意匠法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令案

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平成18年10月
経済産業省
特 許 庁

意匠法等の一部を改正する法律の施行に伴い、本意匠の意匠権が存続期間の終了により消滅した場合の関連意匠の意匠権の移転等に関する事項、小売業者等の役務についての商標登録出願に関する事項等につき、所要の経過措置を定める。

1.政令案の理由
 平成18年6月7日に公布された意匠法等の一部を改正する法律(平成18年法律第55号。以下「改正法」という。)附則第14条の規定に基づき、所要の経過措置を定める必要がある。

2.政令案の概要
(1) 関連意匠の意匠権に関する経過措置
 改正法における関連意匠制度の改正により、本意匠の意匠権が存続期間満了により消滅した後も、関連意匠の意匠権が存続する場合が生じるため、そのような場合でも関連意匠制度の制度趣旨を維持するために、関連意匠の意匠権の分離移転を禁止し、関連意匠の意匠権に対する専用実施権の設定を制限する(全ての関連意匠について同一の者に同時に設定する場合のみ可能とする)旨の経過措置を定める。

(2) 国際商標登録出願に係る優先権に関する経過措置
 マドリッド協定議定書1に基づき日本国を指定した国際商標登録出願について、パリ条約2に定める優先権3が認められる場合等においては、優先権の主張の手続を経ることなく優先権が認められる。このため、その優先権が小売等役務について認められるものである場合、優先権の基礎となる第一国における最初の出願の日が改正法の施行日前であっても、優先権主張の手続を経ることなく優先権が認められてしまうため、日本国において改正法の施行日前から小売等役務が認められていたのと同様の状況となる。したがって、この場合にも改正法の施行の日を最初の出願の日とみなす旨の経過措置を定める。(なお、優先権主張の手続を経て優先権が認められる場合は、改正法附則第五条第四項の規定により、最初の出願の日が施行日前であっても、改正法の施行の日が最初の出願の時とみなされる。)

1 標章の国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッドで採択された議定書。
2 工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約
3 パリ条約の同盟国において商標登録出願をしたパリ条約同盟国の国民が同一の商標について他の同盟国に6か月以内に出願をした場合には、当該出願については、最初に出願した国における取扱いと同様の取扱いを受けられる。


(3) 特例小売商標登録出願に関する経過措置
 改正法の施行後3月間になされた小売等役務に係る商標登録出願については、通常とは異なり、小売等役務に係る商標登録出願同士の間では同日に出願されたものとみなされる(特例小売商標登録出願)。一方、小売等役務に係る商標登録出願とその他商標登録出願との間では、通常通り出願日を先後願の判断基準としている。このため、特例小売商標登録出願同士の間にその他商標登録出願がなされたような場合には、各出願の処分を行う過程において商標法第8条第3項(商標登録出願が放棄された場合等に、当該出願が初めからなかったものとみなす)を適用した結果、これら出願同士が互いに競合しあう状態が生じ得る。したがって、出願の処分について混乱が生じないよう、特例小売商標登録出願について商標法第8条第3項の適用を制限する旨の経過措置を定める。

(4) 小売等役務についての重複登録出願に係る商標権に関する経過措置
 改正法附則第8条第5項は、小売等役務について重複登録された場合に商標法第52条の2(商標登録の取消審判)の規定を準用することとしていることから、以下について経過措置を定める。
a. 重複登録に係る商標権について特許法等関係手数料令第4条第3項(審判の確定審決に対する再審を請求する際に納付すべき手数料は持分の割合に応じて国以外の者が支払わなければならない)を適用する場合には、商標法第52条の2第1項の審判には改正法附則第8条第5項で準用する場合を含む旨を規定する。
b. 重複登録に係る商標権について商標登録令第1条第1項第2号(審判の確定審決を商標に関する登録事項とする)等を適用する場合には、第52条の2第1項の審判には改正法附則第8条第5項で準用する場合を含む旨を規定する。

3.今後の予定
   公       布    平成18年  10月  27日
  施       行    平成19年    4月    1日

【掲載資料】
政令案要綱 <PDF 10KB>
政令案・理由 <PDF 18KB>
政令案参照条文 <PDF 80KB>