千九百七十年六月十九目にワシントンで作成された特許協力条約(昭和53年7月15日条約第13号 発効:昭和53年10月1日、平成14年3月26日外務省告示第54号変更 発効:平成14年4月1日、平成14年8月26日外務省告示第366号 第22条発効:平成14年9月1日) 日本語pdf(2002.04.01発効) 英語版、英語版PDF、 (改正履歴) |
締約国は、 |
科学及び技術の進歩に貢献することを希望し、 |
発明の法的保護を完全なものにすることを希望し、 |
複数の国において発明の保護が求められている場合に発明の保護の取得を簡易かつ一層経済的なものにすることを希望し、 |
新たな発明を記載した文書に含まれている技術情報の公衆による利用が容易かつ速やかに行われるようにすることを希望し、 |
開発途上にある国の特別の必要に応ずる技術的解決の可能性に関する入手の容易な情報を提供することにより、また、絶えず増大する近代技術の利用を容易にすることにより、国内的制度であるか広域的制度であるかを問わず開発途上にある国における発明の保護のための法律制度の効率を高めるための措置を採用することを通じてその経済発展を助長し及び促進することを希望し、 |
諸国間の協力がこれらの目的の達成を極めて容易にすることを確信して、 |
この条約を締結した。 |
序 | ||
第一条(同盟の設立) | ||
(1) | この条約の締約国(以下「締約国」という。)は、発明の保護のための出願並びにその出願に係る調査及び審査における協力のため並びに特別の技術的業務の提供のための同盟を形成する。この同盟は、国際特許協力同盟という。 | |
(2) | この条約のいかなる規定も、工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国の国民又は居住者の同条約に基づく権利を縮減するものと解してはならない。 | |
第二条(定義) | ||
この条約及び規則の適用上、明示的に別段の定めがある場合を除くほか、 | ||
(@) | 「出願」とは、発明の保護のための出願をいう。「出願」というときは、特許、発明者証、実用証、実用新案、追加特許、追加発明者証及び追加実用証の出願をいうものとする。 | |
(A) | 「特許」というときは、特許、発明者証、実用証、実用新案、追加特許、追加発明者証及び追加実用証をいうものとする。 | |
(B) | 「国内特許」とは、国内当局によつて与えられる特許をいう。 | |
(C) | 「広域特許」とは、二以上の国において効力を有する特許を与える権限を有する国内当局又は政府間当局によつて与えられる特許をいう。 | |
(D) | 「広域出願」とは、広域特許の出願をいう。 | |
(E) | 「国内出願」というときは、この条約に従つてされる出願以外の国内特許及び広域特許の出願をいうものとする。 | |
(F) | 「国際出願」とは、この条約に従つてされる出願をいう。 | |
(G) | 「出願」というときは、国際出願及び国内出願をいうものとする。 | |
(H) | 「特許」というときは、国内特許及び広域特許をいうものとする。 | |
(I) | 「国内法令」というときは、締約国の国内法令又は、広域出願若しくは広域特許にあつては、広域出願をすること若しくは広域特許を与えることについて規定している条約をいうものとする。 | |
(I@) | 「優先日」とは、期間の計算上、次の日をいう。 | |
(a) 国際出願が
第八条の規定による優先権の主張を伴う場合には、その優先権の主張の基礎となる出願の日 (b) 国際出願が 第八条の規定による二以上の優先権の主張を伴う場合には、それらの優先権の主張の基礎となる出願のうち最先のものの日 (c) 国際出願が 第八条の規定による優先権の主張を伴わない場合には、その出願の国際出願日 | ||
(IA) | 「国内官庁」とは、特許を与える任務を有する締約国の政府の当局をいう。「国内官庁」というときは、二以上の国から広域特許を与える任務を委任されている政府間当局をもいうものとする。ただし、これらの国のうち少なくとも一の国が締約国であり、かつ、この条約及び規則が国内官庁について定める義務及び権限を負い及び行使することをこれらの国が当該政府間当局に委任している場合に限る。 | |
(IB) | 「指定官庁」とは、第一章の規定に従い出願人によつて指定された国の国内官庁又はその国のために行動する国内官庁をいう。 | |
(IC) | 「選択官庁」とは、第二章の規定に従い出願人によつて選択された国の国内官庁又はその国のために行動する国内官庁をいう。 | |
(ID) | 「受理官庁」とは、国際出願がされた国内官庁又は政府間機関をいう。 | |
(IE) | 「同盟」とは、国際特許協力同盟をいう。 | |
(IF) | 「総会」とは、同盟の総会をいう。 | |
(IG) | 「機関」とは、世界知的所有権機関をいう。 | |
(IH) | 「国際事務局」とは、機関の国際事務局及び、それが存続する限り、知的所有権保護合同国際事務局(BIRPI)をいう。 | |
(II) | 「事務局長」とは、機関の事務局長及び、それが存続する限り、知的所有権保護合同国際事務局の事務局長をいう。 |
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第一章 国際出願及び国際調査 | ||||
第三条(国際出願) | ||||
(1) | 締約国における発明の保護のための出願は、この条約による国際出願としてすることができる。 | |||
(2) | 国際出願は、この条約及び規則の定めるところにより、願書、明細書、請求の範囲、必要な図面及び要約を含むものとする。 | |||
(3) | 要約は、技術情報としてのみ用いるものとし、他の目的のため、特に、求められている保護の範囲を解釈するために考慮に入れてはならない。 | |||
(4) | 国際出願は、次の条件に従う。 | |||
(@) 所定の言語で作成すること。 (A) 所定の様式上の要件を満たすこと。 (B) 所定の発明の単一性の要件を満たすこと。 (C) 所定の手数料を支払うこと。 | ||||
第四条(願書) | ||||
(1) | 願書には、次の事項を記載する。 | |||
(@) 国際出願がこの条約に従って処理されることの申立て (A) 国際出願に基づいて発明の保護が求められている一又は二以上の締約国の指定(このように指定される締約国を「指定国」という。)。指定国について広域特許を受けることが可能であり、かつ、出願人が国内特許ではなく広域特許を受けることを希望する場合には、願書にその旨を表示する。広域特許に関する条約により出願人がその条約の締約国のうち一部の国にその出願を限定することができない場合には、その条約の締約国のうち一の国の指定及び広域特許を受けることを希望する旨の表示は、その条約のすべての締約国の指定とみなす。指定国の国内法令に基づきその国の指定が広域特許の出願としての効果を有する場合には、その国の指定は、広域特許を受けることを希望する旨の表示とみなす。 (B) 出願人及び、該当する場合には、代理人の氏名又は名称並びにこれらの者に関するその他の所定の事項 (C) 発明の名称 (D) 指定国のうち少なくとも一の国の国内法令が国内出願をする時に発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項を表示することを定めている場合には、それらの事項。その他の場合には、それらの事項は、願書において又は、指定官庁の属する国の国内法令がそれらの事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めているときは、当該指定官庁にあてた別個の届出において、表示することができる。 | ||||
(2) | 各指定については、所定の期間内に所定の手数料を支払わなければならない。 | |||
(3) | 指定は、 第四十三条に規定する他の種類の保護が出願人によつて求められている場合を除くほか、求められている発明の保護が指定国により又は指定国について与えられる特許であることを意味するものとする。 第二条(A)の規定は、この(3)の規定については、適用しない。 | |||
(4) | 発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項が願書に表示されていないことは、指定国の国内法令がそれらの事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めている場合には、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。別個の届出においてそれらの事項が表示されていないことも、指定国の国内法令がそれらの事項を表示することを定めていない場合には、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。 | |||
第五条(明細書) | ||||
明細書には、当該技術分野の専門家が実施することができる程度に明確かつ十分に、発明を開示する。 | ||||
第六条(請求の範囲) | ||||
請求の範囲には、保護が求められている事項を明示する。請求の範囲は、明確かつ簡潔に記載されていなければならない。請求の範囲は、明細書により十分な裏付けがされていなければならない。 | ||||
第七条(図面) | ||||
(1) | (2)(A)の規定が適用される場合を除くほか、図面は、発明の理解に必要な場合に要求される。 | |||
(2) | 図面が発明の理解に必要でない場合であつても、発明の性質上図面によつて説明することができるときは、 | |||
(@) 出願人は、国際出願をする時に図面を国際出願に含めることができる。 (A) 指定官庁は、出願人に対し、所定の期間内に図面を提出することを要求することができる。 | ||||
第八条(優先権の主張) | ||||
(1) | 国際出願は、規則の定めるところにより、工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国において又は同条約の締約国についてされた先の出願に基づく優先権を主張する申立てを伴うことができる。 | |||
(2) | (a) | (b)の規定が適用される場合を除くほか、(1)の規定に基づいて申し立てられた優先権の主張の条件及び効果は、工業所有権の保護に関するパリ条約のストックホルム改正条約 第四条の定めるところによる。 | ||
(b) | いずれかの締約国において又はいずれかの締約国についてされた先の出願に基づく優先権の主張を伴う国際出願には、当該締約国の指定を含めることができる。国際出願が、いずれかの指定国において若しくはいずれかの指定国についてされた国内出願に基づく優先権の主張を伴う場合又は一の国のみの指定を含む国際出願に基づく優先権の主張を伴う場合には、当該指定国における優先権の主張の条件及び効果は、当該指定国の国内法令の定めるところによる。 | |||
第九条(出願人) | ||||
(1) | 締約国の居住者及び国民は、国際出願をすることができる。 | |||
(2) | 総会は、この条約の締約国ではないが工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国であるいずれかの国の居住者及び国民に国際出願をすることを認めることを決定することができる。 | |||
(3) | 住所及び国籍の概念並びに二人以上の出願人がある場合又は出願人がすべての指定国について同一でない場合におけるこれらの概念の適用については、規則に定める。 | |||
第十条(受理官庁) | ||||
国際出願は、所定の受理官庁にするものとし、受理官庁は、この条約及び規則の定めるところにより、国際出願を点検し及び処理する。 | ||||
第十一条(国際出願日及び国際出願の効果) | ||||
(1) | 受理官庁は、次の要件が受理の時に満たされていることを確認することを条件として、国際出願の受理の日を国際出願日として認める。 | |||
(@) | 出願人が、当該受理官庁に国際出願をする資格を住所又は国籍上の理由により明らかに欠いている者でないこと。 | |||
(A) | 国際出願が所定の言語で作成されていること。 | |||
(B) | 国際出願に少なくとも次のものが含まれていること。 | |||
(a) 国際出願をする意思の表示 (b) 少なくとも一の締約国の指定 (c) 出願人の氏名又は名称の所定の表示 (d) 明細書であると外見上認められる部分 (e) 請求の範囲であると外見上認められる部分 | ||||
(2) | (a) | 受理官庁は、国際出願が(1)に掲げる要件を受理の時に満たしていないと認める場合には、規則の定めるところにより、出願人に対し必要な補充をすることを求める。 | ||
(b) | 受理官庁は、出願人が規則の定めるところにより(a)の求めに応ずる場合には、当該補充の受理の日を国際出願日として認める。 | |||
(3) | 第六十四条(4)の規定に従うことを条件として、(1)(@)から(B)までに掲げる要件を満たし、かつ、国際出願日の認められた国際出願は、国際出願日から各指定国における正規の国内出願の効果を有するものとし、国際出願日は、各指定国における実際の出願日とみなす。 | |||
(4) | (1)(@)から(B)までに掲げる要件を満たす国際出願は、工業所有権の保護に関するパリ条約にいう正規の国内出願とする。 | |||
第十二条(国際出願の国際事務局及び国際調査機関への送付) | ||||
(1) | 規則の定めるところにより、国際出願の一通(「受理官庁用写し」)は受理官庁が保持し、一通(「記録原本」)は国際事務局に送付され、他の一通(「調査用写し」)は 第十六条に規定する管轄国際調査機関に送付される。 | |||
(2) | 記録原本は、国際出願の正本とする。 | |||
(3) | 国際事務局が所定の期間内に記録原本を受理しなかつた場合には、国際出願は、取り下げられたものとみなす。 | |||
第十三条(国際出願の写しの指定官庁による人手の可能性) | ||||
(1) | 指定官庁は、 第二十条の送達に先立つて国際出願の写しを送付することを国際事務局に要請することができるものとし、国際事務局は、優先日から一年を経過した後できる限り速やかにその写しをその指定官庁に送付する。 | |||
(2) | (a) | 出願人は、国際出願の写しをいつでも指定官庁に送付することができる。 | ||
(b) | 出願人は、国際出願の写しを指定官庁に送付することをいつでも国際事務局に要請することができるものとし、国際事務局は、できる限り速やかにその写しをその指定官庁に送付する。 | |||
(c) | いずれの国内官庁も、(b)の写しの受領を希望しない旨を国際事務局に通告することができる。この場合には、(b)の規定は、その国内官庁については、適用しない。 | |||
第十四条(国際出願の欠陥) | ||||
(1) | (a) | 受理官庁は、国際出願に次のいずれかの欠陥が含まれていないかどうかを点検する。 | ||
(@) 規則の定めるところによる署名がないこと。 (A) 出願人に関する所定の記載がないこと。 (B) 発明の名称の記載がないこと。 (C) 要約が含まれていないこと。 (D) 所定の様式上の要件が規則に定める程度にまで満たされていないこと。 | ||||
(b) | 受理官庁は、(a)のいずれかの欠陥を発見した場合には、出願人に対し所定の期間内に国際出願の補充をすることを求める。補充をしなかつた場合には、その国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。 | |||
(2) | 国際出願が実際にはその国際出願に含まれていない図面に言及している場合には、受理官庁は、出願人にその旨を通知するものとし、出願人は、所定の期間内にその図面を提出することができる。出願人が所定の期間内にその図面を提出した場合には、受理官庁がその図面を受理した日を国際出願日とする。その他の場合には、その図面への言及は、ないものとみなす。 | |||
(3) | (a) | 第三条(4)(C)にいう所定の手数料が所定の期間内に又はいずれの指定国についても第四条(2)にいう所定の手数料が所定の期間内に支払われていないと受理官庁が認めた場合には、国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。 | ||
(b) | 第四条(2)にいう所定の手数料が所定の期間内に一又は二以上の指定国について支払われているがすべての指定国については支払われていないと受理官庁が認めた場合には、その手数料が所定の期間内に支払われていない指定国の指定は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。 | |||
(4) | 受理官庁が、国際出願日を認めた後所定の期間内に、当該国際出願が 第十一条(1)(@)から(B)までに掲げるいずれかの要件をその国際出願日において満たしていなかつたと認定した場合には、当該国際出願は、取り下げられたものとみなし、受理官庁は、その旨を宣言する。 | |||
第十五条(国際調査) | ||||
(1) | 各国際出願は、国際調査の対象とする。 | |||
(2) | 国際調査は、関連のある先行技術を発見することを目的とする。 | |||
(3) | 国際調査は、明細書及び図面に妥当な考慮を払つた上で、請求の範囲に基づいて行う。 | |||
(4) | 次条に規定する国際調査機関は、可能な限り多くの関連のある先行技術を発見するよう努めるものとし、いかなる場合にも、規則に定める資料を調査する。 | |||
(5) | (a) | 締約国の国内法令が認める場合には、当該締約国の国内官庁又は当該締約国のために行動する国内官庁に国内出願をした出願人は、国内法令に定める条件に従い、国際調査に類する調査(「国際型調査」)がその国内出願について行われることを請求することができる。 | ||
(b) | 締約国の国内法令が認める場合には、当該締約国の国内官庁又は当該締約国のために行動する国内官庁は、当該国内官庁にされた国内出願を国際型調査に付することができる。 | |||
(c) | 国際型調査は、 次条に規定する国際調査機関であつて国内出願が国際出願として(a)及び(b)に規定する国内官庁にされたとしたならば国際調査を管轄したであろうとされるものが行う。国際調査機関が処理することができないと認める言語で国内出願がされている場合には、国際型調査は、国際出願のための所定の言語であつて当該国際調査機関が国際出願の言語として認めることを約束しているもので出願人が作成した翻訳文に基づいて行う。国内出願及び必要な翻訳文は、国際出願のための所定の形式で提出する。 | |||
第十六条(国際調査機関) | ||||
(1) | 国際調査は、国際調査機関が行うものとし、国内官庁又は出願の対象である発明に関する先行技術についての資料調査報告を作成する任務を有する政府間機関(例えば、国際特許協会)を国際調査機関とすることができる。 | |||
(2) | 単一の国際調査機関が設立されるまでの間に二以上の国際調査機関が存在する場合には、各受理官庁は、(3)(b)に規定する関係取決めに従い、国際出願についての国際調査を管轄することとなる一又は二以上の国際調査機関を特定する。 | |||
(3) | (a) | 国際調査機関は、総会が選定する。国内官庁及び政府間機関は、(c)に規定する要件を満たしている場合には、国際調査機関として選定されることができる。 | ||
(b) | 選定は、選定される国内官庁又は政府間機関の同意を得ること及び総会の承認を得て当該国内官庁又は当該政府間機関と国際事務局との間に取決めが締結されることを条件とする。この取決めには、当事者の権利及び義務、特に、国際調査のすべての共通の準則を適用しかつ遵守する旨の当該国内官庁又は当該政府間機関の公式の約束を明記する。 | |||
(c) | 国内官庁又は政府間機関が選定される前に及び選定されている間満たしていなければならない最小限の要件、特に人員及び資料に関する要件は、規則に定める。 | |||
(d) | 選定は、一定の期間を付して行うものとし、選定期間は、更新することができる。 | |||
(e) | 総会は、国内官庁若しくは政府間機関の選定若しくは選定期間の更新について決定する前又は選定期間の満了前に、当該国内官庁又は当該政府間機関の意見を聴取し及び、 第五十六条に規定する技術協力委員会が設置されている場合には、同委員会の助言を求める。 | |||
第十七条(国際調査機関における手続) | ||||
(1) | 国際調査機関における手続は、この条約、規則並びに国際事務局がこの条約及び規則に従つて当該国際調査機関と締結する取決めの定めるところによる。 | |||
(2) | (a) | 国際調査機関は、国際出願について次のいずれかの事由がある場合には、その旨を宣言するものとし、出願人及び国際事務局に対し国際調査報告を作成しない旨を通知する。 | ||
(@) 当該国際調査機関が、当該国際出願の対象が規則により国際調査機関による調査を要しないとされているものであると認め、かつ、当該国際出願について調査を行わないことを決定したこと。 (A) 当該国際調査機関が、明細書、請求の範囲又は図面が有意義な調査を行うことができる程度にまで所定の要件を満たしていないと認めたこと。 | ||||
(b) | (a)に規定するいずれかの事由が一部の請求の範囲のみとの関連においてある場合には、国際調査報告は、当該請求の範囲についてはその旨を表示するものとし、他の請求の範囲については次条の規定に従つて作成される。 | |||
(3) | (a) | 国際調査機関は、国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対し追加手数料の支払を求める。国際調査機関は、国際出願のうち、請求の範囲に最初に記載されている発明(「主発明」)に係る部分及び、必要な追加手数料が所定の期間内に支払われた場合には、追加手数料が支払われた発明に係る部分について、国際調査報告を作成する。 | ||
(b) | 指定国の国内法令は、当該指定国の国内官庁が国際調査機関による(a)の求めを正当であると認める場合に、出願人が追加手数料を支払わなかつたために調査が行われなかつた国際出願の部分は、当該指定国における効果に関する限り、出願人が当該指定国の国内官庁に特別手数料を支払つた場合を除くほか、取り下げられたものとみなすことを定めることができる。 | |||
第十八条(国際調査報告) | ||||
(1) | 国際調査報告は、所定の期間内に、所定の形式で作成する。 | |||
(2) | 国際調査報告は、作成後速やかに、国際調査機関が出願人及び国際事務局に送付する。 | |||
(3) | 国際調査報告又は 前条(2)(a)の宣言は、規則の定めるところによつて翻訳する。翻訳文は、国際事務局により又はその責任において作成される。 | |||
第十九条(国際事務局に提出する請求の範囲の補正書) | ||||
(1) | 出願人は、国際調査報告を受け取つた後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出することにより、国際出願の請求の範囲について一回に限り補正をすることができる。出願人は、同時に、補正並びにその補正が明細書及び図面に与えることのある影響につき、規則の定めるところにより簡単な説明書を提出することができる。 | |||
(2) | 補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。 | |||
(3) | 指定国の国内法令が(2)の開示の範囲を超えてする補正を認めている場合には、(2)の規定に従わないことは、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。 | |||
第二十条(指定官庁への送達) | ||||
(1) | (a) | 国際出願は、国際調査報告( 第十七条(2)(b)の表示を含む。)又は 第十七条(2)(a)の宣言とともに、規則の定めるところにより各指定官庁に送達される。ただし、当該指定官庁が送達の義務の全部又は一部を免除する場合は、この限りでない。 | ||
(b) | 送達される文書には、(a)の国際調査報告又は宣言の所定の翻訳文を含める。 | |||
(2) | 請求の範囲について 前条(1)の規定に基づく補正がされた場合には、送達される文書には、出願時における請求の範囲の全文及び補正後の請求の範囲の全文又は出願時における請求の範囲の全文及び補正を明記する記載を含めるものとし、また、同条(1)に規定する説明書がある場合には、その説明書を含める。 | |||
(3) | 国際調査機関は、指定官庁又は出願人の請求に応じ、規則の定めるところにより、当該指定官庁又は当該出願人に対し国際調査報告に列記された文献の写しを送付する。 | |||
第二十一条(国際公開) | ||||
(1) | 国際事務局は、国際出願の国際公開を行う。 | |||
(2) | (a) | 国際出願の国際公開は、(b)及び 第六十四条(3)に定める場合を除くほか、国際出願の優先日から十八箇月を経過した後速やかに行う。 | ||
(b) | 出願人は、(a)に定める期間の満了前のいずれの時においても国際出願の国際公開を行うことを国際事務局に請求することができるものとし、国際事務局は、規則の定めるところにより手続をとる。 | |||
(3) | 国際調査報告又は 第十七条(2)(a)の宣言は、規則の定めるところによつて公開する。 | |||
(4) | 国際公開の言語、形式その他の細目は、規則に定める。 | |||
(5) | 国際公開の技術的な準備が完了する前に国際出願が取り下げられ又は取り下げられたものとみなされる場合には、国際公開は、行わない。 | |||
(6) | 国際事務局は、国際出願に善良の風俗若しくは公の秩序に反する表現若しくは図面が含まれており又は規則に定める誹謗の記載が含まれていると認める場合には、その刊行物においてそのような表現、図面及び記載を省略することができる。この場合には、省略した語又は図面の箇所及び数を表示し並びに請求により個別に省略箇所の写しを交付する。 | |||
第二十二条(指定官庁に対する国際出願の写し及び翻訳文の提出並びに手数料の支払) | ||||
(1) | 出願人は、優先日から三十箇月を経過する時までに各指定官庁に対し、国際出願の写し(第二十条の送達が既にされている場合を除く。)及び所定の翻訳文を提出し並びに、該当する場合には、国内手数料を支払う。出願人は、指定国の国内法令が発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めている場合において、それらの事項が願書に記載されていないときは、当該指定国の国内官庁又は当該指定国のために行動する国内官庁に対し、優先日から三十箇月を経過する時までにそれらの事項を届け出る。 (改正:平成14年3月26日外務省告示第54号、効力発生及び経過措置)、第22条発効平成14年9月1日官報 | |||
(2) | 国際調査機関が第十七条(2)(a)の規定に基づき国際調査報告を作成しない旨を宣言した場合には、(1)に規定する行為をすべき期間は、(1)に定める期間と同一とする。 | |||
(3) | 国内法令は、(1)又は(2)に規定する行為をすべき期間として、(1)又は(2)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を定めることができる。 | |||
第二十三条(国内手続の繰延べ) | ||||
(1) | 指定官庁は、 前条に規定する当該期間の満了前に、国際出願の処理又は審査を行つてはならない。 | |||
(2) | (1)の規定にかかわらず、指定官庁は、出願人の明示の請求により、国際出願の処理又は審査をいつでも行うことができる。 | |||
第二十四条(指定国における効果の喪失) | ||||
(1) | 第十一条(3)に定める国際出願の効果は、次の場合には、(A)にあつては 次条の規定に従うことを条件として、指定国において、当該指定国における国内出願の取下げの効果と同一の効果をもつて消滅する。 | |||
(@) 出願人が国際出願又は当該指定国の指定を取り下げた場合 (A) 国際出願が 第十二条(3)若しくは 第十四条(1)(b)、(3)(a)若しくは(4)の規定により取り下げられたものとみなされる場合又は当該指定国の指定が第十四条(3)(b)の規定により取り下げられたものとみなされる場合 (B) 出願人が 第二十二条に規定する行為を該当する期間内にしなかつた場合 | ||||
(2) | (1)の規定にかかわらず、指定官庁は、 第十一条(3)に定める効果を、その効果の次条(2)の規定による維持が必要とされない場合を含め、維持することができる。 | |||
第二十五条(指定官庁による検査) | ||||
(1) | (a) | 受理官庁が国際出願日を認めることを拒否した場合若しくは国際出願は取り下げられたものとみなす旨を宣言した場合又は国際事務局が 第十二条(3)の規定により所定の期間内に記録原本を受理しなかつたと認定した場合には、国際事務局は、出願人の請求に応じ、出願人が特定した指定官庁に対し当該出願に関する書類の写しを速やかに送付する。 | ||
(b) | 受理官庁がいずれかの国の指定は取り下げられたものとみなす旨を宣言した場合には、国際事務局は、出願人の請求に応じ、当該国の国内官庁に対し当該出願に関する書類の写しを速やかに送付する。 | |||
(c) | (a)又は(b)にいう請求は、所定の期間内に行う。 | |||
(2) | (a) | (b)の規定に従うことを条件として、各指定官庁は、必要な国内手数料の支払及び所定の適当な翻訳文の提出が所定の期間内にあつた場合には、(1)の拒否、宣言又は認定がこの条約及び規則に照らし正当であるかどうかを決定するものとし、その拒否若しくは宣言が受理官庁の過失の結果であり又はその認定が国際事務局の過失の結果であると認めた場合には、当該国際出願を、当該指定官庁に係る国における効果に関する限り、このような過失の結果が生じなかつたものとして取り扱う。 | ||
(b) | (a)の規定は、記録原本が出願人の過失により 第十二条(3)にいう所定の期間の満了の後に国際事務局に到達した場合について準用する。ただし、 第四十八条(2)の規定が適用される場合に限る。 | |||
第二十六条(指定官庁における補充の機会) | ||||
指定官庁は、同一又は類似の場合における国内出願について国内法令に定める範囲内で及び手続に従い国際出願の補充をする機会をあらかじめ出願人に与えることなく、この条約及び規則に定める要件を満たしていないことを理由として国際出願を却下してはならない。 | ||||
第二十七条(国内的要件) | ||||
(1) | 国内法令は、国際出願が、その形式又は内容について、この条約及び規則に定める要件と異なる要件又はこれに追加する要件を満たすことを要求してはならない。 | |||
(2) | (1)の規定は、 第七条(2)の規定の適用を妨げるものではなく、また、国内法令が、指定官庁における国際出願の処理が開始された後に、 | |||
(@) 出願人が法人である場合にその法人を代表する権限を有する役員の氏名を届け出ること、又は (A) 国際出願の一部をなす書類ではないが、国際出願においてされている主張若しくは記述の裏付けとなる書類(出願時に出願人の代表者又は代理人が国際出願に署名している場合に、出願人が自己の署名によって国際出願を確認するものを含む。)を提出すること | ||||
を定めることを妨げるものでもない。 | ||||
(3) | 出願人が発明者でないという理由で当該指定国の国内法令により国内出願をする資格を有しない場合には、当該指定官庁は、当該国際出願を却下することができる。 | |||
(4) | 指定国の国内法令が、国内出願の形式又は内容につき、この条約及び規則に国際出願について定める要件よりも出願人の立場からみて有利な要件を定めている場合には、当該指定国の国内官庁、裁判所その他の権限のある機関又は当該指定国のために行動するこれらの機関は、この条約及び規則に定める要件に代えて当該国内法令に定める要件を国際出願について適用することができる。ただし、出願人が、この条約及び規則に定める要件が国際出願について適用されることを要求するときは、この限りでない。 | |||
(5) | この条約及び規則のいかなる規定も、各締約国が特許性の実体的な条件を定める自由を制限するものと解してはならない。特に先行技術の定義に関するこの条約及び規則の規定は、専ら国際的手続について適用されるものであり、したがつて、いずれの締約国も、国際出願に係る発明の特許性を判断するに当たつて、先行技術その他の特許性の条件(出願の形式及び内容に係るものを除く。)に関する国内法令上の基準を適用する自由を有する。 | |||
(6) | 国内法令は、その定める特許性の実体的な条件に関する証拠を出願人が提出することを要求することができる。 | |||
(7) | 受理官庁又は国際出願の処理を開始した指定官庁は、当該受理官庁若しくは当該指定官庁に対して出願人を代理する資格を有する代理人によつて出願人が代理され又は出願人が通知を受け取るためのあて名を指定国内に有するという要件に関する限り、国内法令を適用することができる。 | |||
(8) | この条約及び規則のいかなる規定も、締約国が自国の安全を保持するために必要と認める措置をとる自由又は締約国が自国の一般的な経済的利益の保護のため自国の居住者若しくは国民の国際出願をする権利を制限する自由を制限するものと解してはならない。 | |||
第二十八条(指定官庁における請求の範囲、明細書及び図面の補正) | ||||
(1) | 出願人は、各指定官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を与えられる。指定官庁は、出願人の明示の同意がない限り、その期間の満了前に特許を与えてはならず又は特許を拒絶してはならない。 | |||
(2) | 補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。ただし、指定国の国内法令が認める場合は、この限りでない。 | |||
(3) | 補正は、この条約及び規則に定めのないすべての点については、指定国の国内法令の定めるところによる。 | |||
(4) | 補正書は、指定官庁が国際出願の翻訳文の提出を要求する場合には、その翻訳文の言語で作成する。 | |||
第二十九条(国際公開の効果) | ||||
(1) | 指定国における出願人の権利の保護に関する限り、国際出願の国際公開の指定国における効果は、(2)から(4)までの規定に従うことを条件として、審査を経ていない国内出願の強制的な国内公開について当該指定国の国内法令が定める効果と同一とする。 | |||
(2) | 指定国の国内法令は、当該指定国において国内法令に基づく公開に用いられる言語と異なる言語で国際公開が行われた場合に(1)に定める効果が次のいずれかの時からのみ生ずることを定めることができる。 | |||
(@) 当該公開に用いられる言語による翻訳文が、国内法令の定めるところにより公表された時 (A) 当該公開に用いられる言語による翻訳文が、国内法令の定めるところにより公衆の閲覧に供されることによつて公衆が利用することができるようにされた時 (B) 当該公開に用いられる言語による翻訳文が、国際出願に係る発明を許諾を得ないで現に実施しており又は実施すると予想される者に対し出願人によつて送付された時 (C) (@)及び(B)に規定する措置の双方がとられた時又は(A)及び(B)に規定する措置の双方がとられた時 | ||||
(3) | 指定国の国内法令は、国際公開が出願人の請求により優先日から十八箇月を経過する前に行われた場合に(1)に定める効果が優先日から十八箇月を経過した時からのみ生ずることを定めることができる。 | |||
(4) | 指定国の国内法令は、(1)に定める効果が 第ニ十一条の規定に従つて公開された国際出願を当該指定国の国内官庁又は当該指定国のために行動する国内官庁が受領した日からのみ生ずることを定めることができる。当該国内官庁は、その公報にその受領の日をできる限り速やかに掲載する。 | |||
第三十条(国際出願の秘密保持) | ||||
(1) | (a) | (b)の規定が適用される場合を除くほか、国際事務局及び国際調査機関は、国際出願の国際公開が行われる前に、いかなる者又は当局に対しても国際出願が知得されるようにしてはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。 | ||
(b) | (a)の規定は、管轄国際調査機関への送付、 第十三条の送付及び 第二十条の送達については、適用しない。 | |||
(2) | (a) | 国内官庁は、次の日のうち最も早い日前に、第三者に対し国際出願が知得されるようにしてはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。 | ||
(@) 国際出願の国際公開の日 (A) 第二十条の規定に従つて送達される国際出願の受理の日 (B) 第二十二条の規定に基づく国際出願の写しの受理の日 | ||||
(b) | (a)の規定は国内官庁が自己が指定官庁とされた旨を第三者に通知すること又はその指定された事実を公表することを妨げるものではない。ただし、その通知又は公表には、受理官庁の名称、出願人の氏名又は名称、国際出願日、国際出願番号及び発明の名称以外の事項を含めることができない。 | |||
(c) | (a)の規定は、指定官庁が司法当局に対し国際出願が知得されるようにすることを妨げるものではない。 | |||
(3) | (2)(a)の規定は、 第十二条(1)の送付の場合を除くほか、受理官庁について適用する。 | |||
(4) | この条の規定の適用上、「知得されるようにする」とは、手段のいかんを問わず第三者が知ることができるようにすることをいい、個別に通報すること及び一般に公表することを含む。ただし、国内官庁が、国際公開前又は、国際公開が優先日から二十箇月を経過する時までに行われない場合には、優先日から二十箇月を経過する前に、国際出願又はその翻訳文を一般に公表してはならないことを条件とする。 | |||
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第二章 国際予備審査 | ||||
第三十一条(国際予備審査の請求) | ||||
(1) | 国際出願は、出願人の国際予備審査の請求により、この条及び次の諸条並びに規則の定めるところにより国際予備審査の対象とする。 | |||
(2) | (a) | 出願人が、規則の定めるところによつて、この章の規定に拘束される締約国の居住者又は国民である場合において、そのような締約国の受理官庁又はそのような締約国のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは、その出願人は、国際予備審査の請求をすることができる。 | ||
(b) | 総会は、国際出願をする資格を有する者に対し、その者が非締約国又はこの章の規定に拘束されない締約国の居住者又は国民である場合においても、国際予備審査の請求をすることを認めることを決定することができる。 | |||
(3) | 国際予備審査の請求は、国際出願とは別個に行う。この請求書には、所定の事項を記載するものとし、この請求書は、所定の、言語及び形式で作成する。 | |||
(4) | (a) | 国際予備審査の請求書には、国際予備審査の結果を利用することを出願人が意図する一又は二以上の締約国(「選択国」)を表示する。選択国は、後にする選択によつて追加することができる。選択の対象は、第四条の規定によつて既に指定された締約国に限る。 | ||
(b) | (2)(a)の出願人は、この章の規定に拘束されるいずれの締約国をも選択することができる。(2)(b)の出願人は、この章の規定に拘束される締約国であつて(2)(b)の出願人によつて選択される用意があることを宣言しているもののみを選択することができる。 | |||
(5) | 国際予備審査の請求については、所定の期間内に所定の手数料を支払わなければならない。 | |||
(6) | (a) | 国際予備審査の請求は、次条に規定する管轄国際予備審査機関に対して行う。 | ||
(b) | 後にする選択は、国際事務局に届け出る。 | |||
(7) | 各選択官庁は、自己が選択官庁とされた旨の通知を受ける。 | |||
第三十二条(国際予備審査機関) | ||||
(1) | 国際予備審査は、国際予備審査機関が行う。 | |||
(2) | 受理官庁は 前条(2)(a)にいう国際予備審査の請求につき、総会は同条(2)(b)にいう国際予備審査の請求につき、国際予備審査機関と国際事務局との間の関係取決めに従い、国際予備審査を管轄することとなる一又は二以上の国際予備審査機関を特定する。 | |||
(3) | 第十六条(3)の規定は、国際予備審査機関について準用する。 | |||
第三十三条(国際予備審査) | ||||
(1) | 国際予備審査は、請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの、進歩性を有するもの(自明のものではないもの)及び産業上の利用可能性を有するものと認められるかどうかの問題についての予備的なかつ拘束力のない見解を示すことを目的とする。 | |||
(2) | 国際予備審査に当たつては、請求の範囲に記載されている発明は、規則に定義する先行技術のうちに該当するものがない場合には、新規性を有するものとする。 | |||
(3) | 国際予備審査に当たつては、請求の範囲に記載されている発明は、所定の基準日に当該技術分野の専門家にとつて規則に定義する先行技術からみて自明のものではない場合には、進歩性を有するものとする。 | |||
(4) | 国際予備審査に当たつては、請求の範囲に記載されている発明は、いずれかの産業の分野においてその発明の対象がその発明の性質に応じ技術的な意味において生産し又は使用することができるものである場合には、産業上の利用可能性を有するものとする。「産業」の語は、工業所有権の保護に関するパリ条約におけると同様に最も広義に解釈する。 | |||
(5) | (1)から(4)までに規定する基準は、国際予備審査にのみ用いる。締約国は、請求の範囲に記載されている発明が自国において特許を受けることができる発明であるかどうかを決定するに当たつては、追加の又は異なる基準を適用することができる。 | |||
(6) | 国際予備審査に当たつては、国際調査報告に列記されたすべての文献を考慮に入れるものとし、更に、当該事案に関連があると認められる文献をも考慮に入れることができる。 | |||
第三十四条(国際予備審査機関における手続) | ||||
(1) | 国際予備審査機関における手続は、この条約、規則並びに国際事務局がこの条約及び規則に従つて当該国際予備審査機関と締結する取決めの定めるところによる。 | |||
(2) | (a) | 出願人は、国際予備審査機関と口頭及び書面で連絡する権利を有する。 | ||
(b) | 出願人は、国際予備審査報告が作成される前に、所定の方法で及び所定の期間内に、請求の範囲、明細書及び図面について補正をする権利を有する。この補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。 | |||
(c) | 出願人は、国際予備審査機関が次のすべての条件が満たされていると認める場合を除くほか、少なくとも一回当該国際予備審査機関から書面による見解を示される。 | |||
(@) 発明が
前条(1)に規定する基準に適合していること。 (A) 国際出願が当該国際予備審査機関の点検した範囲内でこの条約及び規則に定める要件を満たしていること。 (B) 当該国際予備審査機関が 次条(2)の末文の意見を述べることを意図していないこと。 | ||||
(d) | 出願人は、書面による見解に対して答弁をすることができる。 | |||
(3) | (a) | 国際予備審査機関は、国際出願が規則に定める発明の単一性の要件を満たしていないと認める場合には、出願人に対し、その選択によりその要件を満たすように請求の範囲を減縮し又は追加手数料を支払うことを求めることができる。 | ||
(b) | 選択国の国内法令は、(a)の規定により出願人が請求の範囲を減縮することを選択する場合に、その減縮の結果国際予備審査の対象とならない国際出願の部分は、当該選択国におけ る効果に関する限り、出願人が当該選択国の国内官庁に特別手数料を支払つた場合を除くほか、取り下げられたものとみなすことを定めることができる。 | |||
(c) | 出願人が所定の期間内に(a)の求めに応じない場合には、国際予備審査機関は、国際出願のうち主発明であると認められる発明に係る部分について国際予備審査報告を作成し、この報告に関係事実を記載する。選択国の国内法令は、当該選択国の国内官庁が国際予備審査機関の求めを正当であると認める場合に、主発明に係る部分以外の国際出願の部分は、当該選択国における効果に関する限り、出願人が当該国内官庁に特別手数料を支払つた場合を除くほか、取り下げられたものとみなすことを定めることができる。 | |||
(4) | (a) | 国際予備審査機関は、国際出願について次のいずれかの事由がある場合には、前条(1)の問題を検討することなく、出願人に対しその旨の見解及びその根拠を通知する。 | ||
(@) 当該国際予備審査機関が、当該国際出願の対象が規則により国際予備審査機関による国際予備審査を要しないとされているものであると認め、かつ、当該国際出願について国際予備審査を行わないことを決定したこと。 (A) 当該国際予備審査機関が、明細書、請求の範囲若しくは図面が明瞭でないため又は請求の範囲が明細書により十分な裏付けをされていないため、請求の範囲に記載されている発明の新規性、進歩性(自明のものではないこと)又は産業上の利用可能性について有意義な見解を示すことができないと認めたこと。 | ||||
(b) | (a)に規定するいずれかの事由が一部の請求の範囲のみについて又は一部の請求の範囲のみとの関連においてある場合には、(a)の規定は、当該請求の範囲のみについて適用する。 | |||
第三十五条(国際予備審査報告) | ||||
(1) | 国際予備審査報告は、所定の期間内に、所定の形式で作成する。 | |||
(2) | 国際予備審査報告には、請求の範囲に記載されている発明がいずれかの国内法令により特許を受けることができる発明であるかどうか又は特許を受けることができる発明であると思われるかどうかの問題についてのいかなる陳述をも記載してはならない。国際予備審査報告には、(3)の規定が適用される場合を除くほか、請求の範囲が国際予備審査に当たつての 第三十三条(1)から(4)までに規定する新規性、進歩性(自明のものではないこと)及び産業上の利用可能性の基準に適合していると認められるかどうかを各請求の範囲について記述する。その記述には、その記述の結論を裏付けると認められる文献を列記するものとし、場合により必要な説明を付する。また、その記述には、規則に定める他の意見を付する。 | |||
(3) | (a) | 国際予備審査機関は、国際予備審査報告の作成の際現に 前条(4)(a)に規定するいずれかの事由があると認める場合には、国際予備審査報告にその旨の見解及びその根拠を記述する。国際予備審査報告には、(2)のいかなる記述もしてはならない。 | ||
(b) | 前条(4)(b)に規定する事情があると認められる場合には、国際予備審査報告には、同条(4)(b)にいう一部の請求の範囲については(a)の記述をするものとし、他の請求の範囲については(2)の記述をする。 | |||
第三十六条(国際予備審査報告の送付、翻訳及び送達) | ||||
(1) | 国際予備審査報告は、所定の附属書類とともに出願人及び国際事務局に送付する。 | |||
(2) | (a) | 国際予備審査報告及び附属書類は、所定の言語に翻訳する。 | ||
(b) | 国際予備審査報告の翻訳文は、国際事務局により又はその責任において作成されるものとし、附属書類の翻訳文は、出願人が作成する。 | |||
(3) | (a) | 国際予備審査報告は、所定の翻訳文及び原語の附属書類とともに、国際事務局が各選択官庁に送達する。 | ||
(b) | 附属書類の所定の翻訳文は、出願人が所定の期間内に選択官庁に送付する。 | |||
(4) | 第二十条(3)の規定は、国際予備審査報告に列記された文献であつて国際調査報告には列記されていないものの写しについて準用する。 | |||
第三十七条(国際予備審査の請求又は選択の取下げ) | ||||
(1) | 出願人は、いずれかの又はすべての選択国の選択を取り下げることができる。 | |||
(2) | すべての選択国の選択が取り下げられた場合には、国際予備審査の請求は、取り下げられたものとみなす。 | |||
(3) | (a) | 取下げは、国際事務局に届け出る。 | ||
(b) | (a)の届出があつた場合には、国際事務局は、関係選択官庁及び関係国際予備審査機関にその旨を通告する。 | |||
(4) | (a) | (b)の規定が適用される場合を除くほか、国際予備審査の請求又は選択の取下げは、関係締約国に関する限り、国際出願の取下げとみなす。ただし、関係締約国の国内法令に別段の定めがある場合は、この限りでない。 | ||
(b) | 国際予備審査の請求又は選択の取下げは、 第二十二条に規定する当該期間の満了前に行われた場合には、国際出願の取下げとはみなさない。もつとも、締約国は、自国の国内官庁が当該期間内に国際出願の写し、所定の翻訳文及び国内手数料を受け取つた場合にのみこの(b)の規定が適用されることを国内法令で定めることができる。 | |||
第三十八条(国際予備審査の秘密保持) | ||||
(1) | 国際事務局及び国際予備審査機関は、いかなる時においても、いかなる者又は当局(国際予備審査報告の作成の後は、選択官庁を除く。)に対しても国際予備審査の一件書類につき 第三十条(4)(ただし書を含む。)に定義する意味において知得されるようにしてはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。 | |||
(2) | (1)、 第三十六条(1)及び(3)並びに前条(3)(b)の規定に従うことを条件として、国際事務局及び国際予備審査機関は、国際予備審査報告の作成の有無及び国際予備審査の請求又は選択の取下げの有無について情報を提供してはならない。ただし、出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は、この限りでない。 | |||
第三十九条(選択官庁に対する国際出願の写し及び翻訳文の提出並びに手数料の支払) | ||||
(1) | (a) | 締約国の選択が優先日から十九箇月を経過する前に行われた場合には、 第二十二条の規定は、当該締約国については適用しないものとし、出願人は、優先日から三十箇月を経過する時までに各選択官庁に対し、国際出願の写し(第二十条の送達が既にされている場合を除く。)及び所定の翻訳文を提出し並びに、該当する場合には、国内手数料を支払う。 | ||
(b) | 国内法令は、(a)に規定する行為をするため、(a)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を定めることができる。 | |||
(2) | 第十一条(3)に定める効果は、出願人が(1)(a)に規定する行為を(1)(a)又は(b)に規定する当該期間内にしなかつた場合には、選択国において、当該選択国における国内出願の取下げの効果と同一の効果をもつて消滅する。 | |||
(3) | 選択官庁は、出願人が(1)(a)又は(b)の要件を満たしていない場合においても、 第十一条(3)に定める効果を維持することができる。 | |||
第四十条(国内審査及び他の処理の繰延べ) | ||||
(1) | 締約国の選択が優先日から十九箇月を経過する前に行われた場合には、 第二十三条の規定は、当該締約国については適用しないものとし、当該締約国の国内官庁又は当該締約国のために行動する国内官庁は、(2)の規定が適用される場合を除くほか、 前条に規定する当該期間の満了前に、国際出願の審査及び他の処理を開始してはならない。 | |||
(2) | (1)の規定にかかわらず、選択官庁は、出願人の明示の請求により、国際出願の審査及び他の処理をいつでも開始することができる。 | |||
第四十一条(選択官庁における請求の範囲、明細書及び図面の補正) | ||||
(1) | 出願人は、各選択官庁において所定の期間内に請求の範囲、明細書及び図面について補正をする機会を与えられる。選択官庁は、出願人の明示の同意がない限り、その期間の満了前に特許を与えてはならず又は特許を拒絶してはならない。 | |||
(2) | 補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。ただし、選択国の国内法令が認める場合は、この限りでない。 | |||
(3) | 補正は、この条約及び規則に定めのないすべての点については、選択国の国内法令の定めるところによる。 | |||
(4) | 補正書は、選択官庁が国際出願の翻訳文の提出を要求する場合には、その翻訳文の言語で作成する。 | |||
第四十二条(選択官庁における国内審査の結果) | ||||
国際予備審査報告を受領した選択官庁は、出願人に対し、他の選択官庁における当該国際出願に関する審査に係る書類の写しの提出又はその書類の内容に関する情報の提供を要求することができない。 | ||||
| ||||
第三章 共通規定 | ||||
第四十三条(特定の種類の保護を求める出願) | ||||
指定国又は選択国が発明者証、実用証、実用新案、追加特許、追加発明者証又は追加実用証を与えることを国内法令に定めている場合には、出願人は、当該指定国又は当該選択国に関する限り、国際出願が特許ではなく発明者証、実用証若しくは実用新案を求める出願であること又は国際出願が追加特許、追加発明者証若しくは追加実用証を求める出願であることを規則の定めるところによつて表示することができるものとし、その国際出願は、出願人のこのような選択に従つて取り扱われる。 第二条(A)の規定は、この条及びこの条の規定に基づく規則の規定については、適用しない。 | ||||
第四十四条(二の種類の保護を求める出願) | ||||
指定国又は選択国が、特許又は前条に規定する他の種類の保護のうち、一の種類の保護を求める出願が他の一の種類の保護をも求める出願であることを国内法令で認める場合には、出願人は、当該指定国又は当該選択国については、その求める二の種類の保護を規則の定めるところによつて表示することができるものとし、当該国際出願は、出願人のこのような表示に従つて取り扱われる。 第二条(A)の規定は、この条の規定については、適用しない。 | ||||
第四十五条(広域特許条約) | ||||
(1) | 広域特許を与えることを定める条約(「広域特許条約」)であつて、 第九条の規定に基づいて国際出願をする資格を有するすべての者に対し広域特許の出願をする資格を与えるものは、広域特許条約の締約国でありかつこの条約の締約国である国の指定又は選択を含む国際出願を広域特許の出願としてすることができることを定めることができる。 | |||
(2) | (1)に規定する指定国又は選択国の国内法令は、国際出願における当該指定国又は当該選択国の指定又は選択を広域特許条約に基づく広域特許を受けることを希望する旨の表示とみなすことを定めることができる。 | |||
第四十六条(国際出願の正確でない翻訳) | ||||
国際出願が正確に翻訳されなかつたため、当該国際出願に基づいて与えられた特許の範囲が原語の国際出願の範囲を超えることとなる場合には、当該締約国の権限のある当局は、それに応じて特許の範囲を遡及して限定することができるものとし、特許の範囲が原語の国際出願の範囲を超えることとなる限りにおいて特許が無効であることを宣言することができる。 | ||||
第四十七条(期間) | ||||
(1) | この条約に規定する期間の計算については、規則に定める。 | |||
(2) | (a) | 前二章に定めるすべての期間は、 第六十条の規定による改正のほか、締約国の決定によつても変更することができる。 | ||
(b) | (a)の決定は、総会において又は通信による投票によつて行うものとし、全会一致によらなければならない。 | |||
(c) | (a)の変更のための手続の細目は、規則に定める。 | |||
第四十八条(遵守されなかつた期間) | ||||
(1) | この条約又は規則に定める期間が郵便業務の中断又は避けることのできない郵便物の亡失若しくは郵便の遅延によつて遵守されなかつた場合において、規則に定める場合に該当し、かつ、規則に定める立証その他の条件が満たされているときは、期間は、遵守されたものとみなす。 | |||
(2) | (a) | 締約国は、期間が遵守されていないことが国内法令で認められている遅滞の事由と同一の事由による場合には、自国に関する限り、遅滞を許すものとする。 | ||
(b) | 締約国は、期間が遵守されていないことが(a)の事由以外の事由による場合であつても、自国に関する限り、遅滞を許すことができる。 | |||
第四十九条(国際機関に対し業として手続をとる権能) | ||||
弁護士、弁理士その他の者であつて当該国際出願がされた国内官庁に対し業として手続をとる権能を有するものは、当該国際出願について、国際事務局、管轄国際調査機関及び管轄国際予備審査機関に対し業として手続をとる権能を有する。 | ||||
| ||||
第四章 技術的業務の提供 | ||||
第五十条(特許情報提供業務) | ||||
(1) | 国際事務局は、公表された文書、主として特許及び公表された出願に基づいてその有する技術情報その他の適切な情報を提供する業務(この条において「情報提供業務」という。)を行うことができる。 | |||
(2) | 国際事務局は、直接に又は取決めを締結した国際調査機関その他の国内的若しくは国際的な専門的組織を通じて、情報提供業務を行うことができる。 | |||
(3) | 情報提供業務は、特に、技術的知識及び技術(入手可能な公開のノウ・ハウを含む。)の開発途上にある締約国による取得を容易にするように行う。 | |||
(4) | 情報提供業務は、締約国の政府並びにその国民及び居住者の利用に供する。総会は、情報提供業務を他の者の利用にも供することを決定することができる。 | |||
(5) | (a) | 締約国の政府に対する業務は、実費で提供する。ただし、開発途上にある締約国の政府に対する業務については、実費との差額を締約国の政府以外の者に提供する業務から生ずる利益又は 次条(4)に規定する財源で賄うことができる場合に限り、実費に満たない額で提供する。 | ||
(b) | (a)の実費は、国内官庁又は国際調査機関の任務の遂行に伴つて通常生ずる費用を超える部分とする。 | |||
(6) | この条の規定の実施に関する細目は、総会の決定により及び総会が設置することのある作業部会が総会の定める範囲内で行う決定によつて定める。 | |||
(7) | 総会は、必要と認めるときは、(5)に規定する財政措置を補足するための財政措置を勧告する。 | |||
第五十一条(技術援助) | ||||
(1) | 総会は、技術援助委員会(この条において「委員会」という。)を設置する。 | |||
(2) | (a) | 委員会の構成国は、開発途上にある国が代表されるように妥当な考慮を払つた上で、締約国の中から選出する。 | ||
(b) | 事務局長は、その発意又は委員会の要請により、開発途上にある国に対する技術援助に関与する政府間機関の代表者が委員会の作業に参加するよう招請する。 | |||
(3) | (a) | 委員会は、開発途上にある締約国に対し各国別の又は広域的な特許制度の発展を目的として供与される技術援助を組織し及び監督することを任務とする。 | ||
(b) | 技術援助は、特に、専門家の養成及び派遣並びに教習用及び実務用の設備の供与を含むものとする。 | |||
(4) | 国際事務局は、この条の規定に基づく事業計画のための資金を調達することを目的として、一方において国際金融機関及び政府間機関、特に、国際連合、国際連合の諸機関及び技術援助に関与する国際連合の専門機関と、他方において技術援助を受ける国の政府と取決めを締結するよう努める。 | |||
(5) | この条の規定の実施に関する細目は、総会の決定により及び総会が設置することのある作業部会が総会の定める範囲内で行う決定によつて定める。 | |||
第五十二条(この条約の他の規定との関係) | ||||
この章のいかなる規定も、他の章の財政に関する規定に影響を及ぼすものではない。それらの規定は、この章の規定及びこの章の規定の実施については、適用しない。 | ||||
| ||||
第五章 管理規定 | ||||
第五十三条(総会) | ||||
(1) | (a) | 総会は、 第五十七条(8)の規定に従うことを条件として、締約国で構成する。 | ||
(b) | 各締約国の政府は、一人の代表によつて代表されるものとし、代表は、代表代理、顧問及び専門家の補佐を受けることができる。 | |||
(2) | (a) | 総会は、次のことを行う。 | ||
(@) 同盟の維持及び発展並びにこの条約の実施に関するすべての問題を取り扱うこと。 (A) この条約の他の規定によつて明示的に総会に与えられた任務を遂行すること。 (B) 国際事務局に対し改正会議の準備に関する指示を与えること。 (C) 事務局長の同盟に関する報告及び活動を検討し及び承認し、並びに事務局長に対し同盟の権限内の事項についてすべての必要な指示を与えること。 (D) (9)の規定に従つて設置される執行委員会の報告及び活動を検討し及び承認し、並びに執行委員会に対し指示を与えること。 (E) 同盟の事業計画を決定し及び三年予算を採択し、並びに決算を承認すること。 (F) 同盟の財政規則を採択すること。 (G) 同盟の目的を達成するために必要と認める委員全及び作業部会を設置すること。 (H) 非締約国並びに、(8)の規定に従うことを条件として、政府間機関及び国際的な非政府機関であつて総会の会合にオブザーバーとして出席することを認められるものを決定すること。 (I) 同盟の目的を達成するため他の適当な措置をとり、及びその他この条約に基づく必要な任務を遂行すること。 | ||||
(b) | 総会は、機関が管理業務を行つている他の同盟にも利害関係のある事項については、機関の調整委員会の助言を受けた上で決定を行う。 | |||
(3) | 代表は、一の国のみを代表し及びその国の名においてのみ投票することができる。 | |||
(4) | 各締約国は、一の票を有する。 | |||
(5) | (a) | 締約国の二分の一をもつて定足数とする。 | ||
(b) | 総会は、定足数に満たない場合においても、決定を行うことができる。ただし、その決定は、総会の手続に関する決定を除くほか、規則に定める通信による投票で定足数が満たされかつ必要な多数が得られた場合にのみ効力を生ずる。 | |||
(6) | (a) | 第四十七条(2)(b)、 第五十八条(2)(b)及び(3)並びに 第六十一条(2)(b)の規定が適用される場合を除くほか、総会の決定は、投じられた票の三分の二以上の多数による議決で行う。 | ||
(b) | 棄権は、投票とみなさない。 | |||
(7) | 第二章の規定に拘束される締約国にのみ利害関係のある事項については、(4)から(6)までに規定する締約国とは、同章の規定に拘束される締約国のみをいう。 | |||
(8) | 国際調査機関として又は国際予備審査機関として選定された政府間機関は、総会にオブザーバーとして出席することを認められる。 | |||
(9) | 総会は、締約国の数が四十を超える場合には、執行委員会を設置する。この条約及び規則において執行委員会というときは、設置された後の執行委員会をいうものとする。 | |||
(10) | 総会は、執行委員会が設置されるまでの間は、事務局長が作成した年次事業計画及び年次予算を事業計画及び三年予算の範囲内で承認する。 | |||
(11) | (a) | 総会は、事務局長の招集により、二年ごとに通常会期として会合するものとし、例外的な場合を除くほか、機関の一般総会と同一期間中に同一の場所において会合する。 | ||
(b) | 総会は、執行委員会の要請又は締約国の四分の一以上の要請があつたときは、事務局長の招集により、臨時会期として会合する。 | |||
(12) | 総会は、その手続規則を採択する。 | |||
第五十四条(執行委員会) | ||||
(1) | 総会が執行委員会を設置したときは、執行委員会は、(2)から(10)までの規定に従うものとする。 | |||
(2) | (a) | 執行委員会は、 第五十七条(8)の規定に従うことを条件として、総会の構成国の中から総会によつて選出された国で構成する。 | ||
(b) | 執行委員会の各構成国の政府は、一人の代表によつて代表されるものとし、代表は、代表代理、顧問及び専門家の補佐を受けることができる。 | |||
(3) | 執行委員会の構成国の数は、総会の構成国の数の四分の一とする。議席の数の決定に当たつては、四で除した余りの数は、考慮に入れない。 | |||
(4) | 総会は、執行委員会の構成国の選出に当たり、衡平な地理的配分に妥当な考慮を払う。 | |||
(5) | (a) | 執行委員会の構成国の任期は、その選出が行われた総会の会期の終了時から総会の次の通常会期の終了時までとする。 | ||
(b) | 執行委員会の構成国は、最大限その構成国の三分の二まで再選されることができる。 | |||
(c) | 総会は、執行委員全の構成国の選出及び再選に関する細目を定める。 | |||
(6) | (a) | 執行委員会は、次のことを行う。 | ||
(@) 総会の議事日程案を作成すること。 (A) 事務局長が作成した同盟の事業計画案及び二年予算案について総会に提案をすること。 (B) 削除 (C) 事務局長の定期報告及び年次会計検査報告を、適当な意見を付して、総会に提出すること。 (D) 総会の決定に従い、また、総会の通常会期から通常会期までの間に生ずる事態を考慮して、事務局長による同盟の事業計画の実施を確保するためすべての必要な措置をとること。 (E) その他この条約に基づいて執行委員会に与えられる任務を遂行すること。 | ||||
(b) | 執行委員会は、機関が管理業務を行つている他の同盟にも利害関係のある事項については、機関の調整委員会の助言を受けた上で決定を行う。 | |||
(7) | (a) | 執行委員会は、事務局長の招集により、毎年一回、通常会期として会合するものとし、できる限り機関の調整委員会と同一期間中に同一の場所において会合する。 | ||
(b) | 執行委員会は、事務局長の発意により又は執行委員会の議長若しくはその構成国の四分の一以上の要請に基づき、事務局長の招集により、臨時会期として会合する。 | |||
(8) | (a) | 執行委員会の各構成国は、一の票を有する。 | ||
(b) | 執行委員会の構成国の二分の一をもつて定足数とする。 | |||
(c) | 決定は、投じられた票の単純多数による議決で行う。 | |||
(d) | 棄権は、投票とみなさない。 | |||
(e) | 代表は、一の国のみを代表し及びその国の名においてのみ投票することができる。 | |||
(9) | 執行委員会の構成国でない締約国及び国際調査機関として又は国際予備審査機関として選定された政府間機関は、執行委員会の会合にオブザーバーとして出席することを認められる。 | |||
(10) | 執行委員会は、その手続規則を採択する。 | |||
第五十五条(国際事務局) | ||||
(1) | 同盟の管理業務は、国際事務局が行う。 | |||
(2) | 国際事務局は、同盟の諸機関の事務局の職務を行う。 | |||
(3) | 事務局長は、同盟の首席の管理職員とし、同盟を代表する。 | |||
(4) | 国際事務局は、公報その他規則又は総会の定める刊行物を発行する。 | |||
(5) | 国際事務局、国際調査機関及び国際予備審査機関がこの条約に基づく任務を遂行するに当たつて国内官庁が与える援助については、規則に定める。 | |||
(6) | 事務局長及びその指名する職員は、総会、執行委員会その他この条約又は規則に基づいて設置される委員会又は作業部会のすべての会合に投票権なしで参加する。事務局長又はその指名する職員一人は、当然にこれらの機関の事務局の長としての職務を行う。 | |||
(7) | (a) | 国際事務局は、総会の指示に従い、かつ、執行委員会と協力して、改正会議の準備を行う。 | ||
(b) | 国際事務局は、改正会議の準備に関し政府間機関及び国際的な非政府機関と協議することができる。 | |||
(c) | 事務局長及びその指名する者は、改正会議における審議に投票権なしで参加する。 | |||
(8) | 国際事務局は、その他国際事務局に与えられる任務を遂行する。 | |||
第五十六条(技術協力委員会) | ||||
(1) | 総会は、技術協力委員会(この条において「委員会」という。)を設置する。 | |||
(2) | (a) | 総会は、開発途上にある国が衡平に代表されるように妥当な考慮を払つた上で、委員会の構成を決定し及びその構成員を任命する。 | ||
(b) | 国際調査機関及び国際予備審査機関は、当然に委員会の構成員となる。国際調査機関又は国際予備審査機関が締約国の国内官庁である場合には、当該締約国は、委員会において重複して代表を出すことができない。 | |||
(c) | 委員会の構成員の総数は、締約国の数に照らして可能な場合には、当然に委員会の構成員となるものの数の二倍を超える数とする。 | |||
(d) | 事務局長は、その発意又は委員会の要請により、関係機関に利害関係のある討議に当該関係機関の代表者が参加するよう招請する。 | |||
(3) | 委員会は、助言又は勧告を行うことによつて次のことに寄与することを目的とする。 | |||
(@) この条約に基づく業務を絶えず改善すること。 (A) 二以上の国際調査機関又は二以上の国際予備審査機関が存存する限り、その資料及び作業方法についてできる限りの統一性を確保すること並びにその報告の質ができる限り高くかつ均一であることを確保すること。 (B) 総会又は執行委員会の発意に基づき、特に単一の国際調査機関の設立に関する技術的問題を解決すること。 | ||||
(4) | 締約国及び関係国際機関は、委員会に対し、委員会の権限内にある問題につき書面によつて意見を述べることができる。 | |||
(5) | 委員会は、事務局長に対し又は、事務局長を通じて、総会、執行委員会、すべての若しくは一部の国際調査機関及び国際予備審査機関並びにすべての若しくは一部の受理官庁に対し、助言及び勧告を行うことができる。 | |||
(6) | (a) | 事務局長は、いかなる場合においても、執行委員会に対し委員会のすべての助言及び勧告を送付する。事務局長は、その助言及び勧告について意見を付することができる。 | ||
(b) | 執行委員会は、委員会の助言、勧告又は他の活動について見解を表明することができるものとし、委員会に対し、委員会の権限内にある問題について研究し及び報告することを求めることができる。執行委員会は、総会に対し、適当な意見を付して委員会の助言、勧告及び報告を提出することができる。 | |||
(7) | 執行委員会が設置されるまでの間は、(6)にいう執行委員会とは、総会をいうものとする。 | |||
(8) | 委員会の手続の細目は、総会の決定によつて定める。 | |||
第五十七条(財政) | ||||
(1) | (a) | 同盟は、予算を有する。 | ||
(b) | 同盟の予算は、収入並びに同盟に固有の支出及び機関が管理業務を行つている諸同盟の共通経費の予算に対する同盟の分担金から成る。 | |||
(c) | 諸同盟の共通経費とは、同盟にのみでなく機関が管理業務を行つている他の同盟にも帰すべき経費をいう。共通経費についての同盟の分担の割合は、共通経費が同盟にもたらす利益に比例する。 | |||
(2) | 同盟の予算は、機関が管理業務を行つている他の同盟の予算との調整の必要性を考慮した上で決定する。 | |||
(3) | (5)の規定が適用される場合を除くほか、同盟の予算は、次のものを財源とする。 | |||
(@) 国際事務局が同盟の名において提供する役務について支払われる手数料及び料金 (A) 同盟に関する国際事務局の刊行物の販売代金及びこれらの刊行物に係る権利の使用料 (B) 贈与、遺贈及び補助金 (C) 賃貸料、利子その他の雑収入 | ||||
(4) | 国際事務局に支払われる手数料及び料金の額並びに国際事務局の刊行物の価格は、この条約の管理業務に係る国際事務局のすべての経費を通常の状態において賄うことができるように定める。 | |||
(5) | (a) | 会計年度が欠損を伴つて終了する場合には、締約国は、(b)及び(c)の規定に従うことを条件として、その欠損を填補するため分担金を支払う。 | ||
(b) | 各締約国の分担金の額は、当該年度における各締約国からの国際出願の数に妥当な考慮を払つた上で総会が定める。 | |||
(c) | 総会は、欠損の全部又は一部を他の方法によつて暫定的に填補することができる場合には、その欠損を繰り越すこと及び締約国に分担金の支払を求めないことを決定することができる。 | |||
(d) | 総会は、同盟の財政状態が許す場合には、(a)の規定に従つて支払われた分担金をこれを支払つた締約国に払い戻すことを決定することができる。 | |||
(e) | (b)の規定に基づく分担金を総会が定める支払期日から二年以内に支払わなかつた締約国は、同盟のいずれの機関においても、投票権を行使することができない。ただし、同盟のいずれの機関も、支払の延滞が例外的なかつ避けることのできない事情によるものであると認める限り、当該締約国が当該機関において引き続き投票権を行使することを許すことができる。 | |||
(6) | 予算が新会計年度の開始前に採択されなかつた場合には、財政規則の定めるところにより、前年度の予算をもつて予算とする。 | |||
(7) | (a) | 同盟は、各締約国の一回限りの支払金から成る運転資金を有する。運転資金が十分でなくなつた場合には、総会は、その増額のための措置をとる。運転資金の一部が必要でなくなつた場合には、その運転資金の一部は、払い戻す。 | ||
(b) | 運転資金に対する各締約国の当初の支払金の額及び運転資金の増額の部分に対する各締約国の分担額は、(5)(b)に定める原則と同様の原則に基づいて総会が定める。 | |||
(c) | 支払の条件は、事務局長の提案に基づき、かつ、機関の調整委員会の助言を受けた上で、総会が定める。 | |||
(d) | 払戻しは、各締約国の支払つた額に比例して行うものとし、各締約国の支払つた日を考慮に入れる。 | |||
(8) | (a) | その領域内に機関の本部が所在する国との間で締結される本部協定には、運転資金が十分でない場合にその国が立替えをすることを定める。立替えの額及び条件は、その国と機関との間の別個の取極によつてその都度定める。その国は、立替えの義務を有する限り、当然に総会及び執行委員会に議席を有する。 | ||
(b) | (a)の国及び機関は、それぞれ、書面による通告により立替えの約束を廃棄する権利を有する。廃棄は、通告が行われた年の終わりから三年を経過した時に効力を生ずる。 | |||
(9) | 会計検査は、財政規則の定めるところにより、一若しくは二以上の締約国又は外部の会計検査専門家が行う。これらの締約国又は会計検査専門家は、総会がこれらの締約国又は会計検査専門家の同意を得て指定する。 | |||
第五十八条(規則) | ||||
(1) | この条約に附属する規則には、次の事項に関する規定を設ける。 | |||
(@) この条約において、規則に明示的にゆだねられている事項又は所定の事項であることが明示的に定められている事項 (A) 業務の運用上の要件、事項又は手続 (B) この条約の規定を実施するために有用な細目 | ||||
(2) | (a) | 総会は、規則を修正することができる。 | ||
(b) | 修正は、(3)の規定に従うことを条件として、投じられた票の四分の三以上の多数による議決で行う。 | |||
(3) | (a) | 規則は、次のいずれかの場合に限つて修正することができる規定を特定する。 | ||
(@) 全会一致の合意がある場合 (A) 自国の国内官庁を国際調査機関又は国際予備審査機関とする締約国及び、政府間機関が国際調査機関又は国際予備審査機関である場合には、当該政府間機関の権限のある機関において他の構成国から委任を受けた当該政府間機関の構成国である締約国のいずれも異なる意見を表明しない場合 | ||||
(b) | 将来において、当該規定につき付されている条件を解除するためには、場合に応じ、(a)(@)又は(A)に定める条件が満たされなければならない。 | |||
(c) | 将来において、いずれかの規定につき(a)に定めるいずれかの条件を付するためには、全会一致の合意がなければならない。 | |||
(4) | 規則は、総会の監督の下において事務局長が実施細則を作成することについて定める。 | |||
(5) | この条約の規定と規則の規定とが抵触する場合には、この条約の規定が優先する。 | |||
| ||||
第六章 紛争 | ||||
第五十九条(紛争) | ||||
第六十四条(5)の規定が適用される場合を除くほか、この条約又は規則の解釈又は適用に関する二以上の締約国の間の紛争で交渉によつて解決されないものは、紛争当事国が他の解決方法について合意しない限り、いずれかの紛争当事国が、国際司法裁判所規程に合致した請求を行うことにより、国際司法裁判所に付託することができる。紛争を国際司法裁判所に付託する締約国は、その旨を国際事務局に通報するものとし、国際事務局は、それを他の締約国に通報する。 | ||||
| ||||
第七章 改正及び修正 | ||||
第六十条(この条約の改正) | ||||
(1) | この条約は、締約国の特別の会議により随時改正することができる。 | |||
(2) | 改正会議の招集は、総会が決定する。 | |||
(3) | 国際調査機関として又は国際予備審査機関として選定された政府間機関は、改正会議にオブザーバーとして出席することを認められる。 | |||
(4) | 第五十三条(5)、(9)及び(11)、 第五十四条、 第五十五条(4)から(8)まで、 第五十六条並びに 第五十七条の規定は、改正会議により又は次条の規定に従つて修正することができる。 | |||
第六十一条(この条約の特定の規定の修正) | ||||
(1) | (a) | 第五十三条(5)、(9)及び(11)、 第五十四条、 第五十五条(4)から(8)まで、 第五十六条並びに 第五十七条の規定の修正の提案は、総会の構成国、執行委員会又は事務局長が行うことができる。 | ||
(b) | (a)の提案は、遅くとも総会による審議の六箇月前までに、事務局長が締約国に送付する。 | |||
(2) | (a) | (1)に規定する規定の修正は、総会が採択する。 | ||
(b) | 採択は、投じられた票の四分の三以上の多数による議決で行う。 | |||
(3) | (a) | (1)に規定する規定の修正は、その修正が採択された時に総会の構成国であつた国の四分の三から、それぞれの憲法上の手続に従つて行、われた受諾についての書面による通告を事務局長が受領した後一箇月で効力を生ずる。 | ||
(b) | (a)の規定に従つて受諾された(1)に規定する規定の修正は、その修正が効力を生ずる時に総会の構成国であるすべての国を拘束する。ただし、締約国の財政上の義務を増大する修正は、その修正の受諾を通告した締約国のみを拘束する。 | |||
(c) | (a)の規定に従つて受諾された修正は、その修正が(a)の規定に従つて効力を生じた日の後に総会の構成国となるすべての国を拘束する。 | |||
| ||||
第八章 最終規定 | ||||
第六十二条(締約国となるための手続) | ||||
(1) | 工業所有権の保護に関する国際同盟の構成国は、次のいずれかの手続により、締約国となることができる。 | |||
(@) 署名し、その後に批准書を寄託すること。 (A) 加入書を寄託すること。 | ||||
(2) | 批准書又は加入書は、事務局長に寄託する。 | |||
(3) | 工業所有権の保護に関するパリ条約のストックホルム改正条約 第二十四条の規定は、この条約の適用について準用する。 | |||
(4) | (3)の規定は、いずれかの締約国が(3)の規定に基づいてこの条約を適用する領域の事実上の状態を、他の締約国が承認し又は黙示的に容認することを意味するものと解してはならない。 | |||
第六十三条(この条約の効力発生) | ||||
(1) | (a) | この条約は、(3)の規定に従うことを条件として、八の国が批准書又は加入書を寄託した後三箇月で効力を生ずる。ただし、それらの国のうち少なくとも四の国がそれぞれ、次のいずれかの条件を満たしていなければならない。 | ||
(@) 当該国でされた出願の数が、国際事務局によつて公表された最新の年次統計において四万を超えていること。 (A) 当該国の国民又は居住者が一の外国にした出願の数が、国際事務局によつて公表された最新の年次統計において千以上であること。 (B) 当該国の国内官庁が外国の国民又は居住者から受理した出願の数が、国際事務局によつて公表された最新の年次統計において一万以上であること。 | ||||
(b) | この(1)の規定の適用上、「出願」には、実用新案の出願を含めない。 | |||
(2) | (3)の規定に従うことを条件として、この条約が(1)の規定に従つて効力を生じた時に締約国とならない国は、批准書又は加入書を寄託した日の後三箇月でこの条約に拘束される。 | |||
(3) | 第二章の規定及びこの条約に附属する規則中岡章の規定に対応ずる規定は、(1)に定める三の条件のうち少なくとも一の条件を満たす三の国が同章の規定に拘束される意思を有しないことを次条(1)の規定に基づいて宣言することなく締約国となつた日から、適用する。もつとも、その日は、(1)の規定に基づく当初の効力発生の日前ではないものとする。 | |||
第六十四条(留保) | ||||
(1) | (a) | いずれの国も、第二章の規定に拘束されないことを宣言することができる。 | ||
(b) | (a)の宣言を行つた国は、第二章の規定及び規定中同章の規定に対応する規定に拘束されない。 | |||
(2) | (a) | (1)(a)の宣言を行わない国は、次のことを宣言することができる。 | ||
(@) 国際出願の写し及び所定の翻訳文の提出については
第三十九条(1)の規定に拘束されないこと。 (A) 第四十条に規定する国内処理の繰延べの義務によつて、自国の国内官庁による又はこれを通ずる国際出願又はその翻訳文の公表が妨げられることのないこと。もつとも、当該国内官庁に対し 第三十条及び 第三十八条の義務を免除するものと解してはならない。 | ||||
(b) | (a)の宣言を行つた国は、その限度において当該規定に拘束されない。 | |||
(3) | (a) | いずれの国も、自国に関する限り、国際出願の国際公開を行う必要がないことを宣言することができる。 | ||
(b) | 優先日から十八箇月を経過した時に、国際出願に(a)の宣言を行つている国のみの指定が含まれている場合には、その国際出願の 第二十一条(2)の規定に基づく国際公開は、行わない。 | |||
(c) | (b)の規定が適用される場合であつても、国際事務局は、 | |||
(@) 出願人から請求があつたときは、規則の定めるところにより当該国際出願の国際公開を行う。 (A) 国際出願に基づく国内出願又は特許が(a)の宣言を行つているいずれかの指定国の国内官庁により又はその国内官庁のために公表されたときは、その公表の後速やかに当該国際出願の国際公開を行う。ただし、優先日から十八箇月を経過する前であつてはならない。 | ||||
(4) | (a) | 自国の特許が公表の日前の日から先行技術としての効果を有することを定めているが工業所有権の保護に関するパリ条約に基づいて主張される優先日を先行技術の問題については自国における実際の出願日と同等に取り扱わないこととする国内法令を有する国は、自国の指定を含む国際出願であつて他国においてしたものを先行技術の問題については自国における実際の出願と同等に取り扱わないことを宣言することができる。 | ||
(b) | (a)の宣言を行つた国は、その限度において 第十一条(3)の規定に拘束されない。 | |||
(c) | (a)の宣言を行う国は、同時に、自国の指定を含む国際出願が自国において先行技術としての効果を有することとなる日及びそのための条件を書面で通知する。その通知は、事務局長にあてた通知により、いつでも変更することができる。 | |||
(5) | いずれの国も、 第五十九条の規定に拘束されないことを宣言することができる。同条の規定は、その宣言を行つた締約国と他の締約国との間の紛争については、適用しない。 | |||
(6) | (a) | この条の規定に基づく宣言は、書面で行う。その宣言は、この条約の署名若しくは批准書若しくは加入書の寄託の際に又は、(5)の宣言を除くほか、事務局長にあてた通告によりその後いつでも、行うことができる。その通告による宣言は、事務局長がその通知を受領した日の後六筒月で効力を生ずるものとし、その六箇月の期間の満了前にされた国際出願には影響を及ぼさない。 | ||
(b) | この条の規定に基づく宣言は、事務局長にあてた通告により、いつでも撤回することができる。その撤回は、事務局長がその通告を受領した日の後三箇月で効力を生ずるものとし、(3)の宣言の撤回にあつては、その三箇月の期間の満了前にされた国際出願には影響を及ぼさない。 | |||
(7) | 留保は、(1)から(5)までの規定に基づく留保を除くほか、この条約のいかなる規定についても行うことができない。 | |||
第六十五条(漸進的適用) | ||||
(1) | 国際調査機関又は国際予備審査機関との間の取決めが当該国際調査機関又は当該国際予備審査機関が処理を引き受ける国際出願の数又は種類について経過的に制限を定める場合には、総会は、特定の範囲の国際出願についてのこの条約及び規則の漸進的適用に必要な措置を採択する。この(1)の規定は、 第十五条(5)の規定に基づく国際型調査の請求について準用する。 | |||
(2) | 総会は、(1)に規定する条件の下で国際出願をすることができることとなる日及び国際予備審査の請求をすることができることとなる日を定める。これらの日は、それぞれ、 第六十三条(1)の規定に従つてこの条約が効力を生じた後六箇月以内の日及び同条(3)の規定に従つて第二章の規定が適用されることとなつた後六箇月以内の日とする。 | |||
第六十六条(廃棄) | ||||
(1) | いずれの締約国も、事務局長にあてた通告により、この条約を廃棄することができる。 | |||
(2) | 廃棄は、その通告の事務局長による受領の後六箇月で効力を生ずる。廃棄は、国際出願がその六箇月の期間の満了前にされている場合には及び、廃棄を行う国が選択されている場合にあつてはその選択がその六箇月の期間の満了前に行われているときに限り、廃棄を行う国における当該国際出願の効果に影響を及ぼさない。 | |||
第六十七条(署名及び用語) | ||||
(1) | (a) | この条約は、ひとしく正文である英語及びフランス語による原本一通について署名する。 | ||
(b) | 事務局長は、関係政府との協議の上、スペイン語、ドイツ語、日本語、ポルトガル語、ロシア語その他総会が指定する言語による公定訳文を作成する。 | |||
(2) | この条約は、千九百七十年十二月三十一日まで、ワシントンにおいて署名のために開放しておく。 | |||
第六十八条(寄託) | ||||
(1) | この条約の原本は、署名のための開放が終了したときは、事務局長に寄託する。 | |||
(2) | 事務局長は、工業所有権の保護に関するパリ条約のすべての締約国の政府及び、要請があつたときは、他の国の政府に対し、この条約及びこの条約に附属する規則の謄本二通を認証して送付する。 | |||
(3) | 事務局長は、この条約を国際連合事務局に登録する。 | |||
(4) | 事務局長は、すべての締約国の政府及び、要請があつたときは、他の国の政府に対し、この条約及び規則の修正の謄本二通を認証して送付する。 | |||
第六十九条(通報) | ||||
事務局長は、工業所有権の保護に関するパリ条約のすべての締約国の政府に対し、次の事項を通報する。 | ||||
(@)
第六十二条の署名 (A) 第六十二条に規定する批准書又は加入書の寄託 (B) この条約の効力発生の日及び 第六十三条(3)の規定に従つて第二章の規定が適用されることとなる日 (C) 第六十四条(1)から(5)までの規定に基づく宣言 (D) 第六十四条(6)(a)の規定に基づく撤回 (E) 第六十六条の規定によって受領した廃棄通告 (F) 第三十一条(4)の宣言
| ||||
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。(署名 略) 千九百七十年六月十九日にワシントンで作成した。 |