◇弁理士法の一部を改正する法律(平成十九年法律第九一号)(経済産業省)
1 弁理士業務の追加
 (一) 特定不正競争の定義として、以下の項目を追加することとした。(第二条第四項関係)
  (1) 商品等の原産地等について誤認させるような表示等をする行為のうち商標に関するもの
  (2) 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為のうち工業所有権等についての虚偽の事実に関するもの
  (3) パリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有する者の代理人等が、正当な理由なく、その者の承諾を得ないでその商標と同一若しくは類似の商標等の使用等をする行為
 (二) 弁理士は、他人の求めに応じ、特許権等を侵害する物品の認定手続に関する税関長に対する手続等について、特許権者等が行う手続に加えて、当該申立てに係る貨物を輸出し、又は輸入しようとする者が行う手続についての代理を業とすることができることとした。(第四条第二項関係)
 (三) 弁理士はその名称を用いて、他人の求めに応じ、外国の行政官庁等に対する工業所有権に関する手続に関する資料の作成その他の事務を行うことを業とすることができることとした。(第四条第三項関係)

2 弁理士試験の免除制度の見直し
 弁理士試験において、以下の免除制度を導入することとした。(第一一条関係)
 (一) 大学院の課程を修了した者であって、経済産業省令で定める工業所有権に関する科目の単位を修得したものに対する当該課程の修了から一定期間に行う短答式試験の一部免除
 (二) 短答式試験に合格した者に対するその後一定期間内に行う短答式試験の免除
 (三) 論文式試験の一部科目について一定の成績を得た者に対するその後(工業所有権に関する法令についてはその後一定期間内)当該科目について行う論文式試験の免除

3 実務修習制度等の導入
 (一) 弁理士試験合格者等に対して、弁理士となるのに必要な技能を修得させるため、経済産業大臣が実務修習を行うこととした。(第一六条の二関係)
 (二) 経済産業大臣は、その指定する者に実務修習の実施に関する事務を行わせることができることとした。(第一六条の三〜第一六条の五関係)
 (三) 経済産業大臣の指定する者が実務修習の実施に関する事務を行う場合について、経済産業大臣による監督上必要な命令、指定の取消し及び実務修習の実施等に関し所要の規定を設けることとした。(第一六条の六〜第一六条の一五関係)
 (四) 弁理士は、日本弁理士会が行う資質の向上を図るための研修を受けなければならないこととした。(第三一条の二関係)

4 名義貸しの禁止
 弁理士は、弁理士若しくは特許業務法人でない者の業務の制限に違反し、又は弁理士等の名称の使用制限に違反する者に、自己の名義を利用させてはならないこととした。(第三一条の三関係)

5 懲戒制度の見直し
 弁理士の懲戒事由を一部追加するとともに、経済産業大臣は、二年以内の業務の一部についての停止処分をすることができることとした。(第三二条関係)

6 特許業務法人制度における指定社員制度の導入
 (一) 特許業務法人は、特定の事件について、業務を担当する社員を指定することができることとし、指定事件については、指定社員のみが業務を執行する権利を有し、義務を負うとともに、法人を代表することとした。(第四七条の二関係)
 (二) 指定事件に関し負担することとなった債務を法人の財産をもって完済することができないときは、指定社員が連帯してその弁済の責めに任ずることとした。(第四七条の三関係)

7 弁理士に関する情報の公表
 経済産業大臣及び日本弁理士会は、保有する弁理士に関する情報のうち、依頼者が弁理士の選択を適切に行うために特に必要なものについて公表するとともに、弁理士は、当該選択に資する情報を提供するよう努めなければならないこととした。(第七七条の二関係)

8 罰則
 罰則について必要な規定を設けることとした。(第七九条〜第八二条関係)

9 施行期日
 この法律は、平成二〇年四月一日から施行することとした。ただし、2については平成二〇年一月一日から、3(一)〜(三)については平成二〇年一〇月一日から、それぞれ施行することとした。