商標法条約

(平成9年3月12日条約第2号 :平成9年4月1日 発効)
 
第一条(略称)
 この条約の適用上、明示的に別段の定めがある場合を除くほか、
(@) 「官庁」とは、締約国により標章の登録を委任された機関をいう。
(A) 「登録」とは、官庁による標章の登録をいう。
(B) 「出願」とは、登録の出願をいう。
(C) 「者」というときは、自然人及び法人をいうものとする。
(D) 「名義人」とは、標章登録簿に登録の名義人として表示されている者をいう。
(E) 「標章登録簿」とは、すべての登録の内容、すべての登録に関して記録されたすべての事項の内容等の情報が集積したものであって官庁が保管するものをいい、当該情報が蓄積される媒体のいかんを問わない。
(F) 「パリ条約」とは、千八百八十三年三月二十日にパリで署名され、その後改正され及び修正された工業所有権の保護に関するパリ条約をいう。
(G) 「ニース分類」とは、千九百五十七年六月十五日にニースで署名され、その後改正され及び修正された標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定に基づいて作成された分類をいう。
(H) 「締約国」とは、この条約を締結している国又は政府間機関をいう。
(I) 「批准書」というときは、受諾書及び承認書を含めていうものとする。
(I@) 「機関」とは、世界知的所有権機関をいう。
(IA) 「事務局長」とは、機関の事務局長をいう。
(IB) 「規則」とは、 第十七条に規定するこの条約に基づく規則をいう。
 
第二条(この条約が適用される標章)
(1)【標章の本質】
(a) この条約は、視認することができる標識によって構成される標章について適用する。ただし、立体標章については、その登録を認める締約国のみが当該標章についてこの条約を適用する義務を負う。
(b) この条約は、ホログラム標章及び視認することができる標識によつて構成されない標章(特に、音響標章及びにおいの標章)については適用しない。
(2)【標章の種類】
(a) この条約は、商品に関する標章(商標)、サービスに関する標章(サービス・マーク)並びに商品及びサービスの双方に関する商標について適用する。
(b) この条約は、団体標章、証明標章及び保証標章については適用しない。
 
第三条(出願)
(1)【願書に記載し又は添付するもの及び料金】
(a) 締約国は、願書に次のものの全部又は一部を記載し又は添付するよう要求することができる。
(@) 登録の申請
(A) 出願人の氏名又は名称及び住所
(B) 出願人がいずれかの国の国民である場合には当該国の名称、出願人がいずれかの国に住所を有する場合には当該国の名称及び出願人がいずれかの国に現実かつ真正の工業上又は商業上の営業所を有する場合には当該国の名称
(C) 出願人が法人である場合には、当該法人の法的性質並びにその法令に基づいて当該法人が設立された国の名称及び該当するときは当該国の地域であってその法令に基づいて当該法人が設立されたものの名称
(D) 出願人が代理人を有する場合には、当該代理人の氏名又は名称及び住所
(E)  次条(2)(b)の規定に基づき送達のためのあて先を要求する場合には、当該あて先
(F) 出願人が当該出願人が行つた先の出願に基づく優先権を主張する場合には、当該先の出願に基づく優先権を主張する旨の申立て並びにパリ条約 第四条の規定に従って要求されるときは当該優先権の申立てを裏付ける表示及び証拠
(G) 博覧会において商品又はサービスを展示したことによって生じている保護についての利益を出願人が主張する場合において、自国の法令が要求するときは、その旨の申立て及びこれを裏付ける表示
(H) 自国の官庁が標準とする文字(数字を含む。)を指定する場合において、出願人が標準文字で標章が登録され及び公告されることを希望するときは、その旨の陳述
(I) 出願人が標章の識別性のある特徴として色彩を主張する場合には、その旨の陳述並びに主張される色彩の名称及び各色彩について標章のうち当該色彩である主要部分の表示
(I@) 標章が立体標章である場合には、その旨の陳述
(IA) 標章の一通又は二通以上の複製
(IB) 標章の全部又は一部の音訳
(IC) 標章の全部又は一部の翻訳
(ID) ニース分類の類に従って類別された登録を求める商品又はサービスの名称(類別された商品又はサービスの各群の前には当該群が属する同分類の類の番号を付するものとし、同分類の類の番号の順序で各群を表示する。)
(IE) (4)に規定する者による署名
(IF) 自国の法令が要求する標章の使用意思に関する宣言書
(b)出願人は、(a)(IF)に規定する標章の使用意思に関する宣言書に代えて又はこれに追加して、締約国の法令によって要求される標章の実際の使用に関する宣言書及び証拠を提出することができる。
(c) 締約国は、出願に関し、料金を自国の官庁に支払うよう要求することができる。
(2)【展出】
 願書の提出に関する要件について、次の場合のいずれかに該当する場合には、いかなる締約国も、出願を却下してはならない。
(@) 願書が、書面に記載されて提出された場合において、(3)の規定に従うことを条件として、規則で定める願書様式に相当する様式で提出されたとき。
(A) 当該締約国が自国の官庁に対するファクシミリによる書類の送付を認め、かつ、願書がファクシミリによって送付された場合において、(3)の規定に従うことを条件として、送付された書類の写しが(@)に規定する様式に合致するとき。
(3)【言語】
 締約国は、願書が自国の官庁によって認められた一の言語又は二以上の言語のうちのいずれか一の言語で作成されるよう要求することができる。官庁が二以上の言語を認める場合には、出願人に対し、当該官庁について適用されるその他の言語上の要件を満たすよう要求することができる。ただし、願書については、二以上の言語で作成されるよう要求することができない。
(4)【署名】
(a) (1)(a)(IE)に規定する署名については、出願人又はその代理人の署名とすることができる。
(b) (a)の規定にかかわらず、締約国は、(1)の(a)(IF)及び(b)に規定する宣言書については、出願人が代理人を有する場合であっても、出願人自身が署名するよう要求することができる。
(5) 【二以上の類に属する商品又はサービスに係る単一の出願】
 二以上の商品又はサービスに係る出願については、当該商品又はサービスがニース分類の一の類に属するか二以上の類に属するかにかかわらず、一の願書で行うことができる。
(6)【実際の使用】
 締約国は、使用意思に関する宣言書が(1)(a)(IF)の規定に従つて提出された場合には、出願人に対し、自国の法令によって要求される標章の実際の使用に関する証拠を当該法令で定める期間内に(規則で定める最小眼の期間についての規定に従うことを条件とする。)自国の官庁に提出するよう要求することができる。
(7)【その他の要件の禁止】
 いかなる締約国も、出願に関し、(1)から(4)まで及び(6)に定める要件以外の要件を満たすよう要求することができない。特に、次の要件については、出願が係属している間を通じて要求することができない。
(@) 商業登記簿の証明書及び抄本を提出すること。
(A) 出願人が工業上又は商業上の業務を行っている旨を表示し及びこのことについての証拠を提出すること。
(B) 願書に記載された商品又はサービスに係る業務を出願人が行つている旨を表示し及びこのことについての証拠を提出すること。
(C) 標章が他の締約国又は締約国でないパリ条約の締約国の標章登録簿に登録されていることについての証拠を提出すること。ただし、出願人が同条約 第六条の五の規定の適用を主張する場合は、この限りでない。
(8)【証拠】
 締約国は、自国の官庁が願書に記載された事項の真実性について合理的な疑義を有する場合には、出願の審査において証拠を当該官庁に提出するよう要求することができる。
 
第四条(代理及び送達のためのあて先)
(1)【業として手続をとることを認められた代理人】
 締約国は、自国の官庁に対する手続のための代理人として選任される者を当該官庁に対し業として手続をとることを認められた代理人とするよう要求することができる。
(2)【代理の義務付け及び送達のためのあて先】
(a) 締約国は、自国の領域内に住所又は現実かつ真正の工業上若しくは商業上の営業所のいずれも有していない者に対し、自国の官庁に対する手続をとるに際し代理人によって代理されるよう要求することができる。
(b) 締約国は、(a)の規定に基づいて代理人を要求しない場合には、自国の領域内に住所又は現実かつ真正の工業上若しくは商業上の営業所のいずれも有していない者に対し、自国の官庁に対する手続をとるに際し当該領域内に送達のためのあて先を有するよう要求することができる。
(3)【委任状】
(a) 締約国は、出願人、名義人その他の関係する者に対し自国の官庁に対する手続において代理人によって代理されることを認め又は要求する場合には、出願人、名義人その他の関係する者の氏名又は名称を記載し及び当該者が署名した別個の書類(以下「委任状」という。)において代理人を選任するよう要求することができる。
(b) 委任状は、当該委任状において特定する一又は二以上の出願又は登録に係るものとすることができるものとし、選任を行う者が記載したものを除くほか、当該者に係る既存の及び将来のすべての出願又は登録に係るものとすることができる。
(c) 委任状は、代理人の権限を特定の行為に限定することができる。締約国は、代理人が出願を取り下げ又は登録を放棄する権限を有する根拠となる委任状に当該代理人が出願の取下げ又は登録の放棄についての権限を有する旨を明記するよう要求することができる。
(d) 書類に代理人として記載されている者が官庁に対し当該書類を提出する場合において、当該官庁が当該書類を受理した時に、必要な委任状が当該官庁に提出されていないときは、締約国は、自国が定める期間内に(規則で定める最小限の期間についての規定に従うことを条件とする。)委任状を当該官庁に提出するよう要求することができる。締約国は、委任状が自国が定める期間内に官庁に提出されない場合には当該者が提出した書類は効力を有しない旨を定めることができる。
(e) 委任状の提出及び内容に関する要件について、次の場合のいずれかに該当する場合には、いかなる締約国も、委任状の効力を否認してはならない。
(@) 委任状が、書面に記載されて提出された場合において、(4)の規定に従うことを条件として、規則で定める委任状様式に相当する様式で提出されたとき。
(A) 当該締約国が自国の官庁に対するファクシミリによる書類の送付を認め、かつ、委任状がファクシミリによって送付された場合において、(4)の規定に従うことを条件として、送付された書類の写しが(@)に規定する様式に合致するとき。
(4)【言語】
 締約国は、委任状が自国の官庁によつて認められた一の言語又は二以上の言語のうちのいずれか一の言語で作成されるよう要求することができる。
(5)【委任状についての言及】
 締約国は、自国の官庁に対する手続のために代理人が当該官庁に提出する書類において当該代理人の行為の根拠となる委任状について言及するよう要求することができる。
(6)【その他の要件の禁止】
 いかなる締約国も、(3)から(5)までに規定する事項に関し、(3)から(5)までに定める要件以外の要件を満たすよう要求することができない。
(7)【証拠】
 締約国は、自国の官庁が(2)から(5)までに規定する書類に記載された事項の真実性について合理的な疑義を有する場合には、証拠を当該官庁に提出するよう要求することができる。
 
第五条(出願日)
(1)【許容される要件】
(a) 締約国は、(b)及び(2)の規定に従うことを条件として、 第三条(3)の規定に基づいて要求する言語で記載され又は作成された次のすべてのものを自国の官庁が受理した日を出願日として認める。
(@) 標章の登録を求める旨の明示的又は黙示的な表示
(A) 出願人を特定することができる表示
(B) 出願人又は、その代理人がある場合には、当該代理人に郵便によつて連絡するのに足りる表示
(C) 登録を求める標章の十分に鮮明な複製一通
(D) 登録を求める商品又はサービスの一覧表
(E)  第三条(1)の(a)(IF)又は(b)の規定が適用される場合には、それぞれ、自国の法令が要求する同条(1)(a)(IF)に規定する宣言書又は同条(1)(b)に規定する宣言書及び証拠。これらの宣言書については、出願人が代理人を有する場合であっても、当該締約国の法令が要求するときは、出願人自身が署名することを要する。
(b) 締約国は、(a)の(@)から(E)までに規定するものの全部ではな く一部又は(a)の(@)から(E)までに規定するものであって 第三条(3)の規定に基づいて要求する言語以外の言語で記載され若しくは作成されたものを自国の官庁が受理した日を出願日として認めることができる。
(2) 【許容される追加的な要件】
(a) 締約国は、必要な料金が支払われるまで出願日の認定を行わない旨を定めることができる。
(b) 締約国は、この条約の締約国となる時に(a)に定める要件を適用する場合に限り、当該要件を適用することができる。
(3)【補完及び期間】
 (1)及び(2)の規定に係る補完の方法及び期間は、規則で定める。
(4)【その他の要件の禁止】
 いかなる締約国も、出願日に関し、(1)及び(2)に定める要件以外の要件を満たすよう要求することができない。
 
第六条(二以上の類に属する商品又はサービスに係る単一の登録)
 ニース分類の二以上の類に属する商品又はサービスが一の願書に記載されている場合には、この出願は、一の登録をもたらす。
 
第七条(出願及び登録の分割)
(1)【出願の分割】
(a) 二以上の商品又はサービスを掲げる出願(以下「もとの出願」という。)は、次の期間中、出願人により又は出願人の申請により、もとの出願に掲げる商品又はサービスを二以上の出願に分配することによつて当該二以上の出願(以下「分割出願」という。)に分割することができる。分割出願は、当該もとの出願の出願日及び優先権がある場合にはその利益を維持するものとする。
(@) 少なくとも、標章の登録に関し官庁が決定するまでの間
(A) 標章を登録する旨の官庁の決定に対する異議申立手続の期間
(B) 標章の登録に関する決定に対する不服申立手続((@)の官庁に対するものを除く。)の期間
(b) 締約国は、(a)の規定に従うことを条件として、出願の分割の要件(料金の支払等)を定めることができる。
(2) 【登録の分割】
 (1)の規定は、登録の分割について準用する。登録の分割は、次の期間中、認められる。ただし、締約国は、自国の法令が第三者に対し標章の登録前に当該標章の登録に異議を申し立てることを認める場合には、登録の分割を認めないことができる。
(@) 第三者が官庁に対して登録の有効性を争う手続の期間
(A) (@)の手続において官庁が行った決定に対する不服申立手続(当該官庁に対するものを除く。)の期間
 
第八条(署名)
(1)【書面に記載されて提出される書類】
 締約国の官庁に対して提出される書類が書面に記載されたものであり、かつ、署名が要求される場合には、当該締約国は、
(@) (B)の規定が適用される場合を除くほか、自筆の署名を認める。
(A) 自筆の署名に代えて、印刷された署名、スタンプによって押印された署名その他の形式の署名の使用又は印影の使用を認めることができる。
(B) 書類に署名する自然人が自国民であり、かつ、その者の住所が自国の領域内にある場合には、自筆の署名に代えて印影を使用するよう要求することができる。
(C) 印影が使用される場合には、当該印影にこれを使用する自然人の氏名を文字で付記するよう要求することができる。
(2)【ファクシミリによって提出される書類】
(a) 締約国は、自国の官庁に対するファクシミリによる書類の送付を認める場合において、署名の複製、印影の複製又は(1)(C)の規定に基づいて要求するときは印影を使用する自然人の氏名を文字で付記した印影の複製がファクシミリによって出力された印刷物上に現れているときは、当該書類を署名されたものとする。
(b) (a)に規定する締約国は、ファクシミリによって送付された書類の原本を一定の期間内に(規則で定める最小隈の期間についての規定に従うことを条件とする。)自国の官庁に提出するよう要求することができる。
(3)【電磁的手段による提出】
 締約国は、自国の官庁に対する電磁的手段による提出を認める場合において、当該官庁が提出者を自国の定める電磁的手段によって特定したときは、提出されたものを署名されたものとする。
(4)【証明の要求の禁止】いかなる締約国も、(1)から(3)までに規定する署名その他書類を提出した者を特定する方法についての真正の証明その他の証明を要求することができない。ただし、署名が登録の放棄に関するものである場合において、自国の法令が署名についての証明を要求する旨を定めるときは、この限りでない。
 
第九条(商品又はサービスの分類)
(1)【商品又はサービスの表示】
 登録及び官庁が行う公告(出願又は登録に関係し、かつ、商品又はサービスを表示するもの)については、ニース分類の類に従って類別された商品又はサービスの名称を表示する。類別された商品又はサービスの各群の前には当該群が属する同分類の類の番号を付するものとし、同分類の類の番号の順序で各群を表示する。
(2)【同一の又は異なる類に属する商品又はサービス】
(a) 商品又はサービスは、登録又は官庁が行う公告においてニース分類の同一の類に表示されているという理由によっては、互いに類似するものと認めることができない。
(b) 商品又はサービスは、登録又は官庁が行う公告においてニース分類の異なる類に表示されているという理由によっては、互いに類似するものでないと認めることができない。
 
第十条(氏名若しくは名称又は住所の変更)
(1)【名義人の氏名若しくは名称又は住所の変更】
(a) 名義人である者には変更はないが名義人の氏名若しくは名称又は住所に変更があった場合には、締約国は、自国の官庁に対する標章登録簿における変更の記録の申請が、名義人又はその代理人によって署名され、かつ、関係する登録の登録番号及び記録すべき変更を記載した書類によって行われることを認める。当該変更に係る申請書の提出に関する要件について、次の場合のいずれかに該当する場合には、いかなる締約国も、申請を却下してはならない。
(@) 申請書が、書面に記載されて提出された場合において、(c)の規定に従うことを条件として、規則で定める申請書様式に相当する様式で提出されたとき。
(A) 当該締約国が自国の官庁に対するファクシミリによる書類の送付を認め、かつ、申請書がファクシミリによって送付された場合において、(c)の規定に従うことを条件として、送付された書類の写しが(@)に規定する様式に合致するとき。
(b) 締約国は、申請書に次の事項を記載するよう要求することができる。
(@) 名義人の氏名又は名称及び住所
(A) 名義人が代理人を有する場合には、当該代理人の氏名又は名称及び住所
(B) 名義人が送達のためのあて先を有する場合には、当該あて先
(c) 締約国は、申請書が自国の官庁によって認められた一の言語又は二以上の言語のうちのいずれか一の言語で作成されるよう要求することができる。
(d) 締約国は、申請に関し、料金を自国の官庁に支払うよう要求することができる。
(e) 変更の記録は、当該変更が二以上の登録に係るものであっても、一の申請書で求めることができる。ただし、すべての関係する登録の登録番号が当該申請書に記載されている場合に限る。
(2)【出願人の氏名若しくは名称又は住所の変更】
 変更が出願又は出願及び登録の双方に係る場合には、(1)の規定を準用する。この場合において、関係する出願の出願番号が付されていないとき又は出願人若しくはその代理人が当該出願番号を知らないときは、申請は、規則で定める他の方法で当該出願を特定して行うものとする。
(3)【代理人の氏名若しくは名称若しくは住所又は送達のためのあて先の変更】
 (1)の規定は、代理人がある場合にはその氏名若しくは名称又は住所の変更について、送達のためのあて先がある場合には当該あて先の変更について準用する。
(4)【その他の要件の禁止】
 いかなる締約国も、この条に規定する申請に関し、(1)から(3)までに定める要件以外の要件を満たすよう要求することができない。特に、変更に関する証明書の提出については、要求することができない。
(5) 【証拠】
 締約国は、自国の官庁が申請書に記載された事項の真実性について合理的な疑義を有する場合には、証拠を当該官庁に提出するよう要求することができる。
 
第十一条(権利の移転)
(1)【登録に係る権利の移転】
(a) 名義人である者に変更があった場合には、締約国は、自国の官庁に対する標章登録簿における移転の記録の申請が、名義人若しくはその代理人又は権利を取得した者(以下「新権利者」という。)若しくはその代理人によって署名され、かつ、関係する登録の登録番号及び記録すべき移転を記載した書類によって行われることを認める。当該移転に係る申請書の提出に関する要件について、次の場合のいずれかに該当する場合には、いかなる締約国も、申請を却下してはならない。
(@) 申請書が、書面に記載されて提出された場合において、(2)(a)の規定に従うことを条件として、規則で定める申請書様式に相当する様式で提出されたとき。
(A) 当該締約国が自国の官庁に対するファクシミリによる書類の送付を認め、かつ、申請書がファクシミリによって送付された場合において、(2)(a)の規定に従うことを条件として、送付された書類の写しが(@)に規定する様式に合致するとき。
(b) 権利の移転が契約によるものである場合には、締約国は、申請書に、当該移転が契約によるものであることを記載し及び申請人の選択により次のいずれかのものを添付するよう要求することができる。
(@) 契約書の写し。当該写しについては、公証人その他の権限のある公の当局が当該契約書の原本と同一の内容であることを認証するよう要求することができる。
(A) 契約書における当該権利の移転を表示する部分の抄本。当該抄本については、公証人その他の権限のある公の当局が当該契約書の真正な抄本であることを認証するよう要求することができる。
(B) 規則で定める様式及び内容で作成され、かつ、名義人及び新権利者の双方が署名した譲渡証明書であって、認証されていないもの。
(C) 規則で定める様式及び内容で作成され、かつ、名義人及び新権利者の双方が署名した譲渡文書であって、認証されていないもの
(c) 権利の移転が合併によるものである場合には、締約国は、申請書に、当該移転が合併によるものであることを記載し及び権限のある当局が発行する合併を証明する文書の写し(例えば、商業登記簿の抄本の写し)を添付するよう要求することができる。当該写しについては、当該文書を発行した当局又は公証人その他の権限のある公の当局が当該文書の原本と同一の内容であることを認証するよう要求することができる。
(d) 移転が一部の共同名義人に係るものであるが全部の共同名義人に係るものではなく、かつ、当該移転が契約又は合併によるものである場合には、締約国は、権利の移転に関係しない共同名義人が自己の署名した文書において当該権利の移転に明示の同意を与えるよう要求することができる。
(e) 権利の移転が契約又は合併によるものでなく、法令の実施、裁判所の決定その他の理由によるものである場合には、締約国は、申請書に、当該移転が契約又は合併によるものでないことを記載し及び当該移転を証明する文書の写しを添付するよう要求することができる。当該写しについては、当該文書を発行した当局又は公証人その他の権限のある公の当局が当該文書の原本と同一の内容であることを認証するよう要求することができる。
(f) 締約国は、申請書に次の事項を記載するよう要求することができる。
(@) 名義人の氏名又は名称及び住所
(A) 新権利者の氏名又は名称及び住所
(B) 新権利者がいずれかの国の国民である場合には当該国の名称、新権利者がいずれかの国に住所を有する場合には当該国の名称及び新権利者がいずれかの国に現実かつ真正の工業上又は商業上の営業所を有する場合には当該国の名称
(C) 新権利者が法人である場合には、当該法人の法的性質並びにその法令に基づいて当該法人が設立された国の名称及び該当するときは当該国の地域であってその法令に基づいて当該法人が設立されたものの名称
(D) 名義人が代理人を有する場合には、当該代理人の氏名又は名称及び住所
(E) 名義人が送達のためのあて先を有する場合には、当該あて先
(F) 新権利者が代理人を有する場合には、当該代理人の氏名又は名称及び住所
(G) 新権利者に対し 第四条(2)(b)の規定に基づき送達のためのあて先を有するよう要求する場合には、当該あて先
(g) 締約国は、申請に関し、料金を自国の官庁に支払うよう要求することができる。
(h) 移転の記録は、当該移転が二以上の登録に係るものであっても、一の申請書で求めることができる。ただし、各登録における名義人及び新権利者がそれぞれ同一であり、かつ、すべての関係する登録の登録番号が当該申請書に記載されている場合に限る。
(i) 権利の移転が名義人の登録に掲げる商品又はサービスのすべてには影響を及ぼさない場合において、関係法令がこのような移転の記録を認めるときは、官庁は、当該移転に係る商品又はサービスについて別個の登録を行う。
(2)【言語及び翻訳】
(a) 締約国は、(1)に規定する申請書、譲渡証明書又は譲渡文書が自国の官庁によって認められた一の言語又は二以上の言語のうちのいずれか一の言語で作成されるよう要求することができる。
(b) (1)の(b)(@)、(b)(A)、(c)及び(e)に規定する文書が締約国の官庁によって認められた言語で作成されていない場合には、当該締約国は、当該官庁によって認められた一の言語又は二以上の言語のうちのいずれか一の言語で作成された当該文書の翻訳文(認証されたものを含む。)を申請書に添付するよう要求することができる。
(3)【出願に係る権利の移転】
 権利の移転が出願又は出願及び登録の双方に係る場合には、(1)及び(2)の規定を準用する。この場合において、関係する出願の出願番号が付されていないとき又は出願人若しくはその代理人が当該出願番号を知らないときは、申請は、規則で定める他の方法で当該出願を特定して行うものとする。
(4)【その他の要件の禁止】
 いかなる締約国も、この条に規定する申請に関し、(1)から(3)までに定める要件以外の要件を満たすよう要求することができない。特に、次の要件については、要求することができない。
(@) 商業登記簿の証明書及び抄本を提出すること。ただし、(1)(c)の規定が適用される場合を除く。
(A) 新権利者が工業上又は商業上の業務を行っている旨を表示し及びこのことについての証拠を提出すること。
(B) 権利の移転によって影響を受ける商品又はサービスに係る業務を新権利者が行っている旨を表示し及びこのことについての証拠を提出すること。
(C) 名義人が事業又は関連するのれんの全部又は一部を新権利者に譲渡した旨を表示し及びこのことについての証拠を提出すること。
(5)【証拠】
 締約国は、自国の官庁がこの条に規定する申請書又は文書に記載された事項の真実性について合理的な疑義を有する場合には、証拠又は(1)の(c)若しくは(e)の規定が適用されるときは追加的な証拠を当該官庁に提出するよう要求することができる。
 
第十二条(誤りの訂正)
(1)【登録に係る誤りの訂正】
(a) 締約国は、自国の官庁に提出された願書その他の申請書における誤りであって標章登録簿又は当該官庁が行う公告に反映されるものの訂正の申請が、名義人又はその代理人によって署名され、かつ、関係する登録の登録番号、訂正すべき誤り及び記入すべき訂正を記載した書類によって行われることを認める。当該訂正に係る申請書の提出に関する要件について、次の場合のいずれかに該当する場合には、いかなる締約国も、申請を却下してはならない。
(@) 申請書が、書面に記載されて提出された場合において、(c)の規定に従うことを条件として、規則で定める申請書様式に相当する様式で提出されたとき。
(A) 当該締約国が自国の官庁に対するファクシミリによる書類の送付を認め、かつ、申請書がファクシミリによって送付された場合において、(c)の規定に従うことを条件として、送付された書類の写しが(@)に規定する様式に合致するとき。
(b) 締約国は、申請書に次の事項を記載するよう要求することができる。
(@) 名義人の氏名又は名称及び住所
(A) 名義人が代理人を有する場合には、当該代理人の氏名又は名称及び住所
(B) 名義人が送達のためのあて先を有する場合には、当該あて先
(c) 締約国は、申請書が自国の官庁によって認められた一の言語又は二以上の言語のうちのいずれか一の言語で作成されるよう要求することができる。
(d) 締約国は、申請に関し、料金を自国の官庁に支払うよう要求することができる。
(e) 誤りの訂正は、一の者の二以上の登録に係るものであっても、一の申請書で求めることができる。ただし、各登録における誤り及びその訂正がそれぞれ同一であり、かつ、すべての関係する登録の登録番号が当該申請書に記載されている場合に限る。
(2)【出願に係る誤りの訂正】
 誤りが出願又は出願及び登録の双方に係る場合には、(1)の規定を準用する。この場合において、関係する出願の出願番号が付されていないとき又は出願人若しくはその代理人が当該出願番号を知らないときは、申請は、規則で定める他の方法で当該出願を特定して行うものとする。
(3)【その他の要件の禁止】
 いかなる締約国も、この条に規定する申請に関し、(1)及び(2)に定める要件以外の要件を満たすよう要求することができない。
(4)【証拠】
 締約国は、主張された誤りが現に誤りであるということについて自国の官庁が合理的な疑義を有する場合には、証拠を当該官庁に提出するよう要求することができる。
(5)【官庁による誤り】
 締約国の官庁は、職権により又は申請により無料で自己の誤りを訂正する。
(6) 【訂正することができない誤り】
 いかなる締約国も、自国の法令によって訂正することができないものとされる誤りについて、(1)、(2)及び(5)の規定を適用する義務を負わない。
 
第十三条(登録の存続期間及び更新)
(1)【更新の申請書に記載する事項及び料金】
(a) 締約国は、登録の更新について申請書の提出を条件とし及び当該申請書に次の事項の全部又は一部を記載するよう要求することができる。
(@) 更新を求める旨の表示
(A) 名義人の氏名又は名称及び住所
(B) 関係する登録の登録番号
(C) 当該締約国の選択により、関係する登録をもたらした出願の出願日又は関係する登録の登録日
(D) 名義人が代理人を有する場合には、当該代理人の氏名又は名称及び住所
(E) 名義人が送達のためのあて先を有する場合には、当該あて先
(F) 当該締約国が標章登録簿に記録されている商品又はサービスの一部についてのみ行われる登録の更新を認め、かつ、このような更新の申請が行われる場合には、ニース分類の類に従って類別された当該申請に係る記録された商品若しくはサービスの名称又は当該申請に係るものでない記録された商品若しくはサービスの名称(類別された商品又はサービスの各群の前には当該群が属する同分類の類の番号を付するものとし、同分類の類の番号の順序で各群を表示する。)
(G) 当該締約国が名義人又はその代理人以外の者によって更新の申請書が提出されることを認め、かつ、当該申請書が当該者によって提出される場合には、当該者の氏名又は名称及び住所
(H) 名義人若しくはその代理人の署名又は(G)の規定が適用される場合には(G)に規定する者の署名
(b) 締約国は、更新の申請に関し、料金を自国の官庁に支払うよう要求することができる。料金が登録の最初の存続期間又は更新の存続期間に関して支払われた場合には、当該期間における登録の存続については、料金の支払を更に要求することができない。使用に関する宣言書又は証拠の提出に係る料金は、この(b)の規定の適用上、登録の存続のために要求される支払とは認められないものとし、この(b)の規定によって影響を受けない。
(c) 締約国は、自国の法令で定める期間内に(規則で定める最小限の期間についての規定に従うことを条件とする。)更新の申請書を自国の官庁に提出し及び(b)に規定する料金(更新の申請に係るもの)を自国の官庁に支払うよう要求することができる。
(2)【提出】
 更新の申請書の提出に関する要件について、次の場合のいずれかに該当する場合には、いかなる締約国も、申請を却下してはならない。
(@) 申請書が、書面に記載されて提出された場合において、(3)の規定に従うことを条件として、規則で定める申請書様式に相当する様式で提出されたとき。
(A) 当該締約国が自国の官庁に対するファクシミリによる書類の送付を認め、かつ、申請書がファクシミリによって送付された場合において、(3)の規定に従うことを条件として、送付された書類の写しが(@)に規定する様式に合致するとき。
(3)【言語】
 締約国は、更新の申請書か自国の官庁によって認められた一の言語又は二以上の言語のうちのいずれか一の言語で作成されるよう要求することができる。
(4)【その他の要件の禁止】
 いかなる締約国も、更新の申請に関し、(1)から(3)までに定める要件以外の要件を満たすよう要求することができない。特に、次のものの提出については、要求することができない。
(@) 標章の複製及び標章を特定するその他のもの
(A) 他の締約国の標章登録簿において標章が登録され又は標章の登録が更新されていることについての証拠
(B) 標章の使用に関する宣言書又は証拠
(5)【証拠】
 締約国は、自国の官庁が更新の申請書に記載された事項の真実性について合理的な疑義を有する場合には、更新の申請の審査において証拠を当該官庁に提出するよう要求することができる。
(6)【実体についての審査の禁止】
 いかなる締約国の官庁も、登録の更新に際し実体について審査することができない。
(7)【存続期間】
 登録の最初の存続期間及び各更新の存続期間は、十年とする。
 
第十四条(却下し又は拒絶しようとする場合の意見)
 官庁は、出願又は 第十条から 前条までの規定による申請に関し、却下し又は拒絶しようとすることについて合理的な期間内に意見を述べる機会を出願人又は申請人に与えることなく、その全部又は一部を却下し又は拒絶することができない。
(参考) 商標法条約  第十一条第十二条
 
第十五条(パリ条約を遵守する義務)
 締約国は、パリ条約の規定で標章に関するものを遵守する。
 
第十六条(サービス・マーク)
 締約国は、サービス・マークを登録し、パリ条約の商標に関する規定をサービス・マークについて適用する。
 
第十七条(規則)
(1)【内容】
(a) この条約に附属する規則には、次の事項に関する規定を設ける。
(@) この条約が明示的に「規則で定める」と規定する事項
(A) この条約の規定を実施するために有用な細目
(B) 業務の運用上の要件、事項又は手続
(b) 規則には、モデル国際様式も含める。
(2)【条約と規則との抵触】
 この条約の規定と規則の規定とが抵触する場合には、この条約の規定が優先する。
 
第十八条(改正及び議定書)
(1)【改正】
 この条約は、外交会議によって改正することができる。
(2)【議定書】
 標章に関する法令の調和を更に発展させる目的のため、この条約の規定に、反しない限り、外交会議によって議定書を採択することができる。
 
第十九条(締約国となるための手続)
(1)【資格】
 次の国及び政府間機関は、この条約に署名することができ、また、(2)及び(3)並びに 次条の(1)及び(3)の規定に従うことを条件として、締約国となることができる。
(@) 機関の加盟国であって、自国の官庁に標章を登録することができるもの
(A) 政府間機関であって、その設立条約が適用される領域、そのすべての構成国又は関係する出願において登録のために指定された構成国において効力を有するものとして標章を登録することができる官庁を維持するもの。ただし、当該政府間機関のすべての構成国が機関の加盟国である場合に限る。
(B) 機関の加盟国であって、機関の加盟国である他の特定の国の官庁を通じてのみ標章を登録することができるもの
(C) 機関の加盟国であっで、当該国が構成国である政府間機関が維持する官庁を通じてのみ標章を登録することができるもの
(D) 機関の加盟国であって、機関の加盟国群に共通の官庁を通じてのみ標章を登録することができるもの
(2)【批准又は加入】
 (1)に規定する国及び政府間機関は、次のものを寄託することができる。
(@) この条約に署名している場合には、批准書
(A) この条約に署名していない場合には、加入書
(3)【寄託が有効となる日】
(a) (b)の規定が適用される場合を除くほか、批准書又は加入書の寄託が有効となる日は、次のとおりとする。
(@) (1)(@)に規定する国については、当該国の批准書又は加入書が寄託された日
(A) 政府間機関については、当該政府間機関の批准書又は加入書が寄託された日
(B) (1)(B)に規定する国については、次の条件が満たされた日。すなわち、当該国の批准書又は加入書が寄託され、かつ、他の特定の国の批准書又は加入書が寄託されたこと。
(C) (1)(C)に規定する国については、当該国が構成国である政府間機関の批准書又は加入書が寄託された日
(D) (1)(D)に規定する加盟国群の国については、当該加盟国群のすべての国の批准書又は加入書が寄託された日
(b) いずれの国も、批准書又は加入書(この(b)において「文書」という。)に、この条約の締約国となる資格を有する他の一の国若しくは一の政府間機関、他の二の国又は他の一の国及び一の政府間機関の文書も寄託されることを自国が文書を寄託したとみなされる条件とする旨の宣言を伴わせることができる。この場合において、当該他の国又は政府間機関については、その名称を明示する。当該宣言を伴う文書は、当該宣言に明示する条件が満たされた日に寄託されたものとみなされる。ただし、当該文書は、当該宣言に明示する文書の寄託がそれ自体同種の宣言を伴う場合には、当該同種の宣言に明示する条件が満たされた日に寄託されたものとみなされる。
(c) (b)の規定に基づいて行われた宣言は、いつでも、その全部又はは一部を撤回することができる。撤回は、事務局長が撤回の通告を受領した日に効力を生ずる。
 
第二十条(批准及び加入の効力発生の日)
(1)【考慮されるべき文書】
 この条の規定の適用上、 前条(1)に規定する国又は政府間機関によって寄託され、かつ、同条(3)の規定に従ってその寄託が有効となった批准書又は加入書のみが考慮される。
(2)【この条約の効力発生】
 この条約は、五の国が批准書又は加入書を寄託した後三箇月で効力を生ずる。
(3)【この条約の効力発生後の批准又は加入の効力発生】
 (2)の国以外の国及び政府間機関は、その批准書又は加入書を寄託した日の後三箇月でこの条約に拘束される。
 
第二十一条(留保)
(1)【特別の種類の標章】
 いずれの国又は政府間機関も、 第二条の(1)(a)及び(2)(a)の規定にかかわらず、留保を付することにより、 第三条の(1)若しくは(2)、 第五条第七条第十一条又は 第十三条の規定を連合標章、防護標章又は派生標章について適用しない旨を宣言することができる。留保には、当該留保に係る規定を明示する。
(2)【方法】
 (1)の規定に基づく留保については、留保を行う国又は政府間機関のこの条約の批准書又は加入書に伴う宣言において付する。
(3)【撤回】
 (1)の規定に基づく留保については、いつでも撤回することができる。
(4)【その他の留保の禁止】
 留保は、(1)の規定に基づいて認められる留保を除くほか、この条約のいかなる規定についても認められない。
 
第二十二条(経過規定)
(1)【二以上の類に属する商品又はサービスに係る単一の出願及び出願の分割】
(a) いずれの国又は政府間機関も、 第三条(5)の規定にかかわらず、ニース分類の一の類に属する商品又はサービスについてのみ自らの官庁に対し一の願書を提出することができる旨を宣言することができる。
(b) いずれの国又は政府間機関も、第六条の規定にかかわらず、ニース分類の二以上の類に属する商品又はサービスが一の願書に記載されている場合にはこの出願が標章登録簿において二以上の登録をもたらし得る旨を宣言することができる。ただし、各登録に当該各登録以外の登録であって当該出願から生じたすべてのものについての言及を付する場合に限る。
(c) (a)の規定に基づく宣言を行った国又は政府間機関は、 第七条(1)の規定にかかわらず、出願を分割することができない旨を宣言することができる。
(2)【二以上の出願又は登録に係る一の委任状】
 いずれの国又は政府間機関も、 第四条(3)(b)の規定にかかわらず、一の委任状については一の出願又は登録にのみ係るものとすることができる旨を宣言することができる。
(3)【委任状及び願書における署名についての証明の要求の禁止】
 いずれの国又は政府問機関も、 第八条(4)の規定にかかわらず、委任状における署名又は願書における出願人の署名が真正の証明その他の証明の対象となるよう要求することができる旨を宣言することができる。
(4)【二以上の出願又は登録に関し、氏名若しくは名称若しくは住所を変更し、権利を移転し又は誤りを訂正するための単一の申請】
 いずれの国又は政府間機関も、 第十条の(1)(e)、(2)及び(3)、 第十一条の(1)(h)及び(3)並びに 第十二条の(1)(e)及び(2)の規定にかかわらず、氏名若しくは名称又は住所の変更の記録の一の申請、権利の移転の記録の一の申請及び誤りの訂正の一の申請については一の出願又は登録にのみ係るものとすることができる旨を宣言することができる。
(5)【更新に際し使用に関する宣言書又は証拠を提出すること】
 いずれの国又は政府間機関も、 第十三条(4)(B)の規定にかかわらず、更新に際し標章の使用に関する宣言書又は証拠を提出するよう要求する旨を宣言することができる。
(6)【更新に際し実体について審査すること】
 いずれの国又は政府間機関も、 第十三条(6)の規定にかかわらず、自らの官庁がサービスに係る登録の最初の更新に際し実体について審査することができる旨を宣言することができる。ただし、その審査は、この条約の効力発生前にサービス・マークの登録制度を導入した国又は政府間機関の法令が効力を生じた後六箇月の期間内に行われた出願に基づく重複登録を除去するためのものに限定される。
(7)【共通規定】
(a) いずれの国又は政府問機関も、(1)から(6)までの規定に基づく宣言を行わなかったならば自らの法令を引き続き適用することがこの条約の批准書又は加入書を寄託する時にこの条約の関連規定に反することとなる場合にのみ、(1)から(6)までの規定に基づく宣言を行うことができる。
(b) (1)から(6)までの規定に基づく宣言については、当該宣言を行う国又は政府間機関のこの条約の批准書又は加入書に伴わせる。
(c) (1)から(6)までの規定に基づいて行われた宣言については、いつでも撤回することができる。
(8)【宣言の効力の喪失】
(a) 国際連合総会の確立された慣行に従って開発途上国とされる国により又は各構成国がそのような開発途上国である政府間機関により(1)から(5)までの規定に基づいて行われた宣言は、(c)の規定が適用される場合を除くほか、この条約の効力発生の日から八年の期間が満了した時にその効力を失う。
(b) (a)に規定する国以外の国により又は(a)に規定する政府間機関以外の政府間機関により(1)から(5)までの規定に基づいて行われた宣言は、(c)の規定が適用される場合を除くほか、この条約の効力発生の日から六年の期間が満了した時にその効力を失う。
(c) (1)から(5)までの規定に基づいて行われた宣言は、二千四年十月二十八日前に、(7)(c)の規定に従って撤回されない場合又は(a)若しくは(b)の規定に基づいてその効力を失わない場合には、同日にその効力を失う。
(9)【締約国となるための手続】
 機関の加盟国ではないがこの条約の採択の日に工業所有権の保護に関する国際同盟(パリ同盟)の構成国である国は、自国の官庁に標章を登録することができる場合には、 第十九条(1)(@)の規定にかかわらず、千九百九十九年十二月三十一日まで締約国となることができる。
 
第二十三条(条約の廃棄)
(1)【通告】
 いずれの締約国も、事務局長にあてた通告によりこの条約を廃棄することができる。
(2)【効力発生の日】
 廃棄は、事務局長がその通告を受領した日から一年で効力を生ずる。廃棄は、これを行った締約国に関し、当該一年の期間が満了した時に係属中の出願又は登録されている標章についてのこの条約の適用に影響を及ぼさない。ただし、廃棄を行った締約国は、当該一年の期間が満了した後、いかなる登録についても、登録を更新すべき日からこの条約の適用を停止することができる。
 
第二十四条(条約の言語及び署名)
(1)【原本及び公定訳文】
(a) この条約に関しては、ひとしく正文である英語、アラビア語、中国語、フランス語、ロシア語及びスペイン語による原本一通について署名する。
(b) 事務局長は、締約国の要請により、当該要請を行った締約国その他関係締約国と協議の上、当該要請を行った締約国の公用語であって(a)に規定していない言語による公定訳文を作成する。
(2)【署名のための期間】
 この条約は、その採択の後一年間、機関の本部において署名のために開放しておく。
 
第二十五条(寄託者)
 この条約の寄託者は、事務局長とする。

 商標法条約に基づく規則(略)