文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(パリ改正条約) the Convention for the Protection of Library and Artistic Works |
1886年 9月 9日 ベルヌ条約 1896年 5月 4日 パリで補足 1908年11月13日 ベルリンで改正 1914年 3月20日 ベルヌで補足 1928年 6月 2日 ローマで改正 1948年 6月26日 ブラッセルで改正 1967年 7月14日 ストックホルムで改正 1971年 7月24日 パリで改正 1972年(昭和47年)1月25日 日本国署名 1975年(昭和50年)1月24日 批准書寄託 1975年(昭和50年)3月 6日 公布(条約第4号) 1975年(昭和50年)4月24日 効力発生(昭和50年外務省告示第41号) 修正:昭和60年外務省告示第183号 |
千八百九十六年五月四日にパリで補足され、千九百八年十一月十三日にベルリンで改正され、千九百十四年三月二十日にベルヌで補足され並びに千九百二十八年六月二日にローマで、千九百四十八年六月二十六日にブラッセルで、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十一年七月二十四日パリで改正された千八百八十六年九月九日の文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約
同盟国は、文学的及び美術的著作物に関する著作者の権利をできる限り効果的かつ統一的に保護することをひとしく希望し、 各条の括弧書き見出しは「参考」です。条約には記載されていません。 | |||||||||||||||
第一条(同盟の形成) | |||||||||||||||
この条約が適用される国は、文学的及び美術的著作物に関する著作者の権利の保護のための同盟を形成する。 | |||||||||||||||
第二条(保護を受ける著作物) | |||||||||||||||
(1) | 「文学的及び美術的著作物」には、表現の方法又は形式のいかんを問わず、書籍、小冊子その他の文書、講演、演説、説教その他これらと同性質の著作物、演劇用又は楽劇用の著作物、舞踊及び無言劇の著作物、楽曲(歌詞を伴うかどうかを問わない。)、映画の著作物(映画に類似する方法で表現された著作物を含む。以下同じ。)、素描、絵画、建築、彫刻、版画及び石版画の著作物、写真の著作物(写真に類似する方法で表現された著作物を含む。以下同じ。)、応用美術の著作物、図解及び地図並びに地理学、地形学、建築学その他の科学に関する図面、略図及び模型のような文芸、学術及び美術の範囲に属するすべての製作物を含む。 | ||||||||||||||
(2) | もつとも、文学的及び美術的著作物の全体又はその一若しくは二以上の種類について、それらの著作物が物に固定されていない限り保護されないことを定める権能は、同盟国の立法に留保される。 | ||||||||||||||
(3) | 文学的又は美術的著作物の翻訳、翻案、編曲等による改作物は、その原作物の著作者の権利を害することなく、原著作物として保護される。 | ||||||||||||||
(4) | 立法上、行政上及び司法上の公文書並びにその公的な翻訳物に与えられる保護は、同盟国の法令の定めるところによる。 | ||||||||||||||
(5) | 素材の選択又は配列によつて知的創作物を形成する百科辞典及び選集のような文学的又は美術的著作物の編集物は、その編集物の部分を構成する各著作物の著作者の権利を害することなく、知的創作物として保護される。 | ||||||||||||||
(6) | 前記の著作物は、すべての同盟国において保護を受ける。この保護は、著作者及びその承継人のために与えられる。 | ||||||||||||||
(7) | 応用美術の著作物及び意匠に関する法令の適用範囲並びにそれらの著作物及び意匠の保護の条件は、第七条(4)の規定に従うことを条件として、同盟国の法令の定めるところによる。本国において専ら意匠として保護される著作物については、他の同盟国において、その国において意匠に与えられる特別の保護しか要求することができない。ただし、その国においてそのような特別の保護が与えられない場合には、それらの著作物は、美術的著作物として保護される。 | ||||||||||||||
(8) | この条約の保護は、単なる報道にすぎない時事の記事又は雑報については適用されない。 | ||||||||||||||
第二条の二(口述の著作物の保護) | |||||||||||||||
(1) | 政治上の演説及び裁判手続においてされた陳述につき前条に定める保護の一部又は全部を排除する権能は、同盟国の立法に留保される。 | ||||||||||||||
(2) | 報道の目的上正当な範囲内において、公に行われた講演、演説その他これらと同性質の著作物を新聞雑誌に掲載し、放送し、有線により公に伝達し及び第十一条の二(1)に規定する公の伝達の対象とする場合の条件を定める権能も、また、同盟国の立法に留保される。 | ||||||||||||||
(3) | もつとも、著作者は、(1)及び(2)に規定する著作物を編集物とする排他的権利を享有する。 | ||||||||||||||
第三条(保護を受ける著作者) | |||||||||||||||
(1) | 次の者は、次の著作物について、この条約によつて保護される。
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(2) | いずれの同盟国の国民でもない著作者でいずれかの同盟国に常居所を有するものは、この条約の適用上、その同盟国の国民である著作者とみなす。 | ||||||||||||||
(3) | 「発行された著作物」とは、複製物の作成方法のいかんを問わず、著作者の承諾を得て刊行された著作物であつて、その性質にかんがみ公衆の合理的な要求を満たすような数量の複製物が提供されたものをいう。演劇用若しくは楽劇用の著作物又は映画の著作物の上演、音楽の著作物の演奏、文学的著作物の朗読、文学的又は美術的著作物の伝達又は放送、美術の著作物の展示及び建築の著作物の建設は、発行を意味しない。 | ||||||||||||||
(4) | 最初の発行の国を含む二以上の国において最初の発行の日から三十日以内に発行された著作物は、それらの国において同時に発行されたものとみなす。 | ||||||||||||||
第四条(同前:保護を受ける著作者) | |||||||||||||||
次の者は、前条に定める条件が満たされない場合にも、この条約によつて保護される。 | |||||||||||||||
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第五条(保護の原則) | |||||||||||||||
(1) | 著作者は、この条約によつて保護される著作物に関し、その著作物の本国以外の同盟国において、その国の法令が自国民に現在与えており又は将来与えることがある権利及びこの条約が特に与える権利を享有する。 | ||||||||||||||
(2) | (1)の権利の享有及び行使には、いかなる方式の履行をも要しない。その享有及び行使は、著作物の本国における保護の存在にかかわらない。したがつて、保護の範囲及び著作者の権利を保全するため著作者に保障される救済の方法は、この条約の規定によるほか、専ら、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。 | ||||||||||||||
(3) | 著作物の本国における保護は、その国の法令の定めるところによる。もつとも、この条約によつて保護される著作物の著作者がその著作物の本国の国民でない場合にも、その著作者は、その著作物の本国において内国著作者と同一の権利を享有する。 | ||||||||||||||
(4) | 次の著作物については、次の国を本国とする。
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第六条(同盟国に属しない著作者の保護の原則) | |||||||||||||||
(1) | 同盟に属しない国がいずれかの同盟国の国民である著作者の著作物を十分に保護しない場合には、その同盟国は、最初の発行の時において当該同盟に属しない国の国民であつて、かつ、いずれの同盟国にも常居所を有していない著作者の著作物の保護を制限することができる。最初の発行の国がこの権能を行使する場合には、他の同盟国は、そのように特殊な取扱いを受ける著作物に対し、最初の発行の国において与えられる保護よりも厚い保護を与えることを要しない。 | ||||||||||||||
(2) | (1)の規定に基づく制限は、その実施前にいずれかの同盟国において発行された著作物についてその著作者が既に取得した権利に影響を及ぼすものであつてはならない。 | ||||||||||||||
(3) | この条の規定に基づいて著作者の権利の保護を制限する同盟国は、その旨を、その保護の制限の対象となる国及びその国民である著作者の権利に対する制限を明記した宣言書により、世界知的所有権機関事務局長(以下「事務局長」という。)に通告する。事務局長は、その宣言をすべての同盟国に直ちに通報する。 | ||||||||||||||
第六条の二(著作者人格権) | |||||||||||||||
(1) | 著作者は、その財産的権利とは別個に、この権利が移転された後においても、著作物の創作者であることを主張する権利及び著作物の変更、切除その他の改変又は著作物に対するその他の侵害で自己の名誉又は声望を害するおそれのあるものに対して異議を申し立てる権利を保有する。 | ||||||||||||||
(2) | (1)の規定に基づいて著作者に認められる権利は、著作者の死後においても、少なくとも財産的権利が消滅するまで存続し、保護が要求される国の法令により資格を与えられる人又は団体によつて行使される。もつとも、この改正条約の批准又はこれへの加入の時に効力を有する法令において、(1)の規定に基づいて認められる権利のすべてについて著作者の死後における保護を確保することを定めていない国は、それらの権利のうち一部の権利が著作者の死後は存続しないことを定める権能を有する。 | ||||||||||||||
(3) | この条において認められる権利を保全するための救済の方法は、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。 | ||||||||||||||
第七条(保護期間) | |||||||||||||||
(1) | この条約によつて許与される保護期間は、著作者の生存の間及びその死後五十年とする。 | ||||||||||||||
(2) | もつとも、同盟国は、映画の著作物については、保護期間が、著作者の承諾を得て著作物が公衆に提供された時から五十年で、又は、著作物がその製作の時から五十年以内に著作者の承諾を得て公衆に提供されないときは、製作の時から五十年で満了することを定める権能を有する。 | ||||||||||||||
(3) | 無名又は変名の著作物については、この条約によつて許与される保護期間は、著作物が適法に公衆に提供された時から五十年で満了する。ただし、著作者の用いた変名がその著作者を示すことについて疑いがない場合には、保護期間は、(1)に定める保護期間とする。無名又は変名の著作物の著作者が第一文の期間内にその著作物の著作者であることを明らかにする場合には、適用される保護期間は、(1)に定める保護期間とする。同盟国は、著作者が五十年前に死亡していると推定する十分な理由のある無名又は変名の著作物を保護することを要しない。 | ||||||||||||||
(4) | 写真の著作物及び美術的著作物として保護される応用美術の著作物の保護期間を定める権能は、同盟国の立法に留保される。ただし、その保護期間は、それらの著作物の製作の時から二十五年よりも短くてはならない。 | ||||||||||||||
(5) | 著作者の死後の保護期間及び(2)から(4)までに定める保護期間は、著作者の死亡の時又は(2)から(4)までに規定する事実が発生した時から始まる。ただし、これらの保護期間は、死亡の年又はそれらの事実が発生した年の翌年の一月一日から計算する。 | ||||||||||||||
(6) | 同盟国は、前記の保護期間よりも長い保護期間を許与する権能を有する。 | ||||||||||||||
(7) | この条約のローマ改正条約に拘束される同盟国であつて、この改正条約の署名の時に効力を有する国内法令において前記の保護期間よりも短い保護期間を許与するものは、この改正条約に加入し又はこれを批准する場合にも、それらの保護期間を維持する権能を有する。 | ||||||||||||||
(8) | いずれの場合にも、保護期間は、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。ただし、その国の法令に別段の定めがない限り、保護期間は、著作物の本国において定められる保護期間を超えることはない。 | ||||||||||||||
第七条の二(共同著作物の保護期間) | |||||||||||||||
前条の規定は、著作権が著作物の共同著作者の共有に属する場合にも適用する。ただし、著作者の死亡の時から計算する期間は、共同著作者のうちの最後の生存者の死亡の時から計算する。 | |||||||||||||||
第八条(翻訳権) | |||||||||||||||
文学的及び美術的著作物の著作者でこの条約によつて保護されるものは、その著作物に関する権利の存続期間中、その著作物を翻訳し又はその翻訳を許諾する排他的権利を享有する。 | |||||||||||||||
第九条(複製権) | |||||||||||||||
(1) | 文学的及び美術的著作物の著作者でこの条約によつて保護されるものは、それらの著作物の複製(その方法及び形式のいかんを問わない。)を許諾する排他的権利を享有する。 | ||||||||||||||
(2) | 特別の場合について(1)の著作物の複製を認める権能は、同盟国の立法に留保される。ただし、そのような複製が当該著作物の通常の利用を妨げず、かつ、その著作者の正当な利益を不当に害しないことを条件とする。 | ||||||||||||||
(3) | 録音及び録画は、この条約の適用上、複製とみなす。 | ||||||||||||||
第十条(引用) | |||||||||||||||
(1) | 既に適法に公衆に提供された著作物からの引用(新聞雑誌の要約の形で行う新聞紙及び定期刊行物の記事からの引用を含む。)は、その引用が公正な慣行に合致し、かつ、その目的上正当な範囲内で行われることを条件として、適法とされる。 | ||||||||||||||
(2) | 文学的又は美術的著作物を、授業用に、出版、放送、録音又は録画の方法でその目的上正当な範囲内において適法に利用することについては、同盟国の法令又は同盟国間の現行の若しくは将来締結される特別の取極の定めるところによる。ただし、そのような利用は、公正な慣行に合致するものでなければならない。 | ||||||||||||||
(3) | (1)及び(2)に規定する引用及び利用を行うに際しては、出所(著作者名が表示されているときは、これを含む。)を明示する。 | ||||||||||||||
第十条の二(時事問題の記事の複製等) | |||||||||||||||
(1) | 新聞紙若しくは定期刊行物において公表された経済上、政治上若しくは宗教上の時事問題を論議する記事又はこれと同性質の放送された著作物を新聞雑誌に掲載し、放送し又は有線により公に伝達することを、そのような掲載、放送又は伝達が明示的に禁止されていない場合に認める権能は、同盟国の立法に留保される。ただし、その出所は、常に明示しなければならない。この義務の違反に対する制裁は、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。 | ||||||||||||||
(2) | 写真、映画、放送又は有線による公の伝達により時事の事件を報道する際に、その事件の過程において見られ又は聞かれる文学的又は美術的著作物を報道の目的上正当な範囲内で複製し及び公衆に提供する場合の条件についても、同盟国の法令の定めるところによる。 | ||||||||||||||
第十一条(上演権・演奏権等) | |||||||||||||||
(1) | 演劇用又は楽劇用の著作物及び音楽の著作物の著作者は、次のことを許諾する排他的権利を享有する。
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(2) | 演劇用又は楽劇用の著作物の著作者は、その著作物に関する権利の存続期間中、その著作物の翻訳物についても、(1)の権利を享有する。 | ||||||||||||||
第十一条の二(放送権等) | |||||||||||||||
(1) | 文学的及び美術的著作物の著作者は、次のことを許諾する排他的権利を享有する。
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(2) | (1)に定める権利を行使する条件は、同盟国の法令の定めるところによる。ただし、その条件は、これを定めた国においてのみ効力を有する。その条件は、著作者の人格権を害するものであつてはならず、また、協議が成立しないときに権限のある機関が定める公正な補償金を受ける著作者の権利を害するものであつてはならない。 | ||||||||||||||
(3) | (1)の規定に基づいて与えられた許諾には、別段の定めがない限り、放送される著作物を音又は影像を固定する器具を用いて記録することの許諾を含まない。もつとも、放送機関が自己の手段により自己の放送のために行う一時的記録の制度は、同盟国の法令の定めるところによる。当該法令は、その一時的記録が資料として特別の性質を有することを理由として、これを公的な記録保存所に保存することを認めることができる。 | ||||||||||||||
第十一条の三(朗読権等) | |||||||||||||||
(1) | 文学的著作物の著作者は、次のことを許諾する排他的権利を享有する。
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(2) | 文学的著作物の著作者は、その著作物に関する権利の存続期間中、その著作物の翻訳物についても、(1)の権利を享有する。 | ||||||||||||||
第十二条(翻案権・編曲権等) | |||||||||||||||
文学的又は美術的著作物の著作者は、その著作物の翻案、編曲その他の改作を許諾する排他的権利を享有する。 | |||||||||||||||
第十三条(録音権に関する留保等) | |||||||||||||||
(1) | 各同盟国は、自国に関する限り、音楽の著作物の著作者又は音楽の著作物とともにその歌詞を録音することを既に許諾している歌詞の著作者が、その音楽の著作物を録音すること又はその歌詞を当該音楽の著作物とともに録音することを許諾する排他的権利に関し、留保及び条件を定めることができる。ただし、その留保及び条件は、これを定めた国においてのみ効力を有する。その留保及び条件は、協議が成立しないときに権限のある機関が定める公正な補償金を受ける著作者の権利を害するものであつてはならない。 | ||||||||||||||
(2) | 音楽の著作物の録音物であつて、千九百二十八年六月二日にローマで署名された条約及び千九百四十八年六月二十六日にブラッセルで署名された条約の第十三条(3)の規定に基づきいずれかの同盟国において作成されたものは、その国がこの改正条約に拘束されることとなつた日から二年の期間が満了するまでは、その音楽の著作物の著作者の承諾を得ることなくその国において複製することができる。 | ||||||||||||||
(3) | (1)及び(2)の規定に基づいて作成された録音物であつて、そのような録音が適法とされない同盟国に利害関係人の許諾を得ないで輸入されたものは、差し押さえることができる。 | ||||||||||||||
第十四条(映画化権・上映権) | |||||||||||||||
(1) | 文学的又は美術的著作物の著作者は、次のことを許諾する排他的権利を享有する。
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(2) | 文学的又は美術的著作物を原作とする映画の作品を他の美術形式に翻案することは、その映画の作品の著作者の許諾の権利を害することなく、原作物の著作者の許諾を必要とする。 | ||||||||||||||
(3) | 前条(1)の規定は、適用されない。 | ||||||||||||||
第十四条の二(映画の著作物の著作権者の権利) | |||||||||||||||
(1) | 映画の著作物は、翻案され又は複製された著作物の著作者の権利を害することなく、原著作物として保護されるものとし、映画の著作物について著作権を有する者は、原著作物の著作者と同一の権利(前条に定める権利を含む。)を享有する。 | ||||||||||||||
(2) |
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(3) | (2)(b)の規定は、国内法令に別段の定めがない限り、映画の著作物の製作のために創作された脚本、せりふ及び音楽の著作物の著作者並びに映画の著作物の主たる制作者については、適用しない。その法令において(2)(b)の規定をその主たる制作者について適用することを定めていない同盟国は、その旨を宣言書により事務局長に通告するものとし、事務局長は、これを他のすべての同盟国に直ちに通報する。 | ||||||||||||||
第十四条の三(追及権) | |||||||||||||||
(1) | 美術の著作物の原作品並びに作家及び作曲家の原稿については、その著作者(その死後においては、国内法令が資格を与える人又は団体)は、著作者が最初にその原作品及び原稿を譲渡した後に行われるその原作品及び原稿の売買の利益にあずかる譲渡不能の権利を享有する。 | ||||||||||||||
(2) | (1)に定める保護は、著作者が国民である国の法令がこの保護を認める場合に限り、かつ、この保護が要求される国の法令が認める範囲内でのみ、各同盟国において要求することができる。 | ||||||||||||||
(3) | 徴収の方法及び額は、各同盟国の法令の定めるところによる。 | ||||||||||||||
第十五条(著作者の推定) | |||||||||||||||
(1) | この条約によつて保護される文学的及び美術的著作物の著作者が、反証のない限り当該著作物の著作者と認められ、したがつて、その権利を侵害する者に対し同盟国の裁判所に訴えを提起することを認められるためには、その名が通常の方法により当該著作物に表示されていることで足りる。この(1)の規定は、著作者の用いた名が変名であつても、それがその著作者を示すことについて疑いがない限り、適用される。 | ||||||||||||||
(2) | 映画の著作物に通常の方法によりその名を表示されている自然人又は法人は、反証のない限りその映画の著作物の製作者と推定される。 | ||||||||||||||
(3) | 無名の著作物及び(1)に規定する変名の著作物以外の変名の著作物については、著作物にその名を表示されている発行者は、反証のない限り著作者を代表するものと認められ、この資格において、著作者の権利を保全し及び行使することができる。この(3)の規定は、著作者がその著作物の著作者であることを明らかにしてその資格を証明した時から、適用されなくなる。 | ||||||||||||||
(4) |
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第十六条(著作権侵害物の差押え) | |||||||||||||||
(1) | 著作者の権利を侵害するすべての製作物は、当該著作物が法律上の保護を受ける同盟国において差し押さえることができる。 | ||||||||||||||
(2) | (1)の規定は、当該著作物が保護を受けない国又は受けなくなつた国において作成された複製物についても適用する。 | ||||||||||||||
(3) | 差押えは、各同盟国の法令に従つて行う。 | ||||||||||||||
第十七条(同盟国の警察権) | |||||||||||||||
この条約は、法令又は諸規程により、権限のある機関が必要と認める場合に、著作物又は製作物の頒布、上演又は展示を許可し、取り締まり又は禁止することとする各同盟国政府の権能を何ら害するものではない。 | |||||||||||||||
第十八条(遡及効) | |||||||||||||||
(1) | この条約は、その効力発生の時に本国において保護期間の満了により既に公共のものとなつた著作物以外のすべての著作物について適用される。 | ||||||||||||||
(2) | もつとも、従来認められていた保護期間の満了により保護が要求される同盟国において公共のものとなつた著作物は、その国において新たに保護されることはない。 | ||||||||||||||
(3) | 前記の原則の適用は、これに関する同盟国間の現行の又は将来締結される特別の条約の規定に従う。このような規定がない場合には、各国は、自国に関し、この原則の適用に関する方法を定める。 | ||||||||||||||
(4) | (1)から(3)までの規定は、同盟への新たな加盟の場合及び保護が第七条の規定の適用により又は留保の放棄によつて拡張される場合にも適用される。 | ||||||||||||||
第十九条(条約と国内法との関係) | |||||||||||||||
この条約は、同盟国の法令が定める一層寛大な規定の適用を求めることを妨げるものではない。 | |||||||||||||||
第二十条(特別な取極) | |||||||||||||||
同盟国政府は、相互間で特別の取極を行う権利を留保する。ただし、その取極は、この条約が許与する権利よりも広い権利を著作者に与えるもの又はこの条約の規定に抵触する規定を有しないものでなければならない。この条件を満たす現行の取極の規定は、引き続き適用される。 | |||||||||||||||
第二十一条(開発途上国に関する特別規定) | |||||||||||||||
(1) | 開発途上にある国に関する特別の規定は、附属書に定める。 | ||||||||||||||
(2) | 附属書は、第二十八条(1)(b)の規定に従うことを条件として、この改正条約の不可分の一部をなす。 | ||||||||||||||
第二十二条(総会) | |||||||||||||||
(1) |
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(2) |
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(3) |
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(4) |
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(5) | 総会は、その手続規則を採択する。 (改正):S60外告183 | ||||||||||||||
第二十三条(執行委員会) | |||||||||||||||
(1) | 総会は、執行委員会を有する。 | ||||||||||||||
(2) |
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(3) | 執行委員会の構成国の数は、総会の構成国の数の四分の一とする。議席の数の決定に当たつては、四で除した余りの数は、考慮に入れない。 | ||||||||||||||
(4) | 総会は、執行委員会の構成国の選出に当たり、衡平な地理的配分を考慮し、また、同盟に関連して作成される特別の取極の締約国が執行委員会の構成国となることの必要性を考慮する。 | ||||||||||||||
(5) |
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(6) |
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(7) |
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(8) |
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(9) | 執行委員会の構成国でない同盟国は、執行委員会の会合にオブザーバーとして出席することを認められる。 | ||||||||||||||
(10) | 執行委員会は、その手続規則を採択する。 (改正):S60外告183 | ||||||||||||||
第二十四条(国際事務局) | |||||||||||||||
(1) |
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(2) | 国際事務局は、著作権の権利の保護に関する情報を収集し及び公表する。各同盟国は、著作者の権利の保護に関するすべての新たな法令及び公文書をできる限り速やかに国際事務局に送付する。 | ||||||||||||||
(3) | 国際事務局は、月刊の定期刊行物を発行する。 | ||||||||||||||
(4) | 国際事務局は、同盟国に対し、その要請に応じ、著作者の権利の保護に関する問題についての情報を提供する。 | ||||||||||||||
(5) | 国際事務局は、著作者の権利の保護を促進するため、研究を行い及び役務を提供する。 | ||||||||||||||
(6) | 事務局長及びその指名する職員は、総会、執行委員会その他専門家委員会又は作業部会のすべての会合に投票権なしで参加する。事務局長又はその指名する職員は、当然にこれらの内部機関の事務局の職務を行う。 | ||||||||||||||
(7) | |||||||||||||||
(8) | 国際事務局は、その他国際事務局に与えられる任務を遂行する。 | ||||||||||||||
第二十五条(予算) | |||||||||||||||
(1) |
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(2) | 同盟の予算は、機関が管理業務を行つている他の同盟の予算との調整の必要性を考慮した上で決定する。 | ||||||||||||||
(3) | 同盟の予算は、次のものを財源とする。
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(4) |
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(5) | 国際事務局が同盟の名において提供する役務について支払われる料金の額は、事務局長が定めるものとし、事務局長は、それを総会及び執行委員会に報告する。 | ||||||||||||||
(6) |
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(7) |
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(8) | 会計検査は、財政規則の定めるところにより、一若しくは二以上の同盟国又は外部の会計検査専門家が行う。これらの同盟国又は会計検査専門家は、総会がこれらの同盟国又は会計検査専門家の同意を得て指定する。 | ||||||||||||||
第二十六条(規定の修正) | |||||||||||||||
(1) | 第二十二条からこの条までの規定の修正の提案は、総会の構成国、執行委員会又は事務局長が行うことができる。その提案は、遅くとも総会による審議の六箇月前までに、事務局長が総会の構成国に送付する。 | ||||||||||||||
(2) | (1)の諸条の修正は、総会が採択する。採択には、投じられた票の四分の三以上の多数による議決を必要とする。ただし、第二十二条及びこの(2)の規定の修正には、投じられた票の五分の四以上の多数による議決を必要とする。 | ||||||||||||||
(3) | (1)の諸条の修正は、その修正が採択された時に総会の構成国であつた国の四分の三から、それぞれの憲法上の手続きに従つて行われた受諾についての書面による通告を事務局長が受領した後一箇月で効力を生ずる。このようにして受諾された(1)の諸条の修正は、その修正が効力を生ずる時に総会の構成国であるすべての国及びその後に総会の構成国となるすべての国を拘束する。ただし、同盟国の財政上の義務を増大する修正は、その修正の受諾を通告した国のみを拘束する。 | ||||||||||||||
第二十七条(改正) | |||||||||||||||
(1) | この条約は、同盟の制度を完全なものにするような改善を加えるため、改正に付される。 | ||||||||||||||
(2) | このため、順次にいずれかの同盟国において、同盟国の代表の間で会議を行う。 | ||||||||||||||
(3) | 第二十二条から前条までの規定の修正についての前条の規定が適用される場合を除くほか、この改正条約(附属書を含む。)の改正には、投じられた票のすべての賛成を必要とする。 | ||||||||||||||
第二十八条(批准又は加入) | |||||||||||||||
(1) |
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(2) |
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(3) | 第二十二条から第三十八条までの規定は、この改正条約を批准し又はこれに加入する同盟国((1)(b)の規定に基づく宣言を行つたかどうかを問わない。)については、事務局長がその批准書又は加入書の寄託を通告した日の後三箇月で効力を生ずる。ただし、それよりも遅い日が寄託された批准書又は加入書において指定されている場合には、第二十二条から第三十八条までの規定は、その国について、そのように指定された日に効力を生ずる。 | ||||||||||||||
第二十九条 | |||||||||||||||
(1) | 同盟に属しないいずれの国も、この改正条約に加入することができるものとし、その加入により、この条約の締約国となり、同盟の構成国となることができる。加入書は、事務局長に寄託する。 | ||||||||||||||
(2) |
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第二十九条の二 | |||||||||||||||
この条約のストックホルム改正条約第二十二条から第三十八条までの規定に拘束されない国によるこの改正条約の批准又はこれへの加入は、機関を設立する条約第十四条(2)の規定の適用上、ストックホルム改正条約第二十八条(1)(b)(i)に定める制限を付した同改正条約の批准又はそれへの加入とみなされる。 | |||||||||||||||
第三十条 | |||||||||||||||
(1) | 批准又は加入は、(2)、第二十八条(1)(b)及び第三十三条(2)の規定並びに附属書に基づく例外が適用される場合を除くほか、当然に、この条約のすべての条項の受諾及びこの条約に定めるすべての利益の享受を伴う。 | ||||||||||||||
(2) |
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第三十一条 | |||||||||||||||
(1) | いずれの国も、自国の対外関係について責任を有する領域の全部又は一部についてこの条約を適用する旨を、当該領域を指定して、批准書若しくは加入書において宣言し又は、その後いつでも、書面により事務局長に通告することができる。 | ||||||||||||||
(2) | (1)の宣言又は通告を行つた国は、当該領域の全部又は一部についてこの条約が適用されなくなる旨を、事務局長にいつでも通告することができる。 | ||||||||||||||
(3) |
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(4) | この条の規定は、いずれかの同盟国が(1)の規定に基づく宣言を行うことによつてこの条約を適用する領域の事実上の状態を、他の同盟国が承認し又は黙示的に容認することを意味するものと解してはならない。 | ||||||||||||||
第三十二条(改正条約の適用) | |||||||||||||||
(1) | この改正条約は、同盟国相互の関係においては、それが適用される範囲において、千八百八十六年九月九日のベルヌ条約及びその後の改正条約に代わる。従来実施されていた諸条約は、この改正条約を批准せず又はこれに加入しない同盟国との関係においては、全面的に又はこの改正条約が第一文の規定に基づいてそれらの条約に代わる範囲を除き、引き続き適用される。 | ||||||||||||||
(2) | 同盟に属しない国でこの改正条約の締約国となるものは、(3)の規定に従うことを条件として、この改正条約に拘束されない同盟国又はこの改正条約に拘束されるが第二十八条(1)(b)の規定に基づく宣言を行つた同盟国との関係において、この改正条約を適用するものとし、自国との関係において次のことを認める。
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(3) | 附属書に定める権能のいずれかを利用した同盟国は、この改正条約に拘束されない他の同盟国との関係において、その利用した権能に関する附属書の規定を適用することができる。ただし、当該他の同盟国がその規定の適用を受諾していることを条件とする。 | ||||||||||||||
第三十三条(紛争) | |||||||||||||||
(1) | この条約の解釈又は適用に関する二以上の同盟国の間の紛争で交渉によつて解決されないものは、紛争当事国が他の解決方法について合意する場合を除くほか、いずれか一の紛争当事国が、国際司法裁判所規程に合致した請求を行うことにより、国際司法裁判所に付託することができる。紛争を国際司法裁判所に付託する国は、その旨を国際事務局に通報するものとし、国際事務局は、それを他の同盟国に通報する。 | ||||||||||||||
(2) | いずれの国も、この改正条約に署名し又は批准書若しくは加入書を寄託する際に、(1)の規定に拘束されないことを宣言することができる。(1)の規定は、その宣言を行つた国と他の同盟国との間の紛争については、適用されない。 | ||||||||||||||
(3) | (2)の規定に基づく宣言を行つた国は、事務局長にあてた通告により、その宣言をいつでも撤回することができる。 | ||||||||||||||
第三十四条 | |||||||||||||||
(1) | いずれの国も、第二十九条の二の規定が適用される場合を除くほか、第一条から第二十一条までの規定及び附属書が効力を生じた後は、この条約の従前の改正条約に加入し又はそれらを批准することはできない。 | ||||||||||||||
(2) | いずれの国も、第一条から第二十一条までの規定及び附属書が効力を生じた後は、ストックホルム改正条約に附属する開発途上にある国に関する議定書第五条の規定に基づく宣言を行うことができない。 | ||||||||||||||
第三十五条(条約の廃棄) | |||||||||||||||
(1) | この条約は、無期限に効力を有する。 | ||||||||||||||
(2) | いずれの同盟国も、事務局長にあてた通告により、この改正条約を廃棄することができる。その廃棄は、従前のすべての改正条約の廃棄を伴うものとし、廃棄を行つた国についてのみ効力を生ずる。他の同盟国については、この条約は、引き続き効力を有する。 | ||||||||||||||
(3) | 廃棄は、事務局長がその通告を受領した日の後一年で効力を生ずる。 | ||||||||||||||
(4) | いずれの国も、同盟の構成国となつた日から五年の期間が満了するまでは、この条に定める廃棄の権利を行使することができない。 | ||||||||||||||
第三十六条 | |||||||||||||||
(1) | この条約の締約国は、自国の憲法に従い、この条約の適用を確保するために必要な措置をとることを約束する。 | ||||||||||||||
(2) | いずれの国も、この条約に拘束されることとなる時には、自国の国内法令に従いこの条約を実施することができる状態になつていなければならないと了解される。 | ||||||||||||||
第三十七条 | |||||||||||||||
(1) |
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(2) | この改正条約は、千九百七十二年一月三十一日まで、署名のために開放しておく。その日までは、(1)(a)にいう本書は、フランス共和国政府に寄託する。 | ||||||||||||||
(3) | 事務局長は、すべての同盟国政府に対し、及び要請があつたときは他の国の政府に対し、この改正条約の署名本書の認証謄本二通を送付する。 | ||||||||||||||
(4) | 事務局長は、この改正条約を国際連合事務局に登録する。 | ||||||||||||||
(5) | 事務局長は、すべての同盟国政府に対し、署名、批准書又は加入書の寄託、批准書又は加入書に付された宣言の寄託、第二十八条(1)(c)、第三十条(2)(a)若しくは(b)又は第三十三条(2)の規定に基づいて行われた宣言の寄託、この改正条約のいずれかの規定の効力の発生、廃棄の通告、第三十条(2)(c)、第三十一条(1)若しくは(2)、第三十三条(3)又は第三十八条(1)の規定に基づいて行われた通告及び附属書に規定する通告を通報する。 | ||||||||||||||
第三十八条 | |||||||||||||||
(1) | この改正条約を批准しておらず又はこれに加入していない同盟国でストックホルム改正条約第二十二条から第二十六条までの規定に拘束されていないものは、希望するときは、千九百七十五年四月二十六日まで、それらの規定に拘束される場合と同様にそれらの規定に定める権利を行使することができる。それらの権利を行使することを希望する国は、その旨の書面による通告を事務局長に寄託するものとし、その通告は、その受領の日に効力を生ずる。それらの国は、第一文の日まで、総会の構成国とみなされる。 | ||||||||||||||
(2) | すべての同盟国が機関の加盟国とならない限り、機関の国際事務局は同盟事務局としても、事務局長は同盟事務局の事務局長としても、それぞれ、職務を行う。 | ||||||||||||||
(3) | すべての同盟国が機関の加盟国となつたときは、同盟事務局の権利、義務及び財産は、機関の国際事務局が承継する。 |
附属書 | |
第一条(強制許諾制の利用) | |
(1) | 国際連合総会の確立された慣行により開発途上にある国とされるいずれの国も、この附属書が不可分の一部をなすこの改正条約を批准し又はこれに加入する場合において、その経済状態及び社会的又は文化的必要性にかんがみ、この改正条約に定めるすべての権利の保護を確保するための措置を直ちにとることができないと認めるときは、その批准書若しくは加入書の寄託の際に又は第五条(1)(c)の規定に従うことを条件としてその後いつでも、事務局長に寄託する通告により、次条若しくは第三条に定める権能又はこれらの双方の権能を利用することを宣言することができる。そのような国は、次条に定める権能を利用する代わりに、第五条(1)(a)の規定に基づく宣言を行うことができる。 |
(2) |
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(3) | (1)に規定する開発途上にある国でなくなつた同盟国は、(2)の規定に基づく宣言の更新を行うことができなくなるものとし、また、宣言を正式に撤回するかどうかを問わず、現に経過中の十年の期間の満了の時又は開発途上にある国でなくなつた後三年の期間の満了の時のうちいずれか遅い時に、(1)にいう権能を利用することができなくなる。 |
(4) | (1)又は(2)の規定に基づく宣言が効力を有しなくなつた時に、この附属書に基づいて与えられた許可に基づいて作成された複製物の在庫がある場合には、その複製物は、それが無くなるまで引き続き頒布することができる。 |
(5) | この改正条約に拘束される国であつて、(1)に規定する国の状態と同様の状態にある特定の領域についてのこの改正条約の適用に関しこの改正条約第三十一条(1)の規定に基づく宣言又は通告を寄託したものは、その領域に関し、(1)の宣言及び(2)の更新の通告を行うことができる。その宣言又は通告が効力を有する間は、この附属書は、その宣言又は通告が行われた領域について適用される。 |
(6) | |
第二条(翻訳権の強制許諾) | |
(1) | この条に定める権能を利用することを宣言した同盟国は、印刷その他類似の複製形式で発行された著作物に関し、権限のある機関がこの条に定める条件でかつ第四条の規定に従つて与える非排他的かつ譲渡不能の許可の制度をもつて、この改正条約第八条に規定する排他的翻訳権の代わりとすることができる。 |
(2) |
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(3) |
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(4) |
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(5) | この条の規定に基づく許可は、教育又は研究を目的とする場合にのみ、与えることができる。 |
(6) | 著作物の翻訳が、翻訳権を有する者により又はその者の許諾を得て、当該国において同種の著作物に通常付される価格と同程度の価格で発行された場合において、その翻訳が、許可に基づいて発行された翻訳と同一の言語によるものであり、かつ、ほぼ同一の内容のものであるときは、この条の規定に基づいて与えられた許可は、消滅する。許可の消滅前に既に作成された複製物は、それが無くなるまで引き続き頒布することができる。 |
(7) | 主として図画から成る著作物については、本文を翻訳し及びその翻訳を発行し、かつ、図画を複製し及び発行するための許可は、次条の条件も満たされる場合に限り、与えることができる。 |
(8) | 著作者が著作物の頒布中の複製物をすべて回収した場合には、この条の規定に基づく許可を与えてはならない。 |
(9) |
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第三条(複製権の強制許諾) | |
(1) | この条に定める権能を利用することを宣言した同盟国は、権限のある機関がこの条に定める条件でかつ次条の規定に従つて与える非排他的かつ譲渡不能の許可の制度をもつて、この改正条約第九条に規定する排他的複製権の代わりとすることができる。 |
(2) |
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(3) | (2)(a)(i)にいう期間は、五年とする。ただし、
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(4) |
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(5) | 次の場合には、著作物の翻訳を複製しかつ発行するための許可をこの条の規定に基づいて与えてはならない。
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(6) | 著作物のいずれかの版の複製物が、複製権を有する者により又はその者の許諾を得て、(1)に規定する同盟国において同種の著作物に通常付される価格と同程度の価格でその国において一般公衆に又は教育活動のために頒布される場合において、その版が、許可に基づいて発行された版と同一の言語によるものであり、かつ、ほぼ同一の内容のものであるときは、この条の規定に基づいて与えられた許可は、消滅する。許可の消滅前に既に作成された複製物は、それが無くなるまで引き続き頒布することができる。 |
(7) |
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第四条(強制許諾の手続) | |
(1) | 第二条又は前条の許可は、許可を申請する者が、権利を有する者に対し翻訳及びその翻訳の発行若しくは版の複製及び発行の許諾を求めたが拒否されたこと又は相当な努力を払つたが権利を有する者と連絡することができなかつたことを当該国の規則に従つて立証する場合に限り、与えることができる。許可を申請する者は、権利を有する者に対し許諾を求めると同時に、(2)に規定する国内的又は国際的情報センターにその旨を通報しなければならない。 |
(2) | 許可を申請する者は、権利を有する者と連絡することができなかつた場合には、著作物にその名を表示されている発行者に対し、及び発行者がその主たる事務所を有していると推定される国の政府が事務局長に寄託した通告で指定した国内的又は国際的情報センターに対し、許可を与える権限のある機関に提出した申請書の写しを書留航空便で送付する。 |
(3) | 第二条又は前条の規定によつて与えられた許可に基づいて行われた翻訳又は複製に係るすべての複製物には、その発行に際し、著作者の名が表示されていなければならない。これらの複製物には、著作物の題名を表示するものとする。翻訳の場合には、これらの複製物に著作物の原題名を表示しなければならない。 |
(4) |
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(5) | 第二条又は前条の規定によつて与えられた許可に基づいて発行されたすべての複製物には、その許可が適用される国又は領域においてのみその複製物が頒布されるものである旨の表示を適当な言語で記載しなければならない。 |
(6) |
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第五条(翻訳権の留保) | |
(1) |
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(2) | 第二条に定める権能を利用した同盟国は、その後は、(1)の規定に基づく宣言を行うことができない。もつとも、(3)の規定の適用が妨げられることはない。 |
(3) | 第一条(1)に規定する開発途上にある国でなくなつた同盟国は、同条(3)の規定に従つて適用される期間の満了の二年前までは、その国が同盟に属しない国でないという事実にかかわらずこの改正条約第三十条(2)(b)の第一文の規定に基づく宣言を行うことができる。その宣言は、第一条(3)の規定に従つて適用される期間が満了する日に効力を生ずる。 |
第六条(事前適用) | |
(1) | 同盟国は、この改正条約の作成の日からこの改正条約第一条から第二十一条までの規定及びこの附属書に拘束されることとなる時まではいつでも、次のことを宣言することができる。
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(2) | (1)の規定に基づく宣言は、書面によつて行うものとし、事務局長に寄託する。宣言は、寄託の日に効力を生ずる。 |
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けて、この改正条約に署名した。 千九百七十一年七月二十四日にパリで作成した。 |