◇特許審査の迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律(法律第七九号)(経済産業省)
1 指定調査機関制度の見直し(第三条関係)
 指定調査機関制度について、登録制度に移行し、公益法人以外の者であっても調査業務を行うことができることとした。
2 特定登録調査機関制度の導入(第四条関係)
 特許庁長官は、特許出願について出願審査の請求をする者が、登録調査機関のうち特許庁長官が特に登録するものが交付する調査報告を提示してその請求をしたときは、出願審査の請求の手数料を軽減することができることとした。
3 電子情報処理組織を使用した公報の発行(第四条関係)
 特許公報等の発行は、特許公報等に掲載すべき事項であって特許庁の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報を、電子情報処理組織を使用して送信し、これを当該情報の提供を受けようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法によりすることができることとした。
4 見込額への加算による特許料等の返還(第三条関係)
 特許庁長官は、特許等関係法令の規定による特許料等又は手数料の返還の請求に際し、納付者の申出があった場合には、その納付者が予納した見込額に、返還すべき額に相当する金額を加算することをもって当該返還に代えるものとすることとした。
5 実用新案登録に基づく特許出願制度の導入(第一条関係)
 実用新案権者は、その実用新案登録に係る実用新案登録出願の日から三年を経過したとき等を除き、自己の実用新案登録に基づいて特許出願をすることができることとした。
6 実用新案権の存続期間の延長(第二条関係)
 実用新案登録出願の日から六年としている実用新案権の存続期間について、実用新案登録出願の日から一〇年に延長することとした。
7 訂正の許容範囲の拡大(第二条関係)
 実用新案権者は、請求項の削除を目的とする願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正に加え、実用新案登録請求の範囲の減縮等を目的とする訂正を一回に限りすることができることとした。
8 独立行政法人工業所有権総合情報館の業務の拡大(第五条関係)
 (一) 独立行政法人工業所有権総合情報館の名称を独立行政法人工業所有権情報・研修館とすることとした。
 (二) 独立行政法人工業所有権情報・研修館の行う業務として、工業所有権に関する情報システ厶の整備及び管理並びに特許庁の職員その他の工業所有権に関する業務に従事する者に対する研修を行うこと等を追加することとした。
9 職務発明規定の見直し(第一条関係)
 (一) 契約、勤務規則その他の定めにおいて職務発明に係る対価について定める場合には、対価を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況等を考慮して、その定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められるものであってはならないこととした。
 (二) 契約、勤務規則その他の定めにおいて職務発明に係る対価についての定めがない場合又はその定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められる場合には、使用者等が従業者等に支払うべき対価の額は、その発明により使用者等が受けるべき利益の額、その発明に関連して使用者等が行う負担、貢献及び従業者等の処遇その他の事情を考慮して定めなければならないこととした。
10 この法律の施行期日は、平成一七年四月一日から施行することとした。ただし、4については公布の日から、1及び8については平成一六年一〇月一日から、それぞれ施行することとした。