特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づく規則

【沿革略記】
○昭和55年7月5日条約第22号「特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づく規則」公布、同日外務省告示第242号をもつて同年8月19日より効力発生の旨告示
○昭和56年1月20日ブダペスト同盟の総会により一部修正、同年3月10日外務省告示第85号をもつて告示
○平成14年10月1日ブダペスト同盟の総会により一部修正、平成15年3月6日外務省告示第85号をもつて告示
(修正内容)

第1規則 略称及び「署名」の解釈
1.1「条約」
 この規則において「条約」とは、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約をいう。
1.2「条」
 この規則において「条」とは、条約の当該条をいう。
1.3「署名」
 この規則において「署名」というときは、その領域内に国際寄託当局が存在する国の法令が署名ではなく押印を要求している場合には、当該国際寄託当局については、「押印」をいうものとする。
第2規則 国際寄託当局
2.1法的地位
 政府の機関(中央政府以外の行政機関に附属する公的機関を含む。)及び民間の団体のいずれも、国際寄託当局になることができる。
2.2職員及び施設
 第六条(2)(A)〔国際寄託当局としての職員・施設の要件〕の要件には、特に次の要件を含む。
(@)
 国際寄託当局が、汚染させることなく生存させておく方法で寄託された微生物を保管するのに必要な職員及び施設を確保すること。
(A)
 国際寄託当局が、寄託された微生物を保管するに当たり、当該寄託された微生物の亡失の危険性を最小限にするため、十分な安全措置を講ずること。
2.3試料の分譲
 第六条(2)(G)〔国際寄託当局としての試料の分譲の要件〕の要件には、特に、国際寄託当局が寄託された微生物の試料を迅速かつ適切な方法で分譲しなければならないとの要件を含む。
第3規則 国際寄託当局としての地位の取得
3.1通告
(a) 第七条(1)〔国際寄託当局としての地位の取得〕の通告は、締約国にあつては外交上の経路を通じて、政府間工業所有権機関にあつてはその首席の職員によつて、事務局長に対し行われる。
(b) 通告書には、次の事項を記載する。
(@)
 通告に係る寄託機関の名称及びあて名
(A)
 通告に係る寄託機関が第六条(2)〔国際寄託当局としての要件〕に定める要件を満たす能力を有していることについての詳細な情報(法的地位、科学的水準、職員及び施設に関する情報を含む。)
(B)
 通告に係る寄託機関が特定の種類の微生物についてのみ受託しようとする場合には、その種類
(C)
 通告に係る寄託機関が、国際寄託当局としての地位を取得した後に、微生物の保管、生存に関する証明書の交付及び試料の分譲について課する手数料の額
(D)
 通告に係る寄託機関が使用する一又は二以上の言語
(E)
 該当する場合には、第七条(1)(b)〔国際寄託当局としての地位を取得する日の設定〕に規定する日
3.2通告の取扱い
 通告が第七条(1)〔国際寄託当局としての地位の取得〕及び3.1の規定に合致している場合には、事務局長はすべての締約国及び政府間工業所有権機関に対し通告を速やかに通報し、国際事務局は通告を速やかに公表する。
3.3受託に係る微生物の種類の追加
 締約国又は政府間工業所有権機関は、第七条(1)の通告を行つた後いつでも、保証を与えていなかつた特定の種類の微生物についても保証を与える旨を事務局長に通告することができる。この場合において、同条並びに3.1及び3.2の規定は、追加された種類の微生物について準用する。
第4規則 国際寄託当局としての地位の終止又は限定
4.1請求及び請求の取扱い
(a) 第八条(1)(a)〔国際寄託当局としての地位の終止又は限定〕の請求は、3.1(a)〔国際寄託当局としての地位の取得の通告〕に定める方法と同一の方法により、事務局長に申し出る。
(b) 請求書には、次の事項を記載する。
(@)
 請求に係る国際寄託当局の名称及びあて名
(A)
 請求が特定の種類の微生物のみに係る場合には、その種類
(B)
 請求の根拠となる事実の詳細

(c) 事務局長は、請求が(a)及び(b)の規定に合致している場合には、すべての締約国及び政府間工業所有権機関に対し、請求を速やかに通報する。
(d) (e)の規定が適用される場合を除くほか、総会は、(c)の通報から六箇月の経過後八箇月の経過前に請求について審議する。
(e) 事務局長は、(d)に規定する六箇月の期間の遵守が寄託者(潜在的な寄託者を含む。)の利益を損なうおそれがあると認める場合には、当該六箇月の期間が満了する日前に総会を招集することができる。
(f) 総会が請求に係る国際寄託当局の国際寄託当局としての地位を終止させ又はその地位を特定の種類の微生物に係る地位に限定することを決定した場合には、その決定は、決定が行われた日の後三箇月で効力を生ずる。
4.2通告、通告の効力発生の日及び通告の取扱い
(a) 第八条(2)(a)〔国際寄託当局としての地位の終止又は限定〕の通告は、3.1(a)〔国際寄託当局としての地位の取得の通告〕に定める方法と同一の方法により、事務局長に対し行われる。
(b) 通告書には、次の事項を記載する。
(@)
 通告に係る国際寄託当局の名称及びあて名
(A)
 通告が特定の種類の微生物のみに係る場合には、その種類
(B)
 通告を行う締約国又は政府間工業所有権機関が当該通告の日から三箇月を経過した日よりも遅い日に第八条(2)(b)に規定する地位の終止又は限定が効力を生ずることを希望する場合には、当該希望する日

(c) 第八条(2)(b)〔国際寄託当局としての地位の終止又は限定〕に規定する地位の終止又は限定は、(b)(B)の規定が適用される場合には通告書に記載された日に効力を生じ、その他の場合には通告の日から三箇月を経過した日に効力を生ずる。
(d) 事務局長は、すべての締約国及び政府間工業所有権機関に対し、第八条(2)の規定により受領した通告及び(c)に規定する効力発生の日を速やかに通報する。国際事務局は、当該通報と同一の内容を速やかに公表する。
4.3寄託された微生物についてとられる措置
 5.1〔寄託された微生物についての業務の遂行の停止〕の規定は、第八条(1)若しくは(2)〔国際寄託当局としての地位の終止又は限定〕、第九条(4)〔この条約の廃棄〕又は第十七条(4)の規定により国際寄託当局としての地位を終止させ又は限定する場合に準用する。
第5規則 国際寄託当局による義務の不履行
5.1寄託された微生物についての業務の遂行の停止
(a) 国際寄託当局が条約及びこの規則により行うこととされている寄託された微生物についてのいずれかの業務の遂行を一時的又は確定的に停止する場合には、当該国際寄託当局について第六条(1)〔国際寄託当局としての要件の保証〕の保証を与えた締約国又は政府間工業所有権機関は、
(@)
 当該国際寄託当局(「不履行当局」)に寄託された微生物のうち不履行に係るすべての微生物の試料が、変質し又は汚染することなく、不履行当局から他の国際寄託当局(「代行当局」)に速やかに移送されるよう、すべての可能な措置をとる。
(A)
 不履行当局にあてられたすべての郵便その他の通信及び不履行当局の所持するすべての書類つづりその他の情報で不履行に係るすべての微生物に関する通信及び情報が代行当局に速やかに送付されるよう、すべての可能な措置をとる。
(B)
 不履行当局が業務の遂行の停止及び移送につきすべての関係寄託者に対して速やかに通知するよう、すべての可能な措置をとる。
(C)
 不履行当局の業務の遂行の停止及び停止の範囲並びに(@)から(B)までの規定により当該締約国又は政府間工業所有権機関がとつた措置について事務局長に速やかに通知する。

(b) 事務局長は、締約国及び政府間工業所有権機関並びに工業所有権庁に対し、(a)(C)の規定により受領した通知を速やかに通報する。国際事務局は、事務局長が行つた通報及び事務局長が受領した通知を速やかに公表する。
(c) 適用される特許手続の下において、寄託者に対し、不履行当局への寄託に係る特許出願をした工業所有権庁に対し移送に係る寄託について代行当局の付した新たな受託番号を当該寄託者が7.5〔移送に係る受託証〕に規定する受託証の受領の後速やかに通知することを要求することができる。
(d) 代行当局は、不履行当局の付した受託番号を新たな受託番号とともに適切な方法で保持する。
(e) 不履行当局は、(a)(@)の代行当局への移送のほか、寄託者の要請があつたときは、寄託者が移送に係るすべての費用を当該不履行当局に支払うことを条件として、可能な限度において代行当局以外の国際寄託当局で寄託者が指示したものへ当該不履行当局に寄託された微生物の試料を(a)(A)のすべての郵便その他の通信の写し及びすべての書類つづりその他の情報の写しとともに移送する。この場合において、寄託者は、その指示した国際寄託当局に対し当該試料の保管についての手数料を支払う。(修正、昭五六外務告八五)
(f) 不履行当局は、関係寄託者の要請があつたときは、当該不履行当局に寄託された微生物の試料を可能な限度において保管する。
5.2特定の種類の微生物についての受託の拒否
(a) 国際寄託当局が当該国際寄託当局に対して与えられた保証によれば受託することとなつているいずれかの種類の微生物についての受託を拒否する場合には、当該国際寄託当局について第七条(1)(a)〔国際寄託当局としての要件の保証の宣言〕の宣言を行つた締約国又は政府間工業所有権機関は、事務局長に対し当該拒否及びとつた措置について速やかに通知する。
(b) 事務局長は、他の締約国及び政府間工業所有権機関に対し、(a)の規定により受領した通知を速やかに通報する。国際事務局は、事務局長が行つた通報及び事務局長が受領した通知を速やかに公表する。
第6規則 原寄託及び再寄託の方式
6.1原寄託
(a) 6.2〔再寄託〕の規定が適用される場合を除くほか、寄託者は、国際寄託当局に微生物を送付するに当たり、次の事項を記載した文書に署名し、これを提出する。
(@)
 寄託が条約に基づいてされる旨の表示及び9.1〔保管の期間〕に定める期間中寄託を取り下げない旨の約束(修正、昭五六外務告八五)
(A)
 寄託者の氏名又は名称及びあて名
(B)
 微生物の培養、保管及び生存試験に必要な条件の詳細並びに、混合微生物を寄託する場合には、当該混合微生物の組成の説明及び当該混合微生物に係るそれぞれの微生物の存在を確認する少なくとも一の方法の説明
(C)
 寄託者が微生物に付した識別のための表示(番号、記号等)
(D)
 健康若しくは環境に対し害を及ぼし若しくは及ぼすおそれのある微生物の性質の表示又は寄託者が微生物のそのような性質を知らない旨の表示(修正、昭五六外務告八五)

(b) (a)の文書には、寄託される微生物の科学的性質及び分類学上の位置を表示することが極めて望ましい。
6.2再寄託
(a) (b)の規定が適用される場合を除くほか、寄託者は、第四条の規定に基づく再寄託のために国際寄託当局に微生物を送付するに当たり、直前の寄託についての受託証の写し及び直前の寄託に係る微生物が生存していることを示す最新の生存に関する証明書の写しを提出するものとし、また、次の事項を記載した文書に署名し、これを提出する。(修正、昭五六外務告八五)
(@)
 6.1(a)(@)から(D)〔再寄託の記載事項〕までに掲げる事項
(A)
 第四条(1)(a)〔再寄託の理由〕の規定による再寄託の理由、再寄託に係る微生物が直前の寄託に係る微生物と同一である旨の陳述及び寄託者が同条(1)(a)の通知を受領した日又は同条(1)(e)〔再寄託の起算日〕の公表の日(修正、昭五六外務告八五)
(B)
 直前の寄託について表示した科学的性質又は分類学上の位置であつて、直前の寄託のされた国際寄託当局に通知された最新のもの。(修正、昭五六外務告八五)

(b) 再寄託が直前の寄託のされた国際寄託当局にされる場合には、(a)(@)に掲げる事項の記載を要しない。(修正、昭五六外務告八五)
(c) (a)及び(b)並びに7.4の規定の適用上、「直前の寄託」とは、次の寄託をいう。
(@)
 再寄託の前に一又は二以上の他の再寄託がされた場合には、これらの他の再寄託のうち最新のもの
(A)
 再寄託の前に他の再寄託がされなかつた場合には、原寄託
(追加、昭五六外務告八五)
6.3国際寄託当局による要求
(a) 国際寄託当局は、次のことを要求することができる。
(@)
 条約及びこの規則の実施のために必要な形態でこれらの実施のために必要な量の微生物を寄託者が寄託すること。
(A)
 当該国際寄託当局の事務手続上寄託者が当該国際寄託当局の作成した様式により正しく記載した文書を提出すること。
(B)
 6.1(a)又は6.2(a)の文書を当該国際寄託当局の指定する言語のいずれかにより作成すること。当該国際寄託当局の指定する言語には、少なくとも3.1(b)(D)の規定により通告された一又は二以上の言語を含まなければならない。
(C)
 12.1(a)(@)いの規定による保管についての手数料が支払われること。
(D)
 関係法令の範囲内で、寄託者及び当該国際寄託当局の責任を定める契約を寄託者が当該国際寄託当局と締結すること。
(修正、昭五六外務告八五)
(b) 国際寄託当局は、国際事務局に対し、(a)の規定に基づく要求及びその変更を通知する。
6.4受託の手続
(a) 国際寄託当局は、次の場合には、微生物について受託を拒否し、寄託者に対し書面で当該拒否及びその理由を直ちに通知する。
(@)
 微生物が3.1(b)(B)又は3.3〔受託に係る微生物の種類の追加〕の規定により保証が与えられた種類の微生物でない場合
(A)
 微生物の性質が例外的であるため、国際寄託当局が当該微生物につき条約及びこの規則に従つて行わなければならない業務を技術的に遂行することができない場合
(B)
 似微生物が明らかに失われている状態で又は科学的理由により微生物について受託することができない状態で寄託がされた場合
(b) (a)の規定が適用される場合を除くほか、国際寄託当局は、6.1(a)〔原寄託の提出文書〕又は6.2(a)及び6.3(a)のすべての要件が満たされている場合には、微生物について受託する。これらの要件のいずれかが満たされていない場合には、国際寄託当局は、寄託者に対し書面でその旨を直ちに通知し、かつ、これらの要件を満たすことを求める。
(c) 微生物が原寄託又は再寄託として受託された場合には、原寄託又は再寄託の日は、国際寄託当局が当該微生物を受領した日とする。
(d) 国際寄託当局は、寄託者の要請があつたときは、(b)に規定するすべての要件が満たされていることを条件として、条約の適用上、当該国際寄託当局が国際寄託当局としての地位を取得する前に寄託された微生物を国際寄託当局としての地位を取得した日に受領したものとみなす。
(追加、昭五六外務告八五)
第7規則 受託証
7.1受託証の交付
 国際寄託当局は、寄託者に対し、当該国際寄託当局に対しされた微生物の寄託又は移送に係る微生物の寄託につき、当該微生物を受領し及び当該微生物について受託したことを証する受託証を交付する。
7.2様式、言語及び署名
(a) 7.1〔受託証の交付〕の受託証の様式は、総会が指定する言語で事務局長によりそのひな形が作成される様式(「国際様式」と称する。)とする。
(b) ローマ字以外の文字で語を受託証に記載する場合には、その語をローマ字に音訳したものを併記する。
(c) 受託証には、国際寄託当局を代表する権限を有する者又はその者により正当に権限を与えられた当該国際寄託当局の他の職員が署名する。
7.3原寄託についての受託証の記載事項
 原寄託について交付される7.1〔受託証の交付〕の受託証には、国際寄託当局が条約にいう国際寄託当局として受託証を交付する旨を表示し、かつ、少なくとも次の事項を記載する。
(@)
 国際寄託当局の名称及びあて名
(A)
 寄託者の氏名又は名称及びあて名
(B)
 6.4(c)に規定する原寄託の日(修正、昭五六外務告八五)
(C)
 寄託者が微生物に付した識別のための表示(番号、記号等)
(D)
 国際寄託当局が寄託について付した受託番号
(E)
 6.1(a)〔原寄託の提出文書〕の文書に微生物の科学的性質又は分類学上の位置が記載されている場合には、その記載がされている旨の表示
7.4再寄託についての受託証の記載事項
 第四条の規定に基づく再寄託について交付される7.1の受託証には、直前の寄託(6.2(c)に定義する意味における直前の寄託)についての受託証の写し及び直前の寄託(6.2(c)に定義する意味における直前の寄託)に係る微生物が生存していることを示す最新の生存に関する証明書の写しを添付し、かつ、少なくとも次の事項を記載する。
(@)
 国際寄託当局の名称及びあて名
(A)
 寄託者の氏名又は名称及びあて名
(B)
 6.4(c)に規定する再寄託の日
(C)
 寄託者が微生物に付した識別のための表示(番号、記号等)
(D)
 国際寄託当局が再寄託について付した受託番号
(E)
 再寄託の理由及び6.2(a)(A)の規定により寄託者が記載した日
(F)
 寄託者が6.2(a)(B)に規定する科学的性質又は分類学上の位置を記載した場合には、その記載がされている旨の表示
(G)
 直前の寄託(6.2(c)に定義する意味における直前の寄託)について付された受託番号
(修正、昭五六外務告八五)
7.5移送に係る受託証
 国際寄託当局は、5.1(a)(@)〔移送〕の規定により微生物の試料が当該国際寄託当局に移送された場合には、当該試料の移送に係る寄託につき、条約にいう国際寄託当局として受託証を交付する旨を表示するとともに少なくとも次の事項を記載した受託証を寄託者に交付する。
(@)
 国際寄託当局の名称及びあて名
(A)
 寄託者の氏名又は名称及びあて名
(B)
 国際寄託当局が移送された試料を受領した日(移送の日)
(C)
 寄託者が微生物に付した識別のための表示(番号、記号等)
(D)
 移送を受けた国際寄託当局が移送に係る寄託について付した受託番号
(E)
 移送をした国際寄託当局の名称及びあて名
(F)
 移送をした国際寄託当局が付した受託番号
(G)
 6.1(a)若しくは6.2(a)の文書に微生物の科学的性質若しくは分類学上の位置が記載されていた場合又はこれらが8.1〔通知〕の規定に基づき後日表示され若しくは修正された場合には、その旨の表示
(追加、修正、昭五六外務告八五)
7.6科学的性質及び分類学上の位置の通知
 11.111.2又は11.3〔試料の分譲〕の規定に基づき寄託された微生物の試料を受領する資格を有する者の要請があつた場合には、国際寄託当局は、その者に対し、6.1(b)、6.2(a)(B)又は8.1(b)(B)の科学的性質及び分類学上の位置のうち最新のものを通知する。
(修正、昭五六外務告八五)
第8規則 科学的性質及び分類学上の位置についての後日における表示又は修正
8.1通知
(a) 寄託者は、微生物の寄託に際し当該微生物の科学的性質又は分類学上の位置を表示しなかつた場合には、後日これらを表示することができる。また、寄託者は、既に表示した科学的性質及び分類学上の位置を修正することができる。
(b) (a)の後日における表示又は修正は、文書で国際寄託当局に通知することにより行う。寄託者は、当該文書に、次の事項を記載し、かつ、署名する。
(@)
 寄託者の氏名又は名称及びあて名
(A)
 国際寄託当局が付した受託番号
(B)
 微生物の科学的性質又は分類学上の位置
(C)
 修正の場合には、直近時に表示した科学的性質又は分類学上の位置
8.2証明書
 国際寄託当局は、8.1の通知を行つた寄託者の要請があつたときは、当該寄託者に対し、8.1(b)(@)から(C)〔通知書の記載事項〕までに掲げる事項及び当該通知の受領の日を示した証明書を交付する。
第9規則 微生物の保管
9.1保管の期間
 国際寄託当局は、寄託された微生物を汚染させることなく生存させておくために必要なあらゆる注意を払いつつ、いかなる場合にも寄託の日の後少なくとも三十年間、当該微生物を保管するものとし、当該微生物の試料の分譲に係る請求があつた場合には、当該最新の請求を受領した後少なくとも五年間は、当該微生物を保管する。
9.2秘密の保持
 国際寄託当局は、微生物について、条約の下において当該国際寄託当局に寄託されたかどうかをいかなる者に対しても漏らしてはならない。国際寄託当局は、更に、第十一規則の規定に基づき微生物の試料を入手する資格を有する当局、自然人又は法人で同規則に定める条件と同一の条件に従うものを除くほか、いかなる者に対しても、条約の下において当該国際寄託当局に寄託されたいかなる微生物に関するいかなる情報も与えてはならない。
第10規則 生存試験及び生存に関する証明書
10.1試験の義務
 国際寄託当局は、当該国際寄託当局に寄託された微生物についての生存試験を、
(@)
 第六規則〔原寄託及び再寄託の方式〕の寄託又は5.1〔移送〕の移送の後速やかに行う。
(A)
 微生物の種類及び保管の条件に照らして相当な間隔で、又は技術上の理由により必要なときはいつでも行う。
(B)
 寄託者の請求があつたときはいつでも行う。
10.2生存に関する証明書
(a) 国際寄託当局は、寄託された微生物についての生存に関する証明書を、
(@)
 寄託者に対し、第六規則〔原寄託及び再寄託の方式〕の寄託又は5.1〔移送〕の移送の後速やかに交付する。
(A)
 請求があつたときは、寄託者に対し、寄託又は移送の後いつでも交付する。
(B)
 請求があつたときは、第十一規則の規定に従い寄託された微生物の試料の分譲を受けた工業所有権庁、他の当局、自然人又は法人であつて寄託者以外のものに対し、試料の分譲と同時に又は試料の分譲の後いつでも交付する。
(b) 生存に関する証明書には、微生物が生存しているかどうかを表示し、かつ、次の事項を記載する。
(@)
 生存に関する証明書を交付する国際寄託当局の名称及びあて名
(A)
 寄託者の氏名又は名称及びあて名
(B)
 7.3(B)の日又は、再寄託若しくは移送がされた場合には、7.4(B)若しくは7.5(B)の日のうち最近のもの(修正、昭五六外務告八五)
(C)
 国際寄託当局が付した受託番号
(D)
 生存に関する証明書に係る生存試験の日
(E)
 生存試験がどのような条件の下で行われたかに関する情報(生存に関する証明書の交付を受ける者が要請した場合において、生存試験の結果が否定的であつたときにのみ記載する。)
(c) (a)(A)及び(B)の規定により交付する生存に関する証明書には、最新の生存試験について記載する。
(d) 7.2〔受託証の様式、言語及び署名〕の規定は、生存に関する証明書の様式、言語及び署名について準用する。
(e) 生存に関する証明書は、(a)(@)の規定又は工業所有権庁の請求に基づき交付する場合には、無料で交付する。これらの場合以外に交付する生存に関する証明書につき12.1(a)(B)〔生存に関する証明書の交付手数料〕の規定により課する手数料は、生存に関する証明書の交付を請求する者が請求に先立つて又は請求の時に支払う。
第11規則 試料の分譲
11.1関係工業所有権庁に対する試料の分譲国際寄託当局は、締約国又は政府間工業所有権機関の工業所有権庁の請求があつたときは、次のことを内容とする宣言が行われることを条件として、当該工業所有権庁に対し、寄託された微生物の試料を分譲する。
(@)
 特許を求める出願で当該微生物の寄託に係るものが当該工業所有権庁にされており、かつ、当該出願の対象が当該微生物又は当該微生物の利用に係るものであること。
(A)
 当該出願が当該工業所有権庁に係属していること又は当該出願について特許が与えられたこと。
(B)
 当該締約国又は政府間工業所有権機関若しくはその構成国において採用されている特許手続上試料を入手する必要があること。
(C)
 試料及び試料に関連する情報を(B)に規定する特許手続のためにのみ使用すること。
11.2寄託者に対する試料の分譲又は寄託者の承諾を得た試料の分譲
 国際寄託当局は、次の者に対し、寄託された微生物の試料を分譲する。
(@)
 請求を行つた寄託者
(A)
 請求を行い、かつ、試料の分譲を承諾する旨の寄託者の宣言書を提出した当局、自然人又は法人(以下「承諾を得た当事者」という。)
11.3試料の分譲について法令上の資格を有する当事者に対する試料の分譲
(a) 国際寄託当局は、当局、自然人又は法人の請求があつたときは、総会によつてその内容が定められた様式により請求がされること及び工業所有権庁が当該様式により次のことを証明することを条件として、当該請求を行つた当局、自然人又は法人(以下「証明された当事者」という。)に対し、寄託された微生物の試料を分譲する。
(@)
 特許を求める出願で当該微生物の寄託に係るものが当該工業所有権庁にされており、かつ、当該出願の対象が当該微生物又は当該微生物の利用に係るものであること。
(A)
 当該工業所有権庁が特許手続上の公表を行つたこと。((B)ただし書の規定が適用される場合には、その公表についての証明をする必要はない。)
(B)
 当該工業所有権庁に係る特許手続を定める法令上、証明された当事者が当該微生物の試料の分譲を受ける権利を有していること及び、当該法令が一定の条件の下でその権利を認めている場合には、これらの条件が現実に満たされたことを当該工業所有権庁が認めること、又は証明された当事者が当該工業所有権庁の所定の様式による文書に署名を行つたこと及び、そのことにより、当該工業所有権庁に係る特許手続を定める法令上、証明された当事者に対する試料の分譲のための条件が満たされたものとみなされること。ただし、当該工業所有権庁に係る特許手続を定める法令上、証明された当事者が当該工業所有権庁による特許手続上の公表の前に当該微生物の試料の分譲を受ける権利を有している場合において、その公表がまだ行われていないときは、証明書には、その権利を有する旨を明瞭に記載し、かつ、慣行に従つて引用することにより当該法令の関係規定(判決を含む。)を表示する。
(b) 工業所有権庁は、自己が与えかつ公表した特許に係る微生物の寄託について国際寄託当局が付した受託番号を表の形式で当該国際寄託当局に随時通知することができる。通知を受けた国際寄託当局は、通知に係る微生物の試料の分譲の請求を行つた当局、自然人又は法人(以下「請求する当事者」という。)に対し、当該微生物の試料を分譲する。受託番号を通知した工業所有権庁は、寄託された微生物で通知に係るものについては、(a)に規定する証明を行うことを要しない。
11.4共通規則
(a) 11.1から11.3〔試料の分譲〕までの規定による請求書、宣言書、証明書又は通知書は、次の言語により作成する。
(@)
 英語、フランス語、ロシア語又はスペイン語を使用している国際寄託当局にあてられるこれらの文書については、それぞれ、英語、フランス語、ロシア語又はスペイン語。ただし、ロシア語又はスペイン語を使用している国際寄託当局に対しては、英語又はフランス語でこれらの文書を提出することができる。この場合において、11.1から11.3までの規定による関係者又は当該国際寄託当局の要請があつたときは、国際事務局は、無料で、ロシア語又はスペイン語による翻訳文を速やかに作成し、これについて認証する。
(A)
 (@)の規定に従つて提出される文書以外の文書については、英語又はフランス語。ただし、その文書があてられる国際寄託当局の使用している一の言語によることもできる。
(b) (a)の規定にかかわらず、ロシア語又はスペイン語を公用語とする工業所有権庁が11.1の請求を行う場合には、当該工業所有権庁は、請求書をロシア語又はスペイン語により作成することができる。この場合において、当該工業所有権庁又は当該請求書を受領した国際寄託当局の要請があつたときは、国際事務局は、無料で、英語又はフランス語による翻訳文を速やかに作成し、これについて認証する。
(修正、昭五六外務告八五)
(c) 11.1から11.3までの規定による請求書、宣言書、証明書又は通知書には、署名し、日付を付する。
(d) 11.1から11.3(a)までの規定による請求書、宣言書又は証明書には、次の事項を記載する。
(@)
 請求を行う工業所有権庁、承諾を得た当事者又は証明された当事者の氏名又は名称及びあて名
(A)
 寄託について付された受託番号
(B)
 11.1の規定による宣言書及び請求書には、寄託に係る出願又は特許の日付及び番号
(C)
 11.3(a)の規定による請求書及び証明書には、(B)に規定する事項並びに11.3(a)に規定する証明を行つた工業所有権庁の名称及びあて名
(e) 11.3(b)の規定による請求書には、次の事項を記載する。
(@)
 請求する当事者の氏名又は名称及びあて名
(A)
 寄託について付された受託番号
(f) 分譲される試料が収められる容器には、国際寄託当局が寄託について付した受託番号を表示するものとし、第七規則に規定する受託証の写し並びに健康又は環境に対し害を及ぼし又は及ぼすおそれのある微生物の性質並びに、請求があつたときは、国際寄託当局が微生物の培養及び保管に用いた条件を記載した文書を添付する。
(修正、昭五六外務告八五)
(g) 分譲の請求を行つた者(寄託者を除く。)に対し試料を分譲した国際寄託当局は、試料を分譲した旨を、また、その日付並びに試料の分譲を受けた工業所有権庁、承諾を得た当事者、証明された当事者又は請求する当事者の氏名又は名称及びあて名を書面で速やかに寄託者に通知する。通知書には、請求書の写し、請求に当たり11.1又は11.2(A)の規定により提出された宣言書の写し並びに11.3の様式による請求書及び証明書の写し又は請求する当事者の署名のある請求書の写しを添付する。
(h) 11.1の規定による試料の分譲は、無料で行う。11.2又は11.3の規定により試料の分譲を請求する場合には、12.1(a)(C)〔試料の分譲手数料〕の規定により課する手数料は、寄託者、承諾を得た当事者、証明された当事者又は請求する当事者が請求に先立つて又は請求の時に支払う。
11.5国際出願に適用する場合の11.1及び11.3の規定の変更
 特許協力条約による国際出願として出願がされた場合には、11.1(@)及び11.3(a)(@)における工業所有権庁にされた出願への言及は、当該工業所有権庁が特許協力条約に定義する意味における「指定官庁」である締約国の指定への言及とみなすものとし、また、11.3(a)(A)の規定により要求される公表についての証明は、当該工業所有権庁の選択により、特許協力条約に基づく国際公開についての証明又は当該工業所有権庁による公表についての証明のいずれかとする。(追加、昭五六外務告八五)
第12規則 手数料
12.1種類及び額
(a) 国際寄託当局は、条約及びこの規則に規定する次の業務についての手数料を課することができる。
(@)
 保管
(A)
 8.2に規定する証明書の交付
(B)
 生存に関する証明書の交付(10.2(e)〔生存に関する証明書の無料交付〕前段に規定する交付を除く。)
(C)
 試料の分譲(11.4(h)〔試料の無料分譲〕前段に規定する試料の分譲を除く。)
(D)
 7.6の規定による情報の通知(追加、昭五六外務告八五)
(b) 保管についての手数料は、9.1〔微生物の保管期間〕に定める微生物の保管の全期間に対するものとする。
(c) 手数料については、寄託者の国籍若しくは住所により、又は生存に関する証明書の交付若しくは試料の分譲を請求する当局、自然人若しくは法人の国籍若しくは住所により異なる額を課してはならない。
12.2額の変更
(a) 国際寄託当局が課する手数料の額の変更については、当該国際寄託当局について第七条(1)〔国際寄託当局としての地位の取得〕の宣言を行つた締約国又は政府間工業所有権機関が事務局長に対して通知する。その通知には、新たな手数料が適用される日の表示を含めることができる。
(b) 事務局長は、すべての締約国及び政府間工業所有権機関に対し、(a)の規定により受領した通知及び(c)に規定する適用の日を速やかに通報する。国際事務局は、事務局長が行つた通報及び事務局長が受領した通知を速やかに公表する。
(c) 新たな手数料は、(a)の規定により表示された日から適用する。ただし、増額の場合又は適用される日の表示がない場合には、国際事務局による手数料の額の変更の公表の後三十日目の日から適用する。
第12規則の2 期間の計算
12の2.1年をもつて定めた期間
 期間を定めるのに年をもつてしている場合には、期間は、当該事象が生じた日の翌日から起算し、該当するその後の年において当該事象が生じた月に応当する月の当該事象が生じた日に応当する日に満了する。ただし、応当する月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
12の2.2月をもつて定めた期間
 期間を定めるのに月をもつてしている場合には、期間は、当該事象が生じた日の翌日から起算し、該当するその後の月において当該事象が生じた日に応当する日に満了する。ただし、その月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
12の2.3日をもつて定めた期間
 期間を定めるのに日をもつてしている場合には、期間は、当該事象が生じた日の翌日から起算し、該当する日数の最終の日にあたる日に満了する。
(本規則追加、昭五六外務告八五)
第13規則 国際事務局による公表
13.1公表の方法
 条約及びこの規則に規定する国際事務局による公表は、紙形式又は電子形式により行われる。
(修正):H15外告第85号 H14.10.02
13.2内容
(a) 少なくとも毎年一回、できる限り第一四半期に、それぞれの国際寄託当局に寄託することができる微生物の種類及びそれぞれの国際寄託当局が課する手数料の額を国際寄託当局ごとに示した最新の表を公表する。
(修正):H15外告第85号 H14.10.02
(b) 次の事実に関するすべての情報は、一回に限り、その事実の発生の後速やかに公表される。
(修正):H15外告第85号 H14.10.02
(@)
 国際寄託当局としての地位の取得、終止又は限定及び終止又は限定に関連してとられた措置
(A)
 3.3〔受託に係る微生物の種類の追加〕に規定する受託に係る微生物の種類の追加
(B)
 国際寄託当局の業務の停止、特定の種類の微生物についての受託の拒否及び停止又は拒否に関連してとられた措置
(C)
 国際寄託当局が課する手数料の額の変更
(D)
 6.3(b)〔国際寄託当局による要求及びその変更の通知〕の規定により通知された要求及びその変更
第14規則 代表団の費用
14.1費用の負担
 総会の会合及び委員会、作業部会又は同盟に関する問題を処理する他の会合に参加する各代表団の費用は、当該代表団を任命した国又は団体が負担する。
第15規則 総会における定足数の不足
15.1通信による投票
(a) 第十条(5)(b)〔総会の定足数の特則〕の場合には、事務局長は、総会の決定(総会の手続に関するものを除く。)が行われたときに代表を出していなかつた締約国に対し、その決定を通知し及びその通知の日から三箇月の期間内に賛否又は棄権を書面によつて表明するよう要請する。
(b) (a)に規定する期間の満了の時に、賛否又は棄権を表明した締約国の数が(a)の決定が行われたときの定足数の不足を満たし、かつ、必要とされる多数の賛成が得られることとなる場合には、(a)の決定は、効力を生ずる。
 以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。
 千九百七十七年四月二十八日にブダペストで作成した。
 (署名欄は省略)