◇意匠法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第五五号)(経済産業省)
1 意匠の定義の見直し
  物品がその機能を発揮できる状態にするための操作の用に供される画像であって、当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示されるものを保護の対象とすることとした。(意匠法第二条第二項関係)
2 意匠権等の効力の拡大
  意匠権、特許権及び実用新案権の実施の定義並びに商標権の使用の定義に輸出を追加することとした。(意匠法第二条第三項、特許法第二条第三項、実用新案法第二条第三項及び商標法第二条第三項関係)
3 意匠登録要件の見直し
  後の出願に係る部品の意匠又は部分意匠が先の出願に係る意匠の一部と同一又は類似である場合、先の出願に係る意匠公報発行の日前までの出願であって、出願人が同一であれば、後の出願に係る部品の意匠又は部分意匠の意匠登録を受けることができることとした。(意匠法第三条の二関係)
4 新規性喪失の例外の適用に係る証明書提出期間の延長
  意匠登録出願の日から一四日以内とされている新規性喪失の例外の適用に係る証明書の提出期限について、これを延長し、意匠登録出願の日から三〇日以内とすることとした。(意匠法第四条関係)
5 関連意匠制度の見直し
  同日出願の場合のみ登録が認められている関連意匠について、本意匠の公報発行の日前までの期間であれば、後日出願に係る関連意匠の意匠登録を受けることができることとした。(意匠法第一〇条関係)
6 秘密意匠の請求時期の追加
  秘密意匠の請求をすることができる時期について、意匠登録の第一年分の登録料の納付と同時にする場合を新たに追加することとした。(意匠法第一四条関係)
7 意匠権の存続期間の延長
  意匠登録の日から一五年としている意匠権の存続期間について、意匠登録の日から二〇年に延長することとした。(意匠法第二一条関係)
8 意匠の類似の範囲の明確化
  登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとした。(意匠法第二四条第二項関係)
9 意匠権等の侵害とみなす行為の見直し
 譲渡、貸渡し及び輸出を目的として意匠権、特許権及び実用新案権を侵害する物品を所持する行為を侵害とみなす行為とすることとした。(意匠法第三八条、特許法第一〇一条及び実用新案法第二八条関係)
10 罰則の見直し
 (一) 意匠権、特許権、実用新案権及び商標権の侵害に係る刑事罰ついて、懲役刑及び罰金刑の上限を引き上げ、これらを併科できるようにするとともに、法人処罰に係る罰金刑の上限を引き上げることとした。(意匠法第六九条、第六九条の二及び第七四条並びに特許法第一九六条、第一九六条の二及び第二〇一条並びに実用新案法第五六条及び第六一条並びに商標法第七八条、第七八条の二及び第八二条関係)
 (二) 不正競争防止法における営業秘密の侵害行為及び他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為に係る刑事罰ついて、懲役刑及び罰金刑の上限を引き上げるとともに、法人処罰に係る罰金刑の上限を引き上げることとした。(不正競争防止法第二一条及び第二二条関係)
 (三) 意匠法、特許法、実用新案法、商標法及び不正競争防止法における秘密保持命令違反に係る刑事罰について、法人処罰に係る罰金刑の上限を引き上げることとした。(意匠法第七四条、特許法第二〇一条、実用新案法第六一条、商標法第八二条及び不正競争防止法第二二条関係)
11 補正制度の見直し
 拒絶理由通知を受けた後に、特許請求の範囲に記載された発明を技術的特徴の異なる別発明に変更する補正を禁止することとした。(特許法第一七条の二関係)
12 分割出願制度の見直し
 特許査定後及び拒絶査定後三〇日以内であれば出願の分割を認めることとした。(特許法第四四条関係)
13 外国語書面出願の翻訳文提出期間の延長
 外国語書面出願の翻訳文提出期間について、出願日から一年二月(但し、パリ優先権を伴って日本に第二国出願した場合には、第一国出願日から一年二月以内)に設定することとした。(特許法第三六条の二第二項関係)
14 小売及び卸売の業務に係る商標の保護
 小売及び卸売の業務において顧客に対して便益を提供する際に使用される商標について、役務に係る商標として商標登録を受けることができることとした。(商標法第二条第二項関係)
15 団体商標の主体の見直し
 社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)について、団体商標の商標登録を受けることができることとした。(商標法第七条関係)