中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律

(平成18年法律第33号 施行:平成18年6月13日)
第一条(目的)
 この法律は、中小企業によるものづくり基盤技術に関する研究開発及びその成果の利用を促進するための措置を講ずることにより、中小企業のものづくり基盤技術の高度化を図り、もって我が国製造業の国際競争力の強化及び新たな事業の創出を通じて、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
 
第二条(定義)
 この法律において「中小企業者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
 一 資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であって、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種及び第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
 二 資本金の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、卸売業(第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
 三 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、サービス業(第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
 四 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であって、小売業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
 五 資本金の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
 六 企業組合
 七 協業組合
 八 事業協同組合、事業協同小組合、商工組合、協同組合連合会その他の特別の法律により設立された組合及びその連合会であって、政令で定めるもの
 この法律において「特定ものづくり基盤技術」とは、ものづくり基盤技術振興基本法(平成十一年法律第二号)第二条第一項に規定するものづくり基盤技術のうち、当該技術を用いて行う事業活動の相当部分が中小企業者によって行われるものであって、中小企業者がその高度化を図ることが我が国製造業の国際競争力の強化又は新たな事業の創出に特に資するものとして経済産業大臣が指定するものをいう。
 この法律において「特定研究開発等」とは、特定ものづくり基盤技術に関する研究開発を行うこと及びその成果を利用することをいう。
 経済産業大臣は、第二項の特定ものづくり基盤技術を指定し、又はこれを変更しようとするときは、製造業を所管する大臣に協議するとともに、中小企業政策審議会の意見を聴かなければならない。
  経済産業大臣は、第二項の特定ものづくり基盤技術を指定し、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第四条(特定研究開発等計画の認定)
 中小企業者は、特定ものづくり基盤技術の高度化を図るために単独で又は共同で行おうとする特定研究開発等に関する計画(中小企業者が第二条第一項第六号から第八号までに掲げる組合若しくは連合会を設立し、又は合併し、若しくは出資して会社を設立しようとする場合にあっては、その組合若しくは連合会又はその合併若しくは出資により設立される会社(合併後存続する会社を含む。)が行う特定研究開発等に関するものを含む。以下「特定研究開発等計画」という。)を作成し、経済産業省令で定めるところにより、これを経済産業大臣に提出して、その特定研究開発等計画が適当である旨の認定を受けることができる。この場合において、中小企業者が共同で特定研究開発等計画を作成した場合にあっては、経済産業省令で定めるところにより、代表者を定め、これを経済産業大臣に届け出るものとする。
 特定研究開発等計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
 一 特定ものづくり基盤技術の高度化を図るための特定研究開発等の目標
 二 特定研究開発等の内容及び実施期間
 三 特定研究開発等の実施に協力する事業者、大学その他の研究機関、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)その他の者(以下「協力者」という。)がある場合は、当該協力者の名称及び住所並びにその代表者の氏名並びにその協力の内容
 四 特定研究開発等を実施するために必要な資金の額及びその調達方法
 経済産業大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、当該申請に係る特定研究開発等計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。
 一 前項第一号から第三号までに掲げる事項が特定ものづくり基盤技術高度化指針に照らして適切なものであること。
 二 前項第二号に掲げる事項が遂行可能なものであること。
 三 前項第三号及び第四号に掲げる事項が特定研究開発等の適切かつ確実な遂行に資するものであること。
 
第五条(特定研究開発等計画の変更等)
 前条第一項の認定を受けた中小企業者は、当該認定に係る特定研究開発等計画を変更しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣の認定を受けなければならない。
 経済産業大臣は、前条第一項の認定に係る特定研究開発等計画(前項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定計画」という。)に従って特定研究開発等が行われていないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
 前条第三項の規定は、第一項の認定について準用する。
第九条(特許料等の特例)
 特許庁長官は、認定計画に従って行われる特定研究開発等の成果に係る特許発明(当該認定計画における特定研究開発等の実施期間の終了日から起算して二年以内に出願されたものに限る。)又は当該特許発明を実施するために認定計画に従って承継した特許権若しくは特許を受ける権利に係る特許発明について、特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第百七条第一項の規定による第一年から第十年までの各年分の特許料を納付すべき者が当該特定研究開発等を行う中小企業者であるときは、政令で定めるところにより、特許料を軽減し若しくは免除し、又はその納付を猶予することができる。
 特許庁長官は、認定計画に従って行われる特定研究開発等の成果に係る発明(当該認定計画における特定研究開発等の実施期間の終了日から起算して二年以内に出願されたものに限る。)又は当該発明を実施するために認定計画に従って承継した特許を受ける権利に係る発明に関する自己の特許出願について、その出願審査の請求をする者が当該特定研究開発等を行う中小企業者であるときは、政令で定めるところにより、特許法第百九十五条第二項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料を軽減し、又は免除することができる。