判の審決に対する訴えの提起があった日から起算して九〇日の期間内を除き、請求することができないこととした。
6 特許無効審判における審判の請求書の請求の理由の方式及びその要旨変更の許可の要件の明確化
 (一) 特許無効審判における審判の請求書の請求の理由は、特許を無効にする根拠となる事実を具体的に特定し、かつ、立証を要する事実ごとに証拠との関係を記載したものでなければならないこととした。
 (二) 特許無効審判における審判の請求書の請求の理由の補正がその要旨を変更するものである場合の許可の要件を定めることとした。
7 特許無効審判の審決取消訴訟において特許庁長官の意見を求める制度等の導入
 (一) 裁判所は、特許無効審判の審決取消訴訟の提起があったときは、特許庁長官に対し、当該事件に関する法律の適用等についての意見を求めることができることとした。
 (二) 特許庁長官は、特許無効審判の審決取消訴訟の提起があったときは、裁判所に対し、当該事件に関する法律の適用等について意見を述べることができることとした。
8 特許無効審判の審決取消し決定制度の導入
  裁判所は、特許無効審判の審決取消訴訟の提起があった場合において、当該特許を無効にすることについて、特許無効審判においてさらに審理させることが相当であると認めるときは、事件を審判官に差し戻すため、決定をもって、当該審決を取り消すことができることとした。
9 特許制度の国際的調和
 (一) 二以上の発明については、発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願をすることができることとした。
 (二) 特許協力条約に基づく国際出願について、全締約国に出願したとみなす制度を導入することとした。
10 その他
  実用新案法、意匠法及び商標法について、特許法の改正に準ずる所要の改正を行う他、関係規定の整備を行うこととした。
11 施行期日
  この法律の施行期日は、平成一六年一月一日から施行することとすること。ただし、政令への委任についてはこの法律の公布の日から、1から3までについては平成一六年四月一日から、それぞれ施行することとした。