我が国が加盟する商標の国際的な条約等 | |
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商標権を含めた知的所有権は、無体物をその権利の保護客体としているので、国際間の取引の進展とともに、一国の領域内だけの権利保護だけでは十分ではなくなってきています。そこで、知的所有権を国際的に保護するための国際的な取極がいくつか設けられています。 我が国は、商標の登録、出願手続等に関する国際的条約のうち、 @工業所有権の保護に関するパリ条約(1883年成立)、 A標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定(1957年成立)、 B世界貿易機関を設立するマラケシュ協定・付属書一C知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定・1994年成立)、 C商標法条約(1994年成立)、 Dマドリッド協定議定書(1989年成立)に加入しています。 |
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@ パリ条約 | |
本条約は、工業所有権の国際的保護の基本的枠組をなす条約です。 この条約は、基本原則として、内国民待遇の原則(同条約の同盟国民は、他の同盟国において、その内国民と同一の条件及び手続に従う限り、内国民と同一の保護を受けるという原則)、及び優先権制度(工業所有権の出願について、同盟のある一国にした出願に基づいて、それと同一内容の出願を一定期間(商標は6ヶ月)内に、他の同盟国に優先権を主張して出願すると、当該他の同盟国における他人の出願との先後の関係等については、第一国出願の時にされたと同じ取扱いを受けるという制度)を掲げています。 また、その他に、商標に関しては、不使用に対する措置、各国商標保護の独立、周知商標の保護、国の紋章等の保護、商標の譲渡、外国登録商標、サービスマークの保護、代理人等による登録・使用の規制、商品の性質の無制約、団体商標の保護、不法付着の取締、博覧会出品の仮保護等多く保護・取締のための規定が設けられています。 我が国は、1899年(明治32年)に加入しています。 |
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A ニース協定 | |
商標の登録のためには、商品及び役務(サービス)の分類が必要となります。この分類は、各国統一している方が便利です。この協定は、国際的に統一した分類の採用について規定したものです。 我が国は、1990年(平成2年)に加入しています。 |
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B TRIPS協定 | |
本協定は、商標権を含めた知的所有権全般の保護を促進するとともに、知的所有権を行使するための措置及び手続が貿易の障害とならないことを確保するための協定です。 主な内容としては、 (ア) 内国民待遇だけでなく最恵国待遇(他国民に与えた利益はその他の国民にも均霑する)を知的所有権の分野でも行うこと、 (イ)商標権を含む多様な知的所有権の保護水準を強化すること、 (ウ)知的所有権の侵害に対する水際及び国内における取締のための手続規定を設けること等です。 本協定が我が国について効力を生ずることとなったのは、1995年(平成7年)1月1日です。 |
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C 商標法条約 | |
本条約は、利用者の利便性の向上(ユーザーフレンドリー)の観点から、各国の商標登録制度の手続面の簡素化及び調和を図ることを目的とした条約です。 主な内容としては、一出願多区分制の採用、多件一通方式の採用、願書・各種申請書の記載事項及び各種証明書提出の簡素化、更新時の実体審査及び登録商標の使用チェックの禁止、意見を述べる機会を与えない手続の却下の禁止、手続補完による出願日の認定制度の採用等です。 本条約が我が国について効力を生ずることとなったのは、1997年(平成9年)4月1日です。 |
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D マドリッド協定議定書 | |
マドリッド協定議定書は、1891年4月にパリ条約の特別取極として制定された「標章の国際登録に関するマドリッド協定」について、同協定に基づいて運営される商標の国際登録制度の参加国を増加させる等
の目的で、審査主義国(我が国、英国、米国等)にも配慮した規定とした上で1989年6月に採択されました。 1995年12月に発効し、翌1996年4月から制度運営が開始されています。 2003年2月現在56ヶ国が加盟しており、今後、更に増加していくことが予想されます。 本制度の骨子は、締約国の一国(以下「本国」)に登録又は出願されている商標を基礎に保護を求める締約国(以下「指定国」)を明示してWIPO国際事務局に国際出願し、同事務局が維持管理する国際登録簿にその商標が国際登録されると、その指定国の官庁が12ヶ月又は18ヶ月以内に拒絶理由を通報しない限り、その指定国において保護を確保することができるというものです。 本議定書が我が国について効力を生ずることとなったのは、2000年(平成12年)3月14日です。 |
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現行の外国出願のルート | |
マドリッド・プロトコルのルート | |
[更新日 2001.8.16] |