所得税法

第二節 各種所得の金額の計算
第一款 所得の種類及び各種所得の金額
第二十三条(利子所得)

 利子所得とは、公社債及び預貯金の利子並びに合同運用信託及び公社債投資信託の収益の分配(以下この条において「利子等」という。)に係る所得をいう。
2 利子所得の金額は、その年中の利子等の収入金額とする。

第二十四条(配当所得)
 配当所得とは、法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。)から受ける利益の配当、剰余金の分配(出資に係るものに限る。)、基金利息(保険業法(平成七年法律第百五号)第五十五条第一項(基金利息の支払等の制限)に規定する基金利息をいう。)及び公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配(以下この条において「配当等」という。)に係る所得をいう。
2 配当所得の金額は、その年中の配当等の収入金額とする。ただし、株式その他配当所得を生ずべき元本を取得するために要した負債の利子(事業所得又は雑所得の基因となった有価証券を取得するために要した負債の利子を除く。以下この項において同じ。)でその年中に支払うものがある場合は、当該収入金額から、その支払う負債の利子の額のうちその年においてその元本を有していた期間に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額の合計額を控除した金額とする。

第二十五条(配当等の額とみなす金額)
 法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この条において同じ。)の同法第二条第十四号に規定する株主等(以下この条において「株主等」という。)が当該法人から次に掲げる金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が当該法人の同法第二条第十六号に規定する資本等の金額(以下この条において「資本等の金額」という。)のうちその交付の基因となった株式(出資を含む。以下この項及び次項において同じ。)に係る部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額は、利益の配当又は剰余金の分配の類とみなす。

当該法人の資本若しくは出資の減少又は株式の消却により交付される金銭その他の資産
当該法人からの退社又は脱退により持分の払戻しとして交付される金銭その他の資産
当該法人の解散により残余財産の分配として交付される金銭その他の資産
当該法人の合併により交付される金銭その他の資産

2 法人につき次の各号に掲げる事実が生じたときは、この法律の規定の適用については、当該各号に定める金額のうち当該法人の株主等が当該各号に掲げる事実の発生の時において有する株式(第一号の場合にあっては、消却されなかった株式とする。)に対応する部分の金額は、利益の配当又は剰余金の分配の類とみなし、かつ、当該事実の発生の時において当該法人からその株主等に対し当該金額の交付がされたものとみなす。
利益又は剰余金をもってする株式の消却その消却した株式に対応する資本の金額(当該金額がその消却に充てた利益又は剰余金の金額を超える場合には、当該利益又は剰余金の金額)
法人税法第二条第十八号に規定する利益積立金額の資本又は出資への組入れ資本又は出資に組み入れた当該利益積立金額
解散により残余財産の一部を分配した後における継続又は合併による消滅その分配が、まず、資本等の金額からされたものとした場合に計算される分配後の資本等の金額が、その継続又は合併に際し資本等の金額として当該法人の貸借対照表に計上されている金額に不足する場合におけるその不足類

3 第一項第一号から第三号までに掲げる金銭その他の資産の交付が二回以上にわたって行なわれた場合における同項に規定するこえる部分の金額の計算の方法その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第二十六条(不動産所得)
 不動産所得とは、不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機(以下この項において「不動産等」という。)の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含む。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
2 不動産所得の金額は、その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。

第二十七条(事業所得)
 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
2 事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。

第二十八条(給与所得)
 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。
2 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。
3 前項に規定する給与所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。

前項に規定する収入金額が百八十万円以下である場合 当該収入金額の百分の四十に相当する金額(当該金額が六十五万円に満たない場合には、六十五万円)
前項に規定する収入金額が百八十万円を超え三百六十万円以下である場合 七十二万円と当該収入金額から百八十万円を控除した金額の百分の三十に相当する金額との合計額
前項に規定する収入金額が三百六十万円を超え六百六十万円以下である場合 百二十六万円と当該収入金額から三百六十万円を控除した金額の百分の二十に相当する金額との合計額
前項に規定する収入金額が六百六十万円を超え千万円以下である場合 百八十六万円と当該収入金額から六百六十万円を控除した金額の百分の十に相当する金額との合計額五前項に規定する収人金額が千万円を超える場合二百二十万円と当該収入金額から千万円を控除した金額の百分の五に相当する金額との合計額
4 その年中の給与等の収入金額が六百六十万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、前二項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする。

第二十九条 削除

第三十条(退職所得)
 退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下この条において「退職手当等」という。)に係る所得をいう。
2 退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の二分の一に相当する金額とする。
3 前項に規定する退職所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額とする。

政令で定める勤続年数(以下この項において「勤続年数」という。)が二十年以下である場合 四十万円に当該勤続年数を乗じて計算した金額
勤続年数が二十年を超える場合 八百万円と七十万円に当該勤続年数から二十年を控除した年数を乗じて計算した金額との合計額

4 次の各号に掲げる場合に該当するときは、第二項に規定する退職所得控除額は、前項の規定にかかわらず、当該各号に掲げる金額とする。
その年の前年以前に他の退職手当等の支払を受けている場合で政令で定める場合 前項の規定により計算した金額から、当該他の退職手当等につき政令で定めるところにより同項の規定に準じて計算した金額を控除した金額
前項及び前号の規定により計算した金額が八十万円に満たない場合(次号に該当する場合を除く。) 八十万円
障害者になつたことに直接基因して退職したと認められる場合で政令で定める場合 前項及び第一号の規定により計算した金額(当該金額が八十万円に満たない場合には、八十万円)に百万円を加算した金額

第三十一条(退職手当等とみなす一時金)
 次に掲げる一時金は、この法律の規定の適用については、前条第一項に規定する退職手当等とみなす。

国民年金法、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)(第九章(厚生年金基金及び厚生年金基金連合会)の規定を除く。)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)、私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)、農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)及び農業者年金基金法(昭和四十五年法律第七十八号)の規定に基づく一時金その他これらの法律の規定による社会保険又は共済に関する制度に類する制度に基づく一時金(これに類する給付を含む。第三号において同じ。)で政令で定めるもの
厚生年金保険法第九章の規定に基づく一時金で同法第百二十二条(加入員)に規定する加入員の退職に基因して支払われるもの及び石炭鉱業年金基金法(昭和四十二年法律第百三十五号)の規定に基づく一時金で同法第十六条第一項(坑内員に関する給付)又は第十八条第一項(坑外員に関する給付)に規定する坑内員又は坑外員の退職に基因して支払われるもの
法人税法第八十四条第三項(退職年金等積立金の額の計算)に規定する適格退職年金契約に基づいて支給を受ける一時金で、その一時金が支給される基因となつた勤務をした者の退職により支払われるもの(当該契約に基づいて払い込まれた保険料又は掛金のうちに当該勤務をした者の負担した金額がある場合には、その一時金の額からその負担した金額を控除した金額に相当する部分に限る。)その他これに類する一時金で政令で定めるもの

第三十二条(山林所得)
 山林所得とは、山林の伐採又は譲渡による所得をいう。
2 山林をその取得の日以後五年以内に伐採し又は譲渡することによる所得は、山林所得に含まれないものとする。
3 山林所得の金額は、その年中の山林所得に係る総収入金額から必要経費を控除し、その残額から山林所得の特別控除額を控除した金額とする。
4 前項に規定する山林所得の特別控除額は、五十万円(同項に規定する残額が五十万円に満たない場合には、当該残額)とする。

第三十三条(譲渡所得)
 譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。

たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)
資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。
5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。

第三十四条(一時所得)
 一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。
2 一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする。
3 前項に規定する一時所得の特別控除額は、五十万円(同項に規定する残額が五十万円に満たない場合には、当該残額)とする。

第三十五条(雑所得)
 雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。
2 雑所得の金額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。

その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額
その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額
3 前項に規定する公的年金等とは、次に掲げる年金をいう。
第三十一条第一号及び第二号(退職手当等とみなす一時金)に規定する法律の規定に基づく年金その他同条第一号に規定する制度に基づく年金(これに類する給与を含む。第三号において同じ)で政令で定めるもの
恩給(一時恩給を除く。)及び過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金
第三十一条第三号に規定する契約に基づいて支給を受ける退職年金(当該契約に基づいて払い込まれた保険料又は掛金のうちにその退職年金が支給される基因となった勤務をした者の負担した金額がある場合には、その退職年金の額からその負担した金額のうちその退職年金の額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額に相当する部分に限る。)その他これに類する年金で政令で定めるもの
4 第二項に規定する公的年金等控除額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。ただし、当該合計額が百四十万円(その居住者が年齢六十五歳未満である場合には、七十万円)に満たないときは、百四十万円(その居住者が年齢六十五歳未満である場合には、七十万円)とする。
百万円(その居住者が年齢六十五歳未満である場合には、五十万円)
その年中の公的年金等の収入金額から前号に掲げる金額を控除した残額の次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に掲げる金額
当該残額が三百六十万円以下である場合当該残額の百分の二十五に相当する金額
当該残額が三百六十万円を超え、七百二十万円以下である場合九十万円と当該残額から三百六十万円を控除した金額の百分の十五に相当する金額との合計額
当該残額が七百二十万円を超える場合百四十四万円と当該残額から七百二十万円を控除した金額の百分の五に相当する金額との合計額
5 前項の場合において、同項に規定する居住者の年齢が六十五歳未満であるかどうかの判定は、その年十二月三十一日(その者が年の中途において死亡し又は出国をする場合には、その死亡又は出国の時)の年齢による。