制度運用改正

 
特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)
 
平  成 1 1 年 1 1 月
工業所有権制度改正審議室
1. 改正の趣旨
   技術開発の迅速かつ十分な保護の要請に的確に対処するとともに、工業所有権制度の国際的調和を図るため、審査請求期間の短縮等による権利取得の早期化、権利侵害に対する救済措置の拡充、マドリッド協定議定書を実施するための国際商標登録出願に係る手続の整備、特許料の引下げ等を行う。
 
2.改正の内容
   平成11年5月14日(金)に公布された「特許法等の一部を改正する法律」(法律第41号)の(1)概要及び(2)施行時期は以下のとおり。
 
 

1.出願審査の請求期間の短縮(特許法第48条の3等)

 (1) 出願審査の請求をすることができる期間について、特許出願から7年を3年に短縮する。
 (2)平成13年10月1日。
 

2.特許出願人の請求による早期出願公開の導入(特許法第64条等)

 (1)特許出願から1年6月を経過する前であつても、特許出願人の請求があったときは出願公開をすることとする。
 (2)平成12年1月1日。
 

3.特許権の存続期間の延長登録出願の条件の見直し(特許法第67条等)

 (1)特許権の存続期間の延長登録出願の条件について、安全性の確保等のための法律の規定による処分を受けることが必要であるために実施できなかった期間の条件(2年以上)の撤廃等を行う。
 (2)平成12年1月1日。
 

4.判定等の手続の整備(特許法第71条等)

 (1) @ 特許発明の技術的範囲等に関する判定について、証拠調べ等の手続を整備する。
A 特許発明の技術的範囲等についての鑑定の嘱託があった場合には、三人の審判官により行う。
 (2)平成12年1月1日。
 

5.特許権等の侵害に係る訴訟における救済措置の整備(特許法第105条の3等)

 (1) @ 侵害の行為を立証するための書類の提出命令等に関して手続を整備する。
A 当事者は、損害の計算をするための鑑定を行う鑑定人に対して、必要な事項を説明しなければならないこととする。
B 損害額の立証がその立証をするために必要な事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、相当な損害額を認定できることとする。
 (2)平成12年1月1日。
 

6.特許料等の引下げ(特許法第107条等)

 (1) @ 特許料及び審査請求料等のうち一請求項につき加算される額を引き下げる。
A 特許料及び審査請求料の納付を猶予し、又は減免する特例措置の対象に資力に乏しい法人を加える。
 (2) @ 公布の日から1月以内で政令で定める日(平成11年5月26日政令第159号により平成11年6月1日)。
A 平成12年1月1日。
 

7.詐欺行為罪及び虚偽表示罪の罰則の見直し(特許法第201条等)

 (1)特許等に係る詐欺の行為及び虚偽表示についての法人の罰金刑の額の上限を一億円等とする。
 (2)平成12年1月1日。
 

8.設定登録前の商標に基づく金銭的請求権(商標法第13条の2

 (1)設定登録前の商標について、出願人が警告をしたときは、その商標を使用した者に対し、使用により生じた業務上の損失に相当する額の金銭的請求権を当該商標権の設定登録後に行使することができることとする。
 (2)平成12年1月1日。
 

9.標章の国際登録に関するマドリッド協定の議定書の実施(商標法第68条の2等)

 (1) @ 我が国の商標登録出願等に基づく国際登録出願に係る手続を整備する。
A 国際登録に基づき我が国における保護を求める国際商標登録出願に係る手続を整備する。
B 特許庁長官を通じて国際登録出願をする場合等の手数料を定める。
 (2)マドリッド協定議定書が我が国について効力を生ずる日。
 

10.特許等の要件の見直し(特許法第29条等)

 (1)特許出願前に外国において公然知られた発明及び電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明についても特許を受けることができないこととし、並びに電気通信回線を通じて発表した発明について出願した場合及び発表した発明と同一でない発明を出願した場合についても例外的に特許を受けることができることとする。
 (2)平成12年1月1日。
 

11.特許出願等の分割又は変更に係る書面又は書類の提出の省略(特許法第44条等)

 (1)特許出願等の分割又は変更をする場合には、もとの出願について提出された書面又は書類であつて新規性の喪失の例外の適用、国内優先権若しくはパリ優先権の主張に伴い提出しなければならないものの提出を省略することができることとする。
 (2)平成12年1月1日。
 

12.訂正請求の見直し(特許法第120条の4等)

 (1)特許異議の申立て等における明細書又は図面の訂正について、訂正後にも独立して特許を受けることができるかどうかを判断することなく認めることとする。
 (2)平成12年1月1日。
 

13.審判書記官の創設(特許法第144条の2等)

 (1)口頭審理による審判に関する調書の作成等を審判書記官が行うこととする。
 (2)平成12年1月1日。
 

14.訴訟と審判の関係の整備(特許法第168条等)

 (1)裁判所又は特許庁長官は、権利の侵害に関する訴えの提起又は審判の請求の有無を通知するものとする。
 (2)公布の日から1月以内で政令で定める日(平成11年5月26日政令第159号により平成11年6月1日)。
 

15.商標登録出願の出願公開の導入(商標法第12条の2

 (1)商標登録出願について出願公開をする。
 (2)平成12年1月1日。
 

16.商標登録出願の区分の数を減ずる補正の時期の拡大(商標法第68条の2/第68条の40

 (1)登録料の納付の時にも、商標登録出願の区分に係る数を減ずる補正をすることができることとする。
 (2)平成12年1月1日。
マドリッド協定議定書が我が国について効力を生ずる日以後、第68条の2は、 第68条の40となる。
 

17.電子情報処理組織を使用した処分等の見直し(特例法第4条等)

 (1)判定又は判定若しくは異議申立若しくは審判に関する記録並びに国際登録に係る商標原簿の閲覧を電子情報処理組織を使用して行うことができることとする。
 (2)平成12年1月1日。ただし、電子情報処理組織を使用して行う国際登録に係る商標原簿の閲覧に関する規定は平成13年1月1日。
 

18.その他

 実用新案法、意匠法、商標法について、特許法の改正に準ずる所要の改正を行う他、関係規定の整備を行うこと。
 
* 経過措置等の詳細につきましては、附則をご参照ください。


[更新日 1999.11.17]