◇裁判所法等の一部を改正する法律(法律第一二〇号)(司法制度改革推進本部)
四 特許法の一部改正関係
 1 特許権者等の権利行使の制限
  (一) 特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、特許権者又は専用実施権者は、相手方に対しその権利を行使することができないものとし、この攻撃又は防御の方法については、これが審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができることとした。(第一〇四条の三関係)
  (二) (一)による攻撃又は防御の方法を記載した書面が提出されたときは、裁判所は、その旨を特許庁長官に通知するものとし、特許庁長官は、その通知を受けたときは、裁判所に対し、審判官が必要と認める書面の写しの送付を求めることができることとした。(第一六八条第五項及び第六項関係)
 2 書類の提出等
 裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、必要な書類の提出を求める申立てがされた場合に、所持者において書類の提出を拒むことにつき正当な理由があるかどうかについて、裁判所に提示された書類を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書類を開示することができることとした。(第一〇五条第三項関係)
 3 秘密保持命令
  (一) 裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、その当事者が保有する営業秘密について、一定の事由に該当することにつき疎明があった場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、秘密保持命令を発することができ、秘密保持命令を受けた者は、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は秘密保持命令を受けた者以外の者に開示してはならないこととし、所要の規定を整備した。(第一〇五条の四〜第一〇五条の六関係)
  (二) 秘密保持命令違反の罰則について所要の規定を整備した。(第二〇〇条の二及び第二〇一条関係)
 4 当事者尋問等の公開停止
 特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟における当事者等が、その侵害の有無についての判断の基礎となる事項であって当事者の保有する営業秘密に該当するものについて、当事者本人若しくは法定代理人又は証人として尋問を受ける場合においては、裁判所は、裁判官の全員一致により、その当事者等が公開の法廷で当該事項について陳述をすることにより当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に著しい支障を生ずることが明らかであることから当該事項について十分な陳述をすることができず、かつ、当該陳述を欠くことにより他の証拠のみによっては当該事項を判断の基礎とすべき特許権又は専用実施権の侵害の有無についての適正な裁判をすることができないと認めるときは、決定で、当該事項の尋問を公開しないで行うことができることとし、その手続について所要の規定を整備した。(第一〇五条の七関係)
五 実用新案法の一部改正関係
 実用新案法について、特許法の改正に準ずる所要の改正を行った。
六 意匠法の一部改正関係
 意匠法について、特許法の改正(四4を除く。)に準ずる所要の改正を行った。
七 商標法の一部改正関係
 商標法について、特許法の改正(四4を除く。)に準ずる所要の改正を行った。
八 不正競争防止法の一部改正関係
 不正競争防止法について、特許法の改正(四1を除く。)に準ずる所要の改正を行った。
九 著作権法の一部改正関係
 著作権法について、特許法の改正(四1及び4を除く。)に準ずる所要の改正を行った。