◇特許法等の一部を改正する法律(平成十四年法律第二四号)(経済産業省)
1 発明についての実施の定義の見直し
 (一) 特許法上の「物」に、プログラム等が含まれることを明確にすることとした。
 (二) プログラム等の発明の実施に電気通信回線を通じた提供が含まれることを明確にすることとした。
2 特許権等の侵害とみなす行為の見直し
  侵害とみなす行為として、次に掲げる行為を加えることとした。
 (一) 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であってその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
 (二) 特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であってその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
3 明細書からの請求の範囲の分離
 特許出願の願書に添付する明細書から特許請求の範囲を分離し、別の書面とすることとした。
4 文献公知発明に係る情報の開示に関する制度の導入
 (一) 特許を受けようとする者は、その発明に関連する文献公知発明(特許出願前に刊行物等に記載された発明をいう。以下同じ。)のうち、特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を発明の詳細な説明に記載することとした。
 (二) 審査官は、特許出願が(一)の要件を満たしていないと認めるときは、特許出願人に対し、その旨を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることができることとした。
 (三) 審査官が、特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならないときとして、(二)の通知をした場合であって、その特許出願が明細書についての補正又は意見書の提出によってもなお(一)の要件を満たすこととならないときを加えることとした。
5 国際特許出願に係る手続の整備
 (一) 国内書面提出期間を一律に二年六月とするとともに、外国語特許出願について国内書面とともに提出しなければならない日本語による翻訳文について、国内書面の提出の日から二月以内に翻訳文を提出できることとした。
 (二) 世界貿易機関の加盟国における出願に基づく国際特許出願について、パリ条約の例による優先権の主張手続に関する規定を適用しないこととした。
6 標章についての使用の定義の見直し
 (一) 標章の使用に商品に標章を付したものを電気通信回線を通じて提供する行為が含まれることを明確にすることとした。
 (二) 標章の使用に電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為が含まれることを明確にすることとした。
 (三) 標章の使用に広告、価格表又は取引書類を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為が含まれることを明確にすることとした。
7 マドリッド協定の議定書に規定する国際登録に係る手続の整備
 (一) 国際登録に基づく商標権の個別手数料を国際登録前と国際商標登録出願について商標登録をすべき旨の査定又は審決があったときとに分けて納付しなければならないこととした。
 (二) 国際商標登録出願については、商標登録を受けようとする商標の補正をすることができないことを明確にすることとした。
8 その他
 実用新案法及び意匠法について、特許法の改正に準ずる所要の改正を行う他、関係規定の整備を行うこととした。