民事訴訟法

 
第五条(財産権上の訴え等についての管轄)
 次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定める地を管轄する裁判所に提起することができる。
財産権上の訴え義務履行地
手形又は小切手による金銭の支払の請求を目的とする訴え手形又は小切手の支払地
船員に対する財産権上の訴え船舶の船籍の所在地
日本国内に住所(法人にあっては、事務所又は営業所。以下この号において同じ。)がない者又は住所が知れない者に対する財産権上の訴え請求若しくはその担保の目的又は差し押さえることができる被告の財産の所在地
事務所又は営業所を有する者に対する訴えでその事務所又は営業所における業務に関するもの当該事務所又は営業所の所在地
[以下、略]
 
第六条(特許権等に関する訴えの管轄)
 特許権、実用新案権、回路配置利用権又はプログラムの著作物についての著作者の権利に関する訴えについて、前二条の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有する場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、その訴えを提起することができる。
東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(束京地方裁判所を除く。)東京地方裁判所
大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(大阪地方裁判所を除く。)大阪地方裁判所
 
第六十一条(訴訟費用の負担の原則)
 訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする。
 
第六十二条(不必要な行為があった場合等の負担)
 裁判所は、事情により、勝訴の当事者に、その権利の伸張若しくは防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用又は行為の時における訴訟の程度において相手方の権利の伸張若しくは防御に必要であった行為によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる。
 
第六十三条(訴訟を遅滞させた場合の負担)
 当事者が適切な時期に攻撃若しくは防御の方法を提出しないことにより、又は期日若しくは期間の不遵守その他当事者の責めに帰すべき事由により訴訟を遅滞させたときは、裁判所は、その当事者に、その勝訴の場合においても、遅滞によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる。
 
第六十四条(一部敗訴の場合の負担)
 一部敗訴の場合のおける各当事者の訴訟費用の負担は、裁判所が、その裁量で定める。ただし、事情により、当事者の一方に訴訟費用の全部を負担させることができる。
 
第六十五条(共同訴訟の場合の負担)
 共同訴訟人は、等しい割合で訴訟費用を負担する。ただし、裁判所は、事情により、共同訴訟人に連帯して訴訟費用を負担させ、又は他の方法により負担させることができる。
 裁判所は、前項の規定にかかわらず、権利の伸張又は防御に必要でない行為をした当事者に、その行為によって生じた訴訟費用を負担させることができる。
 
第六十六条(補助参加の場合の負担)
 第六十一条から前条まで(訴訟費用の敗訴者負担の原則と特則)の規定は、補助参加についての異議によって生じた訴訟費用の補助参加人とその異議を述べた当事者との間における負担の関係及び補助参加によって生じた訴訟費用の補助参加人と相手方との間における負担の関係について準用する。
 
第六十九条(法定代理人等の費用償還)
 法定代理人、訴訟代理人、裁判所書記官又は執行官が故意又は重大な過失によって無益な訴訟員用を生じさせたときは、受訴裁判所は、申立てにより又は職権で、これらの者に対し、その費用額の償還を命ずることができる。
 前項の規定は、法定代理人又は訴訟代理人として訴訟行為をした者が、その代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権があることを証明することができず、かつ、追認を得ることができなかった場合において、その訴訟行為によって生した訴訟費用について準用する。
 第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 
第七十条(無権代理人の費用負担)
  前条第二項に規定する場合において、裁判所が訴えを却下したときは、訴訟費用は、代理人として訴訟行為をした者の負担とする。
 
第七十一条(訴訟費用額の確定手続)
 訴訟費用の負担の額は、その負担の裁判が執行力を生じた後に、申立てにより、第一審裁判所の裁判所書記官が定める。
 前項の場合において、当事者双方が訴訟費用を負担するときは、最高裁判所規則で定める場合を除き、各当事者の負担すべき費用は、その対当額について相殺があったものとみなす。
 第一項の申立てに関する処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
 前項の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
 前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
 裁判所は、第一項の規定による額を定める処分に対する異議の申立てを理由があると認める場合において、訴訟費用の負担の額を定めるべきときは、自らその額を定めなければならない。
 第四項の異議の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 
第九十二条 (秘密保護のための閲覧等の制限)
 次に掲げる事由につき疎明があった場合には、裁判所は、当該当事者の申立てにより、決定で、当該訴訟記録中当該秘密が記載され、又は記録された部分の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下「秘密記載部分の閲覧等」という。)の請求をすることができる者を当事者に限ることができる。
訴訟記録中に当事者の私生活についての重大な秘密が記載され、又は記録されており、かつ、第三者が秘密記載部分の閲覧等を行うことにより、その当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあること。
訴訟記録中に当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法第二条第四項 に規定する営業秘密をいう。第百三十二条の二第一項第三号及び第二項において同じ。)が記載され、又は記録されていること。
 前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、第三者は、秘密記載部分の閲覧等の請求をすることができない。
 秘密記載部分の閲覧等の請求をしようとする第三者は、訴訟記録の存する裁判所に対し、第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、同項の決定の取消しの申立てをすることができる。
 第一項の申立てを却下した裁判及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
 第一項の決定を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない。
 
第九十三条(期日の指定及び変更)
 期日は、申立てにより又は職権で、裁判長が指定する。
 期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。
 口頭弁論及び弁論準備手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り許す。ただし、最初の期日の変更は、当事者の合意がある場合にも許す。
 前項の規定にかかわらず、弁論準備手続を経た口頭弁論の期日の変更は、やむを得ない事由がある場合でなければ、許すことができない。
 
第九十四条(期日の呼出し)
 期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。
 呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知以外の方法による期日の呼出しをしたときは、期日に出頭しない当事者、証人又は鑑定人に対し、法律上の制裁その他期日の不遵守による不利益を帰することができない。ただし、これらの者が期日の呼出しを受けた旨を記載した書面を提出したときは、この限りでない。
 
第九十八条(職権送達の原則等)
 送達は、特別の定めがある場合を除き、職権でする。
 送達に関する事務は、裁判所書記官が取り扱う。
 
第九十九条(送達実施機関)
 送達は、特別の定めがある場合を除き、郵便又は執行官によってする。
 郵便による送達にあっては、郵便の業務に従事する者を送達をする公務員とする。
 
第百条(裁判所書記官による送達)
 裁判所書記官は、その所属する裁判所の事件について出頭した者に対しては、自ら送達をすることができる。
 
第百一条(交付送達の原則)
 送達は、特別の定めがある場合を除き、送達を受けるべき者に送達すべき書類を交付してする。
 
第百二条(訴訟無能力者等に対する送達)
 訴訟無能力者に対する送達は、その法定代理人にする。
 数人が共同して代理権を行うべき場合には、送達は、その一人にすれば足りる。
 在監者に対する送達は、監獄の長にする。
 
第百三条(送達場所)
 送達は、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所(以下この節において「住所等」という。)においてする。ただし、法定代理人に対する送達は、本人の営業所又は事務所においてもすることができる。
 前項に定める場所が知れないとき、又はその場所において送達をするのに支障があるときは、送達は、送達を受けるべき者が雇用、委任その他の法律上の行為に基づき就業する他人の住所等(以下「就業場所」という。)においてすることができる。送達を受けるべき者(次条第一項に規定する者を除く。)が就業場所において送達を受ける旨の申述をしたときも、同様とする。
 
第百四条(送達場所等の届出)
 当事者、法定代理人又は訴訟代理人は、送達を受けるべき場所(日本国内に限る。)を受訴裁判所に届け出なければならない。この場合においては、送達受取人をも届け出ることができる。
 前項前段の規定による届出があった場合には、送達は、 前条の規定にかかわらず、その届出に係る場所においてする。
 第一項前段の規定による届出をしない者で次の各号に掲げる送達を受けたものに対するその後の送達は、前条の規定にかかわらず、それそれ当該各号に定める場所においてする。
前条の規定による送達その送達をした場所
次条後段の規定による送達のうち郵便の業務に従事する者が郵便局においてするもの及び第百六条第一項後段の規定による送達その送達において送達をすべき場所とされていた場所
第百七条第一項第一号の規定による送達その送達においてあて先とした場所
 
第百五条(出会送達)
  前二条の規定にかかわらず、送達を受けるべき者で日本国内に住所等を有することが明らかでないもの( 前条第一項前段の規定による届出をした者を除く。)に対する送達は、その者に出会った場所においてすることができる。日本国内に住所等を有することが明らかな者又は同項前段の規定による届出をした者が送達を受けることを拒まないときも、同様とする。
 
第百六条(補充送達及び差置送達)
 就業場所以外の送達をすべき場所において送達を受けるべき者に出会わないときは、使用人その他の従業者又は同居者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるものに書類を交付することができる。郵便の業務に従事する者が郵便局において書類を交付すべきときも、同様とする。
 就業場所(第百四条第一項前段の規定による届出に係る場所が就業場所である場合を含む。)において送達を受けるべき者に出会わない場合において、第百三条第二項の他人又はその法定代理人若しくは使用人その他の従業者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるものが書類の交付を受けることを拒まないときは、これらの者に書類を交付することができる。
 送達を受けるべき者又は第一項前段の規定により書類の交付を受けるべき者が正当な理由なくこれを受けることを拒んだときは、送達をすべき場所に書類を差し置くことができる。
 
第百七条(書留郵便に付する送達)
  前条の規定により送達をすることができない場合には、裁判所書記官は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項 に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるもの(次項及び第三項において「書留郵便等」という。)に付して発送することができる。
第百三条の規定による送達をすべき場合同条第一項に定める場所
第百四条第二項の規定による送達をすべき場合同項の場所
第百四条第三項の規定による送達をすべき場合同項の場所(その場所が就業場所である場合にあっては、訴訟記録に表れたその者の住所等
 前項第二号又は第三号の規定により書類を書留郵便等に付して発送した場合には、その後に送達すべき書類は、同項第二号又は第三号に定める場所にあてて、書留郵便に付して発送することができる。
 前二項の規定により書類を書留郵便等に付して発送した場合には、その発送の時に、送達があったものとみなす。
 
第百九条(送達報告書)
 送達をした公務員は、書面を作成し、送達に関する事項を記載して、これを裁判所に提出しなければならない。
 
第百二十四条(訴訟手続の中断及び受継)
 次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。この場合においては、それぞれ当該各号に定める者は、訴訟手続を受け継がなければならない。
当事者の死亡相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者
当事者である法人の合併による消滅合併によって設立された法人又は合併後存続する法人
当事者の訴訟能力の喪失又は法定代理人の死亡若しくは代理権の消滅法定代理人又は訴訟能力を有するに至った当事者
次のイからハまでに掲げる者の信託に関する任務の終了 当該イからハまでに定める者
   イ 当事者である受託者 新たな受託者又は信託財産管理者若しくは信託財産法人管理人
   ロ 当事者である信託財産管理者又は信託財産法人管理人 新たな受託者又は新たな信託財産管理者若しくは新たな信託財産法人管理人
   ハ 当事者である信託管理人 受益者又は新たな信託管理人 (改正):H18法109 H190930 第4号全面改正
一定の資格を有する者で自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの死亡その他の事由による資格の喪失同一の資格を有する者
選定当事者の全員の死亡その他の事由による資格の喪失選定者の全員又は新たな選定当事者
 前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。
 第一項第一号に掲げる事由がある場合においても、相続人は、相続の放棄をすることができる間は、訴訟手続を受け継ぐことができない。
 第一項第二号の規定は、合併をもって相手方に対抗することができない場合には、適用しない。
 第一項第三号の法定代理人が保佐人又は補助人である場合にあっては、同号の規定は、次に掲げるときには、適用しない。
被保佐人又は被補助人が訴訟行為をすることについて保佐人又は補助人の同意を得ることを要しないとき。
被保佐人又は被補助人が前号に規定する同意を得ることを要する場合において、その同意を得ているとき。
 
第百二十六条(相手方による受継の申立て)
 訴訟手続の受継の申立ては、相手方もすることができる。
 
第百二十七条(受継の通知)
 訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、裁判所は、相手方に通知しなければならない。
 
第百二十八条(受継についての裁判)
 訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、裁判所は、職権で調査し、理由がないと認めるときは、決定で、その申立てを却下しなければならない。
 判決書又は第二百五十四条第二項( 第三百七十四条第二項において準用する場合を含む。)の調書の送達後に中断した訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、その判決をした裁判所は、その申立てについて裁判をしなければならない。
 
第百三十条(裁判所の職務執行不能による中止)
 天災その他の事由によって裁判所が職務を行うことができないときは、訴訟手続は、その事由が消滅するまで中止する。
 
第百三十一条(当事者の故障による中止)
 当事者が不定期間の故障により訴訟手続を続行することができないときは、裁判所は、決定で、その中止を命ずることができる。
 裁判所は、前項の決定を取り消すことができる。
 
第百三十二条(中断及び中止の効果)
 判決の言渡しは、訴訟手続の中断中であっても、することができる。
 訴訟手続の中断又は中止があったときは、期間は、進行を停止する。この場合においては、訴訟手続の受継の通知又はその続行の時から、新たに全期間の進行を始める。
 
第百三十二条の二 (訴えの提起前における照会)
 訴えを提起しようとする者が訴えの被告となるべき者に対し訴えの提起を予告する通知を書面でした場合(以下この章において当該通知を「予告通知」という。)には、その予告通知をした者(以下この章において「予告通知者」という。)は、その予告通知を受けた者に対し、その予告通知をした日から四月以内に限り、訴えの提起前に、訴えを提起した場合の主張又は立証を準備するために必要であることが明らかな事項について、相当の期間を定めて、書面で回答するよう、書面で照会をすることができる。ただし、その照会が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
第百六十三条各号のいずれかに該当する照会
相手方又は第三者の私生活についての秘密に関する事項についての照会であって、これに回答することにより、その相手方又は第三者が社会生活を営むのに支障を生ずるおそれがあるもの
相手方又は第三者の営業秘密に関する事項についての照会
 前項第二号に規定する第三者の私生活についての秘密又は同項第三号に規定する第三者の営業秘密に関する事項についての照会については、相手方がこれに回答することをその第三者が承諾した場合には、これらの規定は、適用しない。
 予告通知の書面には、提起しようとする訴えに係る請求の要旨及び紛争の要点を記載しなければならない。
 第一項の照会は、既にした予告通知と重複する予告通知に基づいては、することができない。
 
第百五十四条(通訳人の立会い等)
 口頭弁論に関与する者が日本語に通じないとき、又は耳が聞こえない者若しくは口がきけない者であるときは、通訳人を立ち会わせる。ただし、耳が聞こえない者又は口がきけない者には、文字で問い、又は陳述をさせることができる。
 鑑定人に関する規定は、通訳人について準用する。
 
第百六十条(口頭弁論調書)
 裁判所書記官は、口頭弁話について、期日ごとに調書を作成しなければならない。
 調書の記載について当事者その他の関係人が異議を述べたときは、調書にその旨を記載しなければならない。
 口頭弁論の方式に関する規定の遵守は、調書によってのみ証明することができる。ただし、調書が滅失したときは、この限りでない。
 
第百七十九条(証明することを要しない事実)
 裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
 
第百八十条(証拠の申出)
 証拠の申出は、証明すべき事実を特定してしなければならない。
 証拠の申出は、期日前においてもすることができる。
 
第百八十一条(証拠調べを要しない場合)
 裁判所は、当事者が申し出た証拠で必要でないと認めるものは、取り調べることを要しない。
 証拠調べについて不定期間の障害があるときは、裁判所は、証拠調べをしないことができる。
 
第百八十三条(当事者の不出頭の場合の取扱い)
 証拠調べは、当事者が期日に出頭しない場合においても、することができる。
 
第百八十四条(外国における証拠調べ)
 外国においてすべき証拠調べは、その国の管轄官庁又はその国に駐在する日本の大使、公使若しくは領事に嘱託してしなければならない。
 外国においてした証拠調べは、その国の法律に違反する場合であっても、この法律に違反しないときは、その効力を有する。
 
第百八十五条(裁判所外における証拠調べ)
 裁判所は、相当と認めるときは、裁判所外において証拠調べをすることができる。この場合においては、合議体の構成員に命じ、又は地方裁判所若しくは簡易裁判所に嘱託して証拠調べをさせることができる。
 前項に規定する嘱託により職務を行う受託裁判官は、他の地方裁判所又は簡易裁判所において証拠調べをすることを相当と認めるときは、更に証拠調べの嘱託をすることができる。
 
第百八十六条(調査の嘱託)
 裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。
 
第百八十八条(疎明)
 疎明は、即時に取り調べることができる証拠によってしなければならない。
 
第百九十条(証人義務)
 裁判所は、特別の定めがある場合を除き、何人でも証人として尋問することができる。
 
第百九十一条(公務員の尋問)
 公務員又は公務員であった者を証人として職務上の秘密について尋問する場合には、裁判所は、当該監督官庁(衆議院若しくは参議院の議員又はその職にあった者についてはその院、内閣総理大臣その他の国務大臣又はその職にあった者については内閣)の承認を得なければならない。
 前項の承認は、公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き、拒むことができない。
 
第百九十二条(不出頭に対する過料等)
 証人が正当な理由なく出頭しないときは、裁判所は、決定で、これによって生じた訴訟費用の負担を命じ、かつ、十万円以下の過料に処する。
 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 
第百九十三条(不出頭に対する罰金等)
 証人が正当な理由なく出頭しないときは、十万円以下の罰金又は拘留に処する。
 前項の罪を犯した者には、情状により、罰金及び拘留を併科することができる。
 
第百九十四条(勾引)
 裁判所は、正当な理由なく出頭しない証人の勾引を命ずることができる。
 刑事訴訟法(昭和二十一二年法律第百三十一号)中勾引に関する規定は、前項の勾引について準用する。
 
第百九十五条(受命裁判官等による証人尋問)
 裁判所は、次に掲げる場合に限り、受命裁判官又は受託裁判官に裁判所外で証人の尋問をさせることができる。
証人が受訴裁判所に出頭する義務がないとき、又は正当な理由により出頭することができないとき。
証人が受訴裁判所に出頭するについて不相当な費用又は時間を要するとき。
現場において証人を尋問することが事実を発見するために必要であるとき。
当事者に異議がないとき。
 
第百九十六条(証言拒絶権)
 証言が証人又は証人と次に掲げる関係を有する者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれがある事項に関するときは、証人は、証言を拒むことができる。証言がこれらの者の名誉を害すべき事項に関するときも、同様とする。
配偶者、四親等内の血族若しくは三親等内の姻族の関係にあり、又はあったこと。
後見人と被後見人の関係にあること。
 
第百九十七条(同前:証言拒絶権)
 次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。
  第百九十一条第一項の場合
 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産婦、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合
 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合
 前項の規定は、証人が黙秘の義務を免除された場合には、適用しない。
 
第百九十八条(証言拒絶の理由の疎明)
 証言拒絶の理由は、疎明しなければならない。
 
第百九十九条(証言拒絶についての裁判)
  第百九十七条第一項第一号の場合を除き、証言拒絶の当否については、受訴裁判所が、当事者を審尋して、決定で、裁判をする。
 前項の裁判に対しては、当事者及び証人は、即時抗告をすることができる。
 
第二百一条(宣誓)
 証人には、特別の定めがある場合を除き、宣誓をさせなければならない。
 十六歳未満の者又は宣誓の趣旨を理解することができない者を証人として尋問する場合には、宣誓をさせることができない。
 第百九十六条の規定に該当する証人で証言拒絶の権利を行使しないものを尋問する場合には、宣誓をさせないことができる。
 証人は、自己又は自己と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者に著しい利害関係のある事項について尋問を受けるときは、宣誓を拒むことができる。
5  第百九十八条(証言拒絶の理由の疎明)及び第百九十九条(証言拒絶についての裁判)の規定は証人が宣誓を拒む場合について、第百九十二条(不出頭に対する過料)及び第百九十三条(不出頭に対する罰金)の規定は宣誓拒絶を理由がないとする裁判が確定した後に証人が正当な理由なく宣誓を拒む場合について準用する。
 
第二百二条(尋問の順序)
  証人の尋問は、その尋問の申出をした当事者、他の当事者、裁判長の順序でする。
 裁判長は、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、前項の順序を変更することができる。
 当事者が前項の規定による変更について異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする。
 
第二百三条(書類に基づく陳述の禁止)
  証人は、書類に基づいて陳述することができない。ただし、裁判長の許可を受けたときは、この限りでない。
 
第二百三条の二 (付添い)
 裁判長は、証人の年齢又は心身の状態その他の事情を考慮し、証人が尋問を受ける場合に著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判長若しくは当事者の尋問若しくは証人の陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の陳述中、証人に付き添わせることができる。
 前項の規定により証人に付き添うこととされた者は、その証人の陳述中、裁判長若しくは当事者の尋問若しくは証人の陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。
 当事者が、第一項の規定による裁判長の処置に対し、異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする。
 
第二百三条の三(遮へいの措置)
 裁判長は、事案の性質、証人の年齢又は心身の状態、証人と当事者本人又はその法定代理人との関係(証人がこれらの者が行った犯罪により害を被った者であることを含む。次条第二号において同じ。)その他の事情により、証人が当事者本人又はその法定代理人の面前(同条に規定する方法による場合を含む。)において陳述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるときは、その当事者本人又は法定代理人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置をとることができる。
 裁判長は、事案の性質、証人が犯罪により害を被った者であること、証人の年齢、心身の状態又は名誉に対する影響その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、傍聴人とその証人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置をとることができる。
 前条第三項の規定は、前二項の規定による裁判長の処置について準用する。
 
第二百四条(映像等の送受信による通話の方法による尋問)
 裁判所は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、証人の尋問をすることができる。
証人が遠隔の地に居住するとき。
事案の性質、証人の年齢又は心身の状態、証人と当事者本人又はその法定代理人との関係その他の事情により、証人が裁判長及び当事者が証人を尋問するために在席する場所において陳述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるとき。
 
第二百五条(尋問に代わる書面の提出)
  裁判所は、相当と認める場合において、当事者に異議がないときは、証人の尋問に代え、書面の提出をさせることができる。
 
第二百六条(受命裁判官等の権限)
  受命裁判官又は受託裁判官が証人尋問をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。ただし、第二百二条第三項の規定による異議についての裁判は、受訴裁判所がする。
 
第二百七条(当事者本人の尋問)
  裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。
 証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をする。ただし、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができる。
 
第二百十条(証人尋問の規定の準用)
  第百九十五条(受命裁判官等による証人尋問)、第二百一条第二項(宣誓させることができない者)、第二百二条から第二百四条まで(尋問の順序、書類に基づく陳述の禁止、映像等の送受信による尋問)及び第二百六条(受命裁判官等の権限)の規定は、当事者本人の尋問について準用する。
 
第二百十一条(法定代理人の尋問)
  この法律中当事者本人の尋問に関する規定は、訴訟において当事者を代表する法定代理人について準用する。ただし、当事者本人を尋問することを妨げない。
 
第二百十二条(鑑定義務)
  鑑定に必要な学識経験を有する者は、鑑定をする義務を負う。
 第百九十六条又は第二百一条第四項の規定により証言又は宣誓を拒むことができる者と同一の地位にある者及び同条第二項に規定する者は、鑑定人となることができない。
 
第二百十三条(鑑定人の指定)
  鑑定人は、受訴裁判所、受命裁判官又は受託裁判官が指定する。
 
第二百十四条(忌避)
  鑑定人について誠実に鑑定をすることを妨げるべき事情があるときは、当事者は、その鑑定人が鑑定事項について陳述をする前に、これを忌避することができる。鑑定人が陳述をした場合であっても、その後に、忌避の原因が生じ、又は当事者がその原因があることを知ったときは、同様とする。
 忌避の申立ては、受訴裁判所、受命裁判官又は受託裁判官にしなければならない。
 忌避を理由があるとする決定に対しては、不服を申し立てることができない。
 忌避を理由がないとする決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 
第二百十五条(鑑定人の陳述の方式)
  裁判長は、鑑定人に、書面又は口頭で、意見を述べさせることができる。
 
第二百十五条の二(鑑定人質問)
 裁判所は、鑑定人に口頭で意見を述べさせる場合には、鑑定人が意見の陳述をした後に、鑑定人に対し質問をすることができる。
 前項の質問は、裁判長、その鑑定の申出をした当事者、他の当事者の順序でする。
 裁判長は、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、前項の順序を変更することができる。
 当事者が前項の規定による変更について異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする。
(改正):H15法108 H160401 本条追加
 
第二百十五条の三(映像等の送受信による通話の方法による陳述)
 裁判所は、鑑定人に口頭で意見を述べさせる場合において、鑑定人が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、隔地者が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、意見を述べさせることができる。
(改正):H15法108 H160401 本条追加
 
第二百十六条(証人尋問の規定の準用)
  第二節(証人尋問)の規定は、特別の定めがある場合を除き、鑑定について準用する。ただし、第百九十四条及び第二百五条の規定は、この限りでない。
 
第二百十七条(鑑定証人)
  特別の学識経験により知り得た事実に関する尋問については、証人尋問に関する規定による。
 
第二百十八条(鑑定の嘱託)
  裁判所は、必要があると認めるときは、官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は相当の設備を有する法人に鑑定を嘱託することができる。この場合においては、宣誓に関する規定を除きこの節の規定を準用する。
 前項の場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、官庁、公署又は法人の指定した者に鑑定書の説明をさせることができる。
 
第二百十九条(書証の申出)
  書証の申出は、文書を提出し、又は文書の所持者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない。
 
第二百二十条(文書提出義務)
  次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。
挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。
文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。
前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書
ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)
ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書
 
第二百二十一条(文書提出命令の申立て)
  文書提出命令の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
文書の表示
文書の趣旨
文書の所持者
証明すべき事実
文書の提出義務の原因
 前条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立ては、書証の申出を文書提出命令の申立てによってする必要がある場合でなければ、することができない。
 
第二百二十二条(文書の特定のための手続)
  文書提出命令の申立てをする場合において、前条第一項第一号又は第二号に掲げる事項を明らかにすることが著しく困難であるときは、その申立ての時においては、これらの事項に代えて、文書の所持者がその申立てに係る文書を識別することができる事項を明らかにすれば足りる。この場合においては、裁判所に対し、文書の所持者に当該文書についての同項第一号又は第二号に掲げる事項を明らかにすることを求めるよう申し出なければならない。
 前項の規定による申出があったときは、裁判所は、文書提出命令の申立てに理由がないことが明らかな場合を除き、文書の所持者に対し、同項後段の事項を明らかにすることを求めることができる。
 
第二百二十三条(文書提出命令等)
 裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずる。この場合において、文書に取り調べる必要がないと認める部分又は提出の義務があると認めることができない部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができる。
 裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。
 裁判所は、公務員の職務上の秘密に関する文書について第二百二十条第四号イ第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立てがあった場合には、その申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当するかどうかについて、当該監督官庁(衆議院又は参議院の議員の職務上の秘密に関する文書についてはその院、内閣総理大臣その他の国務大臣の職務上の秘密に関する文書については内閣。以下この条において同じ。)の意見を聴かなければならない。この場合において、当該監督官庁は、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べるときは、その理由を示さなければならない。
 前項の場合において、当該監督官庁が当該文書の提出により次に掲げるおそれがあることを理由として当該文書が第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べたときは、裁判所は、その意見について相当の理由があると認めるに足りない場合に限り、文書の所持者に対し、その提出を命ずることができる。
一 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ
二 犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ
 第三項前段の場合において、当該監督官庁は、当該文書の所持者以外の第三者の技術又は職業の秘密に関する事項に係る記載がされている文書について意見を述べようとするときは、第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べようとするときを除き、あらかじめ、当該第三者の意見を聴くものとする。
 裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書が第二百二十条第四号イからニまでに掲げる文書のいずれかに該当するかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、文書の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された文書の開示を求めることができない。
 文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 
第二百二十四条(当事者が文書提出命令に従わない場合等の効果)
  当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる。
 当事者が相手方の使用を妨げる目的で提出の義務がある文書を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたときも、前項と同様とする。
 前二項に規定する場合において、相手方が、当該文書の記載に関して具体的な主張をすること及び当該文書により証明すべき事実を他の証拠により証明することが著しく困難であるときは、裁判所は、その事実に関する相手方の主張を真実と認めることができる。
 
第二百二十六条(文書送付の嘱託)
  書証の申出は、第二百十九条の規定にかかわらず、文書の所持者にその文書の送付を嘱託することを申し立ててすることができる。ただし、当事者が法令により文書の正本又は謄本の交付を求めることができる場合は、この限りでない。
 
第二百二十七条(文書の留置)
  裁判所は、必要があると認めるときは、提出又は送付に係る文書を留め置くことができる。
 
第二百二十八条(文書の成立)
  文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
 文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。
 公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。
 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
 第二項及び第三項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。
 
第二百二十九条(筆跡等の対照による証明)
  文書の成立の真否は、筆跡又は印影の対照によっても、証明することができる。
 第二百十九条(書証の申出)、第二百二十三条(文書提出命令)、第二百二十四条第一項及び第二項(当事者が文書提出命令に従わない場合等の効果)、第二百二十六条(文書送付の嘱託)並びに第二百二十七条(文書の留置)の規定は、対照の用に供すべき筆跡又は印影を備える文書その他の物件の提出又は送付について準用する。
 対照をするのに適当な相手方の筆跡がないときは、裁判所は、対照の用に供すべき文字の筆記を相手方に命ずることができる。
 相手方が正当な理由なく前項の規定による決定に従わないときは、裁判所は、文書の成立の真否に関する挙証者の主張を真実と認めることができる。書体を変えて筆記したときも、同様とする。
  第三者が正当な理由なく第二項において準用する第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 
第二百三十一条(文書に準ずる物件への準用)
  この節の規定は、図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものについて準用する。
 
第二百三十二条(検証の目的の提示等)
 第二百十九条(書証の申出)、第二百二十三条(文書提出命令)、第二百二十四条(当事者が文書提出命令に従わない場合等の効果)、第二百二十六条(文書送付の嘱託)及び第二百二十七条(文書の留置)の規定は、検証の目的の提示又は送付について準用する。
 第三者が正当な理由なく前項において準用する第二百二十三条第一項の規定による提示の命令に従わないときは、裁判所は、決定で、二十万円以下の過料に処する。
 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 
第二百三十三条(検証の際の鑑定)
  裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、検証をするに当たり、必要があると認めるときは、鑑定を命ずることができる。
 
第二百三十四条(証拠保全)
  裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる。
 
第二百三十六条(相手方の指定ができない場合の取扱い)
  証拠保全の申立ては、相手方を指定することができない場合においても、することができる。この場合においては、裁判所は、相手方となるべき者のために特別代理人を選任することができる。
 
第二百三十七条(職権による証拠保全)
  裁判所は、必要があると認めるときは、訴訟の係属中、職権で、証拠保全の決定をすることができる。
 
第二百三十八条(不服申立ての不許)
  証拠保全の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
 
第二百四十条(期日の呼出し)
  証拠調べの期日には、申立人及び相手方を呼び出さなければならない。ただし、急速を要する場合は、この限りでない。
 
第二百四十一条(証担保全の費用)
  証拠保全に関する費用は、訴訟費用の一部とする。
 
第二百四十二条(口頭弁論における再尋問)
  証拠保全の手続において尋問をした証人について、当事者が口頭弁論における尋問の申出をしたときは、裁判所は、その尋問をしなければならない。
 
第二百五十二条(言渡しの方式)
  判決の言い渡しは、判決書の原本に基づいてする。
 
第二百五十四条(言渡しの方式の特則)
  次に掲げる場合において、原告の請求を認容するときは、判決の言渡しは、第二百五十二条の規定にかかわらず、判決書の原本に基づかないですることができる。
被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合
被告が公示送達による呼出しを受けたにもかかわらず口頭弁論の期日に出頭しない場合(被告の提出した準備書面が口頭弁論において陳述されたものとみなされた場合を除く。)
 前項の規定により判決の言渡しをしたときは、裁判所は、判決書の作成に代えて、裁判所書記官に、当事者及び法定代理人、主文、請求並びに理由の要旨を、判決の言渡しをした口頭弁論期日の調書に記載させなければならない。
 
第二百五十五条(判決書等の送達)
  判決書又は前条第二項の調書は、当事者に送達しなければならない。
 前項に規定する送達は、判決書の正本又は前条第二項の調書の謄本によってする。
 
第二百七十八条(尋問等に代わる書面の提出)
  裁判所は、相当と認めるときは、証人若しくは当事者本人の尋問又は鑑定人の意見の陳述に代え、書面の提出をさせることができる。
(改正):H16法152 H170401施行(H16政418)

 第278条の見出し中「尋問」を「尋問等」に改め、同条中「、当事者本人」を「若しくは当事者本人の尋問」に、「尋問」を「意見の陳述」に改める。

 
第三百三十八条(再審の事由)
  次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。
法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
判決に関与した裁判官が事件について職務に関する罪を犯したこと。
刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたこと。
判決の証拠となった文書その他の物件が偽造又は変造されたものであったこと。
証人、鑑定人、通訳人又は宣誓した当事者若しくは法定代理人の虚偽の陳述が判決の証拠となったこと。
判決の基礎となった民事若しくは刑事の判決その他の裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更されたこと。
判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったこと。
不服の申立てに係る判決が前に確定した判決と抵触すること。
 前項第四号から第七号までに掲げる事由がある場合においては、罰すべき行為について、有罪の判決若しくは過科の裁判が確定したとき、又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないときに限り、再審の訴えを提起することができる。
 控訴審において事件につき本案判決をしたときは、第一審の判決に対し再審の訴えを提起することができない。
 
第三百三十九条(再審の事由)
  判決の基本となる裁判について前条第一項に規定する事由がある場合(同項第四号から第七号までに掲げる事由がある場合にあっては、同条第二項に規定する場合に限る。)には、その裁判に対し独立した不服申立ての方法を定めているときにおいても、その事由を判決に対する再審の理由とすることができる。
 
第三百四十八条(本案の審理及び裁判)
  裁判所は、再審開始の決定が確定した場合には、不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする。
 裁判所は、前項の場合において、判決を正当とするときは、再審の請求を棄却しなければならない。
 裁判所は、前項の場合を除き、判決を取り消した上、更に裁判をしなければならない。
 
第三百七十四条(判決の言渡し)
  判決の言渡しは、相当でないと認める場合を除き、口頭弁論の終結後直ちにする。
 前項の場合には、判決の言渡しは、判決書の原本に基づかないですることができる。この場合においては、第二百五十四条第二項(判決書に代わる調書)及び第二百五十五条(判決書等の送達)の規定を準用する。