◇種苗法の一部を改正する法律(法律第四九号)(農林水産省)
1 権利侵害に対する訴訟上の救済を円滑化するための規定の整備
 (一) 侵害者が譲渡した侵害品の数量に権利者が販売することができた物の単位数量当たりの利益額を乗じて得た額を損害額とすることができることとした。(第三四条関係)
 (二) 被告は、原告が主張する侵害の態様を否認する場合には、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならないこととした。(第三六条関係)
 (三) 書類提出命令の対象を現行の損害額の計算をするために必要な書類に加えて、侵害行為の立証に必要な書類に拡大するとともに、文書の所持者が提出を拒む場合には、裁判所が事前に当該文書を見て提出義務の有無を判断する手続を導入することとした。(第三七条関係)
 (四) 当事者に損害計算のための鑑定人に対する説明義務を課すこととした。(第三八条関係)
 (五) 損害額を計算するための事実の立証が極めて困難である場合には、裁判所が相当な損害額を認定することができることとした。(第三九条関係)
 (六) 営業秘密に係る秘密保持命令について所要の規定を整備することとした。(第四〇条〜第四二条関係)
 (七) 営業秘密に該当するものについて当事者等が尋問を受ける場合には、その公開を停止することができることとした。(第四三条関係)

2 表示の適正化等
 (一) 登録品種の名称が第四条第一項の要件を満たさないことが判明した場合には、農林水産大臣に対し、名称変更命令を行うよう利害関係人が申し立てることができることとした。(第四八条第一項関係)
 (二) 登録品種の種苗を譲渡する者は、種苗又はその包装に品種登録表示を付するよう努めなければならないこととした。(第五五条関係)
 (三) 登録品種でない種苗に品種登録表示又はこれに類似する表示を付すること等を禁止するとともに、この違反に対して、罰則を科すこととした。(第五六条、第六九条及び第七三条関係)

3 罰則の引上げ等
 (一) 育成者権の侵害について、懲役刑及び罰金刑の上限を引き上げ、これらを併科することができるようにするとともに、法人の処罰に係る罰金刑の上限を引き上げることとした。(第六七条及び第七三条関係)
 (二) 詐欺の行為により品種登録を受ける行為について、懲役刑及び罰金刑の上限を引き上げるとともに、法人の処罰に係る罰金刑の上限を引き上げることとした。(第六八条及び第七三条関係)
 (三) 秘密保持命令に違反した者に罰則を科すこととした。(第七〇条及び第七三条関係)

4 この法律は、平成一九年一二月一日から施行することとした。