信託法

 (平成18年12月15日法律第百八号)

第二条(定義)
 この法律において「信託」とは、次条各号に掲げる方法のいずれかにより、特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう。
2 この法律において「信託行為」とは、次の各号に掲げる信託の区分に応じ、当該各号に定めるものをいう。
 一 次条第一号に掲げる方法による信託 同号の信託契約
 二 次条第二号に掲げる方法による信託 同号の遺言
 三 次条第三号に掲げる方法による信託 同号の書面又は電磁的記録(同号に規定する電磁的記録をいう。)によってする意思表示
3 この法律において「信託財産」とは、受託者に属する財産であって、信託により管理又は処分をすべき一切の財産をいう。
4 この法律において「委託者」とは、次条各号に掲げる方法により信託をする者をいう。
5 この法律において「受託者」とは、信託行為の定めに従い、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をすべき義務を負う者をいう。
6 この法律において「受益者」とは、受益権を有する者をいう。
7 この法律において「受益権」とは、信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権(以下「受益債権」という。)及びこれを確保するためにこの法律の規定に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいう。
8 この法律において「固有財産」とは、受託者に属する財産であって、信託財産に属する財産でない一切の財産をいう。
9 この法律において「信託財産責任負担債務」とは、受託者が信託財産に属する財産をもって履行する責任を負う債務をいう。
10 この法律において「信託の併合」とは、受託者を同一とする二以上の信託の信託財産の全部を一の新たな信託の信託財産とすることをいう。
11 この法律において「吸収信託分割」とは、ある信託の信託財産の一部を受託者を同一とする他の信託の信託財産として移転することをいい、「新規信託分割」とは、ある信託の信託財産の一部を受託者を同一とする新たな信託の信託財産として移転することをいい、「信託の分割」とは、吸収信託分割又は新規信託分割をいう。
12 この法律において「限定責任信託」とは、受託者が当該信託のすべての信託財産責任負担債務について信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う信託をいう。


第三条(信託の方法)
 信託は、次に掲げる方法のいずれかによってする。
 一 特定の者との間で、当該特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の契約(以下「信託契約」という。)を締結する方法
 二 特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法
 三 特定の者が一定の目的に従い自己の有する一定の財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為を自らすべき旨の意思表示を公正証書その他の書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)で当該目的、当該財産の特定に必要な事項その他の法務省令で定める事項を記載し又は記録したものによってする方法

第五十六条(受託者の任務の終了事由)
 受託者の任務は、信託の清算が結了した場合のほか、次に掲げる事由によって終了する。ただし、第三号に掲げる事由による場合にあっては、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
  一 受託者である個人の死亡
  二 受託者である個人が後見開始又は保佐開始の審判を受けたこと。
  三 受託者(破産手続開始の決定により解散するものを除く。)が破産手続開始の決定を受けたこと。
  四 受託者である法人が合併以外の理由により解散したこと。
  五 次条の規定による受託者の辞任
  六 第五十八条の規定による受託者の解任
  七 信託行為において定めた事由
2 受託者である法人が合併をした場合における合併後存続する法人又は合併により設立する法人は、受託者の任務を引き継ぐものとする。受託者である法人が分割をした場合における分割により受託者としての権利義務を承継する法人も、同様とする。
3 前項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
4 第一項第三号に掲げる事由が生じた場合において、同項ただし書の定めにより受託者の任務が終了しないときは、受託者の職務は、破産者が行う。
5 受託者の任務は、受託者が再生手続開始の決定を受けたことによっては、終了しない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
6 前項本文に規定する場合において、管財人があるときは、受託者の職務の遂行並びに信託財産に属する財産の管理及び処分をする権利は、管財人に専属する。保全管理人があるときも、同様とする。
7 前二項の規定は、受託者が更生手続開始の決定を受けた場合について準用する。この場合において、前項中「管財人があるとき」とあるのは、「管財人があるとき(会社更生法第七十四条第二項(金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第四十七条及び第二百十三条において準用する場合を含む。)の期間を除く。)」と読み替えるものとする。

第五十七条(受託者の辞任)
 受託者は、委託者及び受益者の同意を得て、辞任することができる。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
2 受託者は、やむを得ない事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。
3 受託者は、前項の許可の申立てをする場合には、その原因となる事実を疎明しなければならない。
4 第二項の許可の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
5 第二項の規定による辞任の許可の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
6 委託者が現に存しない場合には、第一項本文の規定は、適用しない。

第五十九条(前受託者の通知及び保管の義務等)
 第五十六条第一項第三号から第七号までに掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、受託者であった者(以下「前受託者」という。)は、受益者に対し、その旨を通知しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
2 第五十六条第一項第三号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、前受託者は、破産管財人に対し、信託財産に属する財産の内容及び所在、信託財産責任負担債務の内容その他の法務省令で定める事項を通知しなければならない。
3 第五十六条第一項第四号から第七号までに掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、前受託者は、新たな受託者(第六十四条第一項の規定により信託財産管理者が選任された場合にあっては、信託財産管理者。以下この節において「新受託者等」という。)が信託事務の処理をすることができるに至るまで、引き続き信託財産に属する財産の保管をし、かつ、信託事務の引継ぎに必要な行為をしなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その義務を加重することができる。
4 前項の規定にかかわらず、第五十六条第一項第五号に掲げる事由(第五十七条第一項の規定によるものに限る。)により受託者の任務が終了した場合には、前受託者は、新受託者等が信託事務の処理をすることができるに至るまで、引き続き受託者としての権利義務を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
5 第三項の場合(前項本文に規定する場合を除く。)において、前受託者が信託財産に属する財産の処分をしようとするときは、受益者は、前受託者に対し、当該財産の処分をやめることを請求することができる。ただし、新受託者等が信託事務の処理をすることができるに至った後は、この限りでない。

第六十条(前受託者の相続人等の通知及び保管の義務等)
 第五十六条第一項第一号又は第二号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、前受託者の相続人(法定代理人が現に存する場合にあっては、その法定代理人)又は成年後見人若しくは保佐人(以下この節において「前受託者の相続人等」と総称する。)がその事実を知っているときは、前受託者の相続人等は、知れている受益者に対し、これを通知しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
2 第五十六条第一項第一号又は第二号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、前受託者の相続人等は、新受託者等又は信託財産法人管理人が信託事務の処理をすることができるに至るまで、信託財産に属する財産の保管をし、かつ、信託事務の引継ぎに必要な行為をしなければならない。
3 前項の場合において、前受託者の相続人等が信託財産に属する財産の処分をしようとするときは、受益者は、これらの者に対し、当該財産の処分をやめることを請求することができる。ただし、新受託者等又は信託財産法人管理人が信託事務の処理をすることができるに至った後は、この限りでない。
4 第五十六条第一項第三号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、破産管財人は、新受託者等が信託事務を処理することができるに至るまで、信託財産に属する財産の保管をし、かつ、信託事務の引継ぎに必要な行為をしなければならない。
5 前項の場合において、破産管財人が信託財産に属する財産の処分をしようとするときは、受益者は、破産管財人に対し、当該財産の処分をやめることを請求することができる。ただし、新受託者等が信託事務の処理をすることができるに至った後は、この限りでない。
6 前受託者の相続人等又は破産管財人は、新受託者等又は信託財産法人管理人に対し、第一項、第二項又は第四項の規定による行為をするために支出した費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
7 第四十九条第六項及び第七項の規定は、前項の規定により前受託者の相続人等又は破産管財人が有する権利について準用する。

第六十三条(信託財産管理命令)
 第五十六条第一項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、新受託者が選任されておらず、かつ、必要があると認めるときは、新受託者が選任されるまでの間、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託財産管理者による管理を命ずる処分(以下この款において「信託財産管理命令」という。)をすることができる。
2  前項の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
3  裁判所は、信託財産管理命令を変更し、又は取り消すことができる。
4  信託財産管理命令及び前項の規定による決定に対しては、利害関係人は、即時抗告をすることができる。

第六十四条(信託財産管理者の選任等)
 裁判所は、信託財産管理命令をする場合には、当該信託財産管理命令において、信託財産管理者を選任しなければならない。
2 前項の規定による信託財産管理者の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
3 裁判所は、第一項の規定による信託財産管理者の選任の裁判をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。
  一 信託財産管理者を選任した旨
  二 信託財産管理者の氏名又は名称
4 前項第二号の規定は、同号に掲げる事項に変更を生じた場合について準用する。
5 信託財産管理命令があった場合において、信託財産に属する権利で登記又は登録がされたものがあることを知ったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、信託財産管理命令の登記又は登録を嘱託しなければならない。
6 信託財産管理命令を取り消す裁判があったとき、又は信託財産管理命令があった後に新受託者が選任された場合において当該新受託者が信託財産管理命令の登記若しくは登録の抹消の嘱託の申立てをしたときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、信託財産管理命令の登記又は登録の抹消を嘱託しなければならない。

第六十六条(信託財産管理者の権限)
 第六十四条第一項の規定により信託財産管理者が選任された場合には、受託者の職務の遂行並びに信託財産に属する財産の管理及び処分をする権利は、信託財産管理者に専属する。
2  二人以上の信託財産管理者があるときは、これらの者が共同してその権限に属する行為をしなければならない。ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
3  二人以上の信託財産管理者があるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
4  信託財産管理者が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
一  保存行為
二  信託財産に属する財産の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
5  前項の規定に違反して行った信託財産管理者の行為は、無効とする。ただし、信託財産管理者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
6  信託財産管理者は、第二項ただし書又は第四項の許可の申立てをする場合には、その原因となる事実を疎明しなければならない。
7  第二項ただし書又は第四項の許可の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
8  第二項ただし書又は第四項の規定による許可の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

第七十二条(信託財産管理者による新受託者への信託事務の引継ぎ等)
 第七十七条の規定は、信託財産管理者の選任後に新受託者が就任した場合について準用する。この場合において、同条第一項中「受益者(二人以上の受益者が現に存する場合にあってはそのすべての受益者、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人)」とあり、同条第二項中「受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人。次項において同じ。)」とあり、及び同条第三項中「受益者」とあるのは「新受託者」と、同条第二項中「当該受益者」とあるのは「当該新受託者」と読み替えるものとする。

第七十四条(受託者の死亡により任務が終了した場合の信託財産の帰属等)
 第五十六条第一項第一号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、信託財産は、法人とする。
2 前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託財産法人管理人による管理を命ずる処分(第六項において「信託財産法人管理命令」という。)をすることができる。
3 第六十三条第二項から第四項までの規定は、前項の申立てに係る事件について準用する。
4 新受託者が就任したときは、第一項の法人は、成立しなかったものとみなす。ただし、信託財産法人管理人がその権限内でした行為の効力を妨げない。
5 信託財産法人管理人の代理権は、新受託者が信託事務の処理をすることができるに至った時に消滅する。
6 第六十四条の規定は信託財産法人管理命令をする場合について、第六十六条から第七十二条までの規定は信託財産法人管理人について、それぞれ準用する。

第七十五条(信託に関する権利義務の承継等)
 第五十六条第一項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、新受託者が就任したときは、新受託者は、前受託者の任務が終了した時に、その時に存する信託に関する権利義務を前受託者から承継したものとみなす。
2 前項の規定にかかわらず、第五十六条第一項第五号に掲げる事由(第五十七条第一項の規定によるものに限る。)により受託者の任務が終了した場合(第五十九条第四項ただし書の場合を除く。)には、新受託者は、新受託者等が就任した時に、その時に存する信託に関する権利義務を前受託者から承継したものとみなす。
3 前二項の規定は、新受託者が就任するに至るまでの間に前受託者、信託財産管理者又は信託財産法人管理人がその権限内でした行為の効力を妨げない。
4 第二十七条の規定は、新受託者等が就任するに至るまでの間に前受託者がその権限に属しない行為をした場合について準用する。
5 前受託者(その相続人を含む。以下この条において同じ。)が第四十条の規定による責任を負う場合又は法人である前受託者の理事、取締役若しくは執行役若しくはこれらに準ずる者(以下この項において「理事等」と総称する。)が第四十一条の規定による責任を負う場合には、新受託者等又は信託財産法人管理人は、前受託者又は理事等に対し、第四十条又は第四十一条の規定による請求をすることができる。
6 前受託者が信託財産から費用等の償還若しくは損害の賠償を受けることができ、又は信託報酬を受けることができる場合には、前受託者は、新受託者等又は信託財産法人管理人に対し、費用等の償還若しくは損害の賠償又は信託報酬の支払を請求することができる。ただし、新受託者等又は信託財産法人管理人は、信託財産に属する財産のみをもってこれを履行する責任を負う。
7 第四十八条第四項並びに第四十九条第六項及び第七項の規定は、前項の規定により前受託者が有する権利について準用する。
8 新受託者が就任するに至るまでの間に信託財産に属する財産に対し既にされている強制執行、仮差押え若しくは仮処分の執行又は担保権の実行若しくは競売の手続は、新受託者に対し続行することができる。
9 前受託者は、第六項の規定による請求に係る債権の弁済を受けるまで、信託財産に属する財産を留置することができる。

第八十六条(受託者の変更等の特例)
 受託者が二人以上ある信託における第五十九条の規定の適用については、同条第一項中「受益者」とあるのは「受益者及び他の受託者」と、同条第三項及び第四項中「受託者の任務」とあるのは「すべての受託者の任務」とする。
2 受託者が二人以上ある信託における第六十条の規定の適用については、同条第一項中「受益者」とあるのは「受益者及び他の受託者」と、同条第二項及び第四項中「受託者の任務」とあるのは「すべての受託者の任務」とする。
3 受託者が二人以上ある信託における第七十四条第一項の規定の適用については、同項中「受託者の任務」とあるのは、「すべての受託者の任務」とする。
4 受託者が二人以上ある信託においては、第七十五条第一項及び第二項の規定にかかわらず、その一人の任務が第五十六条第一項各号に掲げる事由により終了した場合には、その任務が終了した時に存する信託に関する権利義務は他の受託者が当然に承継し、その任務は他の受託者が行う。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

第百八十五条(受益証券の発行に関する信託行為の定め)
 信託行為においては、この章の定めるところにより、一又は二以上の受益権を表示する証券(以下「受益証券」という。)を発行する旨を定めることができる。
2 前項の規定は、当該信託行為において特定の内容の受益権については受益証券を発行しない旨を定めることを妨げない。
3 第一項の定めのある信託(以下「受益証券発行信託」という。)においては、信託の変更によって前二項の定めを変更することはできない。
4 第一項の定めのない信託においては、信託の変更によって同項又は第二項の定めを設けることはできない。

第二百五十八条(受益者の定めのない信託の要件)
 受益者の定め(受益者を定める方法の定めを含む。以下同じ。)のない信託は、第三条第一号又は第二号に掲げる方法によってすることができる。
2 受益者の定めのない信託においては、信託の変更によって受益者の定めを設けることはできない。
3 受益者の定めのある信託においては、信託の変更によって受益者の定めを廃止することはできない。
4 第三条第二号に掲げる方法によって受益者の定めのない信託をするときは、信託管理人を指定する定めを設けなければならない。この場合においては、信託管理人の権限のうち第百四十五条第二項各号(第六号を除く。)に掲げるものを行使する権限を制限する定めを設けることはできない。
5 第三条第二号に掲げる方法によってされた受益者の定めのない信託において信託管理人を指定する定めがない場合において、遺言執行者の定めがあるときは、当該遺言執行者は、信託管理人を選任しなければならない。この場合において、当該遺言執行者が信託管理人を選任したときは、当該信託管理人について信託行為に前項前段の定めが設けられたものとみなす。
6 第三条第二号に掲げる方法によってされた受益者の定めのない信託において信託管理人を指定する定めがない場合において、遺言執行者の定めがないとき、又は遺言執行者となるべき者として指定された者が信託管理人の選任をせず、若しくはこれをすることができないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託管理人を選任することができる。この場合において、信託管理人の選任の裁判があったときは、当該信託管理人について信託行為に第四項前段の定めが設けられたものとみなす。
7 第百二十三条第六項から第八項までの規定は、前項の申立てについての裁判について準用する。
8 第三条第二号に掲げる方法によってされた受益者の定めのない信託において、信託管理人が欠けた場合であって、信託管理人が就任しない状態が一年間継続したときは、当該信託は、終了する。