日本国において特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づく国際寄託当局としての地位を取得するための手続等を定める件

経済産業省平成21年告示第60号 施行:平成21年7月1日 (改正履歴)
 日本国において特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づく国際寄託当局としての地位を取得するための手続等を次のように定め、平成二十一年七月一日から施行する。
 
第一条(地位取得の申請)
 日本国における特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(以下「条約」という。)に基づく国際寄託当局としての地位の取得の申請は、地位の取得を行おうとする法人が、次に掲げる事項を記載した申請書を特許庁長官に提出することにより行うものとする。
法人の名称及び住所並びにその代表者の氏名
その法人が寄託等の業務(日本国において国際寄託当局が行う特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づく微生物の寄託等に関する実施要綱(平成十四年経済産業省告示第二百九十号)(以下「実施要綱」という。)の寄託等の業務をいう。以下同じ。)を行おうとする事業場の名称及び所在地
実施要綱第二十一条により定めようとする微生物の種類
実施要綱第二十四条により定めようとする手数料の額
その法人が寄託等の業務を行うに当たり使用する一又は二以上の言語
その法人が寄託等の業務を開始しようとする日
 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
 登記事項証明書又はこれに準ずるもの
 役員の氏名、住所及び略歴を記載した書面
 第三条各号の要件に適合していることを説明した書類
 実施要綱第二十六条により定めようとする規程
 
第二条(欠格事由)
 第七条第一項の規定による通告が行われたことにより国際寄託当局としての地位について条約第八条の地位の喪失に至り、その喪失の日から二年を経過しない法人は、前条第一項の地位の取得の申請をすることができない。
 
第三条(地位取得の要件)
 第一条第一項の地位の取得の申請をしようとする法人は、次の各号に掲げる要件のすべてに適合していなければならない。
継続的に寄託等の業務を実施するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。
条約の規定に従い科学的及び管理的な業務を遂行するために必要な職員及び施設を有すること。
寄託等の業務の実施に係る組織、寄託等の業務の方法その他寄託等の業務を実施するための体制が、次に掲げる事項に適合するよう整備されていること。
 イ 寄託者との取引関係その他の利害関係の影響を受けないこと。
 ロ 特定の者を不当に差別的に取り扱うものでないこと。
 ハ 特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づく規則(以下「規則」という。)の規定に従い、すべての又は特定の種類の微生物について受託し、当該微生物についての生存試験を行って当該微生物を保管することができるものであること。
 ニ 規則の規定に従い、受託証を寄託者に対して交付し、必要な場合に応じ生存に関する証明書を交付することができるものであること。
 ホ 寄託された微生物につき、規則の規定に従い秘密の保持の要件を満たすことができるものであること。
 ヘ 規則の規定による条件及び手続に従い、寄託された微生物の試料を分譲することができるものであること。
 
第四条(地位を取得するための通告)
 特許庁長官は、第一条第一項の規定による申請があった場合には、前条各号のすべての要件に適合すると認める場合に限り、その申請に基づいて国際寄託当局としての地位を取得するための条約第七条(1)(a)の通告の手続を行うものとする。
 
第五条(変更の届出等)
 前条の手続が行われたことにより国際寄託当局としての地位を取得した法人(以下単に「国際寄託当局としての地位を取得した法人」という。)は、第一条第一項第一号から第四号までに掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、その変更しようとする内容を特許庁長官に届け出なければならない。
 特許庁長官は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示するものとする。
 
第六条(適合命令)
 特許庁長官は、国際寄託当局としての地位を取得した法人が第三条第一項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その法人に対し、これらの規定に適合するための必要な措置をとるべきことを命令することができる。
 
第七条(地位を喪失させるための通告)
 特許庁長官は、国際寄託当局としての地位を取得した法人が次の各号のいずれかに該当するときは、その国際寄託当局としての地位を喪失させるための条約第八条(2)(a)の通告の手続を行うことができる。
前条の規定による命令があったにもかかわらず、当該命令に係る措置を講じていないと認めるとき。
不正の手段により特許庁長官に第四条の手続をさせることで、国際寄託当局としての地位を取得したとき。
 国際寄託当局としての地位を取得した法人がその地位を喪失した場合、その法人は、寄託を継続できなくなった微生物について特許庁長官が必要と認める措置をとるものとする。
 
第八条(報告等)
 国際寄託当局としての地位を取得した法人は、一年に一回以上、少なくとも次の事項を記載した報告書を特許庁長官に届け出るものとする。
微生物の受託、保管及び分譲に関する事項
会計に関する事項
運営又は組織に関する変更その他報告すべき事項
 前項に定めるもののほか、特許庁長官は、国際寄託当局としての地位を取得した法人に対し、実施要綱に基づく業務の実施状況についての報告を求めることができる。
 
第九条(受託範囲外の微生物であることが明らかになった場合の通知)
 国際寄託当局としての地位を取得した法人は、第一条第一項第三号の種類でない微生物を保管していたことが明らかになった場合は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に通知するものとする。
 
○附 則
 この告示の施行の際現に国際寄託当局としての地位を取得しており実施要綱に即して寄託等の業務を行っている者については、第四条の手続が行われたことにより国際寄託当局としての地位を取得したものとみなす。